未変化体が2.4~5.8%である。
表1
投与量 Cmax(ng/mL) Cmax(ng/mL) AUC(ng・h/mL)
速放部 徐放部
30mg 3.50±1.42 3.99±1.32 61.1±35.5
60mg 8.12±2.83 6.76±1.70 145±46.0
120mg 20.6±10.2 14.6±5.00 275±99.1
(平均値±標準偏差)
表2
投与条件 Cmax(ng/mL) Cmax(ng/mL) AUC(ng・h/mL)
速放部 徐放部
絶食下 7.55±3.98 5.96±2.06 122±50.7
食後 4.56±1.19 6.75±1.61 100±46.8
(平均値±標準偏差)
臨床成績
1.
二重盲検交差比較試験
モルヒネ硫酸塩徐放剤30mg又は60mgの1日2回投与により疼痛がコントロールされている癌患者61例を対象に、前治療でのモルヒネ投与量と同じ1日用量にて、本剤(1日1回投与)及びモルヒネ硫酸塩徐放剤(1日2回投与)を交互に4日間投与した二重盲検交差比較試験の結果、安静時疼痛のVAS(Visual Analogue Scale)(表1)を指標とした鎮痛効果において本剤の非劣性が確認されている。また、疼痛の程度、鎮痛と副作用を総合した治療の満足度、有痛時間及び睡眠時間においても薬剤間の差はみられていない。
2.
長期投与試験
モルヒネによる疼痛治療が行われていない癌患者10例(新規例)及び既存の経口モルヒネ製剤の120mg/日以下の投与で疼痛治療されている癌患者78例(切替例)を対象に、新規例では30mg/日、切替例では30~120mg/日より投与を開始し、1~141日間投与した試験の結果、新規例では、安静時疼痛のVAS(表2)は投与2日目より低下し、その効果は投与終了時まで維持された。また、切替例では、切替前と切替後の安静時疼痛のVAS(表2)に違いはなく、切替前の効果が維持された。
表1 安静時疼痛のVAS
前観察期 1.39±1.19cm
本剤投与時 1.59±1.52cm
モルヒネ硫酸塩徐放剤投与時 1.46±1.39cm
(VASは0~10cmであり、0cmが無痛で、10cmが最大痛を示す。)
表2 安静時疼痛のVAS
新規例 本剤投与前 4.51±2.05cm
新規例 本剤投与後 1.51±1.61cm
切替例 本剤投与前 2.23±1.97cm
切替例 本剤投与後 1.96±1.81cm
(VASは0~10cmであり、0cmが無痛で、10cmが最大痛を示す。)
薬効薬理
1.
鎮痛作用
本剤に含まれる徐放性粒と同じ放出制御システムであるプロトタイプの徐放性粒による鎮痛効果を水溶液による鎮痛効果と比較した(ラット:Tail-flick法)。
その結果、プロトタイプの徐放性粒(モルヒネ塩酸塩水和物として160mg/kg)を1日1回投与した時の鎮痛効果は、モルヒネ塩酸塩水和物水溶液(モルヒネ塩酸塩水和物として40mg/kg/回)を6時間毎に1日4回分割投与した時とほぼ同程度であった。また、この時同時に測定した血漿中モルヒネ濃度と鎮痛効果はほぼ同様に推移した。
2.
作用機序
モルヒネは主に脊髄後角に存在するμ-受容体に作用して侵害刺激伝達を直接抑制し、更に脳のμ-受容体を介して中枢・延髄からの下行性の抑制系を活性化する。この直接的及び間接的な抑制作用により鎮痛作用を発現する。
その他、大脳辺縁系に作用して疼痛に伴う不安や恐怖といった情動反応を抑制し、また、大脳皮質における痛覚閾値を上昇させることも作用機序の一部として考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
化学構造式
一般名
モルヒネ塩酸塩水和物(Morphine Hydrochloride Hydrate)〔JAN〕
化学名
(5R,6S)-4,5-Epoxy-17-methyl-7,8-didehydromorphinan-3,6-diol monohydrochloride trihydrate
分子式
C17H19NO3・HCl・3H2O
分子量
375.84
性状
モルヒネ塩酸塩水和物は白色の結晶又は結晶性の粉末である。ギ酸に溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくい。光によって徐々に黄褐色を帯びる。
包装
**30mg:50カプセル(10カプセル×5)
**60mg:50カプセル(10カプセル×5)
**120mg:50カプセル(10カプセル×5)
主要文献及び文献請求先
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
*武田薬品工業株式会社 くすり相談室
〒103-8668 東京都中央区日本橋二丁目12番10号
フリーダイヤル 0120-566-587
受付時間 9:00~17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)
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