p; 3%
1. 血中HIV-1 RNA(VL)<50copies/mL
2. 効果不十分により48週までに中止又は48週時に血中HIV-1 RNA(VL)≧50copies/mL
3. 48週までに有害事象又は死亡で中止し,ウイルス学的データが存在しないもの
4. 同意撤回,追跡不能,コンプライアンス不良,プロトコール違反等
薬効薬理
1. 作用機序
本剤はロピナビルとリトナビルの配合剤である.ロピナビルはHIVプロテアーゼの活性を阻害し,HIVプロテアーゼによるgag-pol ポリ蛋白質の開裂を抑制することで,感染性を持つ成熟したHIVの産生を抑制する.リトナビルは,CYP3Aによるロピナビルの代謝を競合的に阻害し,ロピナビルの血中濃度の上昇をもたらす.
本剤の抗ウイルス活性は,ロピナビルによるものである (「薬物動態」の項参照).
本剤はHIVプロテアーゼに対する選択的親和性を有し,ヒトのアスパルティックプロテアーゼに対してはほとんど阻害作用を示さない.
2. 抗ウイルス作用 (in vitro )
HIV標準株による感染後早期のリンパ芽球細胞株及び臨床分離株に感染した末梢血リンパ球細胞におけるロピナビルの抗ウイルス作用を検討した.ヒト血清非存在下では,5種類のHIV-1標準株に対するロピナビルの平均EC50は10~27nM (0.006~0.017μg/mL) であり8),6種類のHIV-1臨床分離株に対するロピナビルの平均EC50は4~11nM (0.003~0.007μg/mL) であった.50%ヒト血清存在下ではHIV-1標準株に対するロピナビルの平均EC50は65~289nM (0.04~0.18μg/mL) であり,7~11倍の効力低下がみられた.
3. 薬剤耐性
ロピナビルに対する感受性が低下したHIV-1変異株を分離し,ロピナビル単独,あるいは臨床投与時の血中濃度でのロピナビルとリトナビルの存在下にHIV-1のin vitro 継代培養を行った.継代培養で分離された株の表現型と遺伝子型を検討したところ,リトナビルの存在はロピナビル耐性株の出現に影響を及ぼさないことが示唆された (in vitro ).
交差耐性:
HIVプロテアーゼ阻害薬 (PI) 間で観察される交差耐性は多様であった.本剤の治療によってロピナビルに対する感受性が低下したウイルスの交差耐性に関する情報はほとんど得られていない.
ロピナビルに対する表現型耐性の増加を認めたPI使用歴のある4例から得られた分離株は本剤投与前からリトナビル,インジナビル,ネルフィナビルに対する交差耐性が維持されていたか,本剤投与後に交差耐性を獲得した.リバウンドしたすべてのウイルスはアンプレナビルに対する感受性を十分に維持していたか,弱い感受性の低下が認められたにとどまった (ロピナビルの最大99倍と比較し,アンプレナビルでは最大8.5倍).ウイルスのリバウンドを経験した被験者のうち,サキナビルの使用経験のない被験者由来の2株はサキナビルに対する感受性を維持していた.
ロピナビル・リトナビルを含む併用療法を開始した抗レトロウイルス療法経験患者における抗ウイルス作用減少と遺伝子型との関連:
HIVプロテアーゼにアミノ酸置換 (L10F/I/R/V,K20M/N/R,L24I,L33F,M36I,I47V,G48V,I54L/T/V,V82A/C/F/S/T,I84V) が3以上存在すると本剤のウイルス学的反応に影響を及ぼすことがわかっている.複数の本剤臨床試験におけるHIVプロテアーゼ阻害薬 (PI) 耐性変異数と併用療法におけるウイルス学的反応との関係は以下の通りであった.(薬効薬理の表1参照)
試験802における耐性変異数とウイルス学的反応の関係は次の通り.
耐性変異数が3以上の場合の成人1日1回投与のデータは少ない.(薬効薬理の表2参照)
HIVプロテアーゼ阻害薬 (PI) 既使用例における抗ウイルス作用:
ロピナビルに対するin vitro 感受性低下の臨床的意義を検討するため,複数のPIによる治療にもかかわらず血中HIV RNA量が1,000copies/mLを超えた患者56名に対し本剤を投与し,ウイルスの遺伝子型と表現型を評価した.開始時に分離した56株に対するロピナビルのEC50は,野性株に対するEC50の0.5~96倍であった.48週間にわたり本剤,エファビレンツ及びヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬を投与した後,血中HIV RNA量が400copies/mL以下となった患者は,開始時ロピナビル感受性が10倍以下,10倍超~40倍未満,及び40倍以上の患者群でそれぞれ93% (25/27),73% (11/15),25% (2/8) であった.また,これら開始時ロピナビル感受性患者群で血中のHIV RNA量が50copies/mL以下となった患者は,それぞれ81% (22/27),60% (9/15),25% (2/8) であった.
本剤投与中の耐性ウイルスの選択:
227例の抗レトロウイルス療法未経験者及びHIVプロテアーゼ阻害薬 (PI) 既使用例を対象にした第II相臨床試験では,12~100週間にわたり本剤を服用した後にウイルス量が定量可能 (>400copies/mL) であった患者のうち4例の分離株は,試験開始時の分離株に比べ,ロピナビルに対する感受性が著しく低下していた.試験開始時におけるこれら患者4例すべての分離株には,PI耐性に関連する変異が少なくとも4箇所認められた.また,ウイルスリバウンド後では,全ての分離株で変異数が増加しており,PI耐性に関連する変異も含まれていた.しかし,現時点ではデータが不十分なため本剤投与患者における変異パターンがロピナビルによるものかどうかは同定できていない.
薬効薬理の表1
PI耐性変異数1
(試験開始時) ウイルス学的反応 (HIV RNA<400copies/mL) が認められた割合 (48週時)
試験8889)
(1種類のPI治療経験者2,NNRTI未経験者) n=130 ウイルス学的反応 (HIV RNA<400copies/mL) が認められた割合 (48週時)
試験765
(1種類のPI治療経験者3,NNRTI未経験者) n=56 ウイルス学的反応 (HIV RNA<400copies/mL) が認められた割合 (48週時)
試験95710)
(複数のPI治療経験者4,NNRTI未経験者) n=50
0~2 76/103 (74%) 34/45 (76%) 19/20 (95%)
3~5 13/26 (50%) 8/11 (73%) 18/26 (69%)
6以上 0/1 (0%) N/A 1/4 (25%)
1. 本分析で検討した置換には,L10F/I/R/V,K20M/N/R