た11)。
臨床成績の表5参照
◇手術不能又は再発乳癌
腫瘍縮小効果及び生存期間
外国で実施された術前又は術後にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬を投与された切除不能、局所再発又は転移性乳癌患者を対象注)に本剤とパクリタキセルとの併用投与(GT群:3週を1コースとして、1日目に本剤1250mg/m2及びパクリタキセル175mg/m2を投与し、8日目に本剤1250mg/m2を投与)をパクリタキセル単独投与(T群:3週を1コースとして、1日目にパクリタキセル175mg/m2を投与)と比較した第III相試験を実施した。その結果は以下のとおりであった12)。
注)臨床的にアントラサイクリン系抗悪性腫瘍薬の使用が禁忌で他の1レジメンの化学療法剤による術前・術後補助化学療法後の手術不能又は再発乳癌患者も対象患者に含まれている。
臨床成績の表6参照
臨床成績の表
試験 適格例数 奏効例数(奏効率:%) 効果が認められる注)までの期間[日]中央値(範囲)
A 73 19(26.0) 33(4~82)
B 67 14(20.9) 34.5(20~76)
合計 140 33(23.6) 34(4~82)
注)この場合、「投与開始後50%以上の腫瘍縮小に到達」の意味
項目 発現例数(%) 投与前値[/μL]※中央値(範囲) 最低値[/μL]※中央値(範囲) 最低値までの期間[日]中央値(範囲) 最低値からの回復期間※※[日]中央値(範囲)
白血球減少 131(64.2) 6700(4200~23800) 2800(700~3900) 17(3~31) 7(1~42)
好中球減少 128(62.7) 4060(1872~21182) 1202.2(49~1989) 19(3~31) 7(1~24)
血小板減少 42(20.6) 22.7万(10.0万~51.8万) 7万(1.2万~9.9万) 14(7~50) 7(2~13)
ヘモグロビン減少 126(61.8) 11.7(9.0~15.0) 9.55(6.3~10.9) 20(5~48) 7(1~65)
※:「ヘモグロビン減少」での単位は(g/dL)
※※:回復は各副作用において、日本癌治療学会の「副作用様式」グレード0又は投与前値のいずれか低い値に回復したとき
試験 症状緩和効果における有効率注) 生存期間中央値 6ヵ月生存率 9ヵ月生存率 1年生存率
第II相試験(n=63) 27.0%(17/63) 3.85ヵ月 31% 15% 4%
第III相試験(n=63) 23.8%(15/63) 5.7ヵ月 46% 24% 18%
注)海外での症状緩和効果(Clinical Benefit Response)は、疼痛、鎮痛剤の使用量、Karnofsky Performance Status(KPS)及び体重を総合的に評価する評価方法である。
試験 奏効率(例数) 生存期間中央値 1年生存率
第II相試験(n=40) 17.5%(7/40)
内訳
初発例 1/23(乳頭部癌 0/0、胆嚢癌 1/18、肝外胆管癌 0/5)術後再発例 6/17(乳頭部癌 3/6、胆嚢癌 2/4、肝外胆管癌 1/7) 7.6ヵ月 25.0%
注)腫瘍縮小効果は固形がん化学療法直接効果判定基準に従って判定した。
GC群 M-VAC群 HR(95%CI) p値
生存期間中央値 12.8ヵ月 14.8ヵ月 1.08(0.84-1.40) 0.55※1
腫瘍増大までの期間中央値 7.4ヵ月 7.6ヵ月 1.02(0.82-1.28) 0.84※1
奏効率(例数) 49.4%(81/164例) 45.7%(69/151例) - 0.51※2
※1:log-rank検定,※2:カイ2乗検定
GT群 T群 HR(95%CI) p値
生存期間 18.6ヵ月※1 15.8ヵ月※1 0.817(0.667-1.000) 0.0489※2
無増悪生存期間 5.3ヵ月※1 3.4ヵ月※1 0.74(0.62-0.88) 0.0008※2
奏効率 41.4%(110/266) 26.2%(69/263) 奏効率の差※3:15.1%(95%CI:7.1-23.2) 奏効率の差※3:15.1%(95%CI:7.1-23.2)
※1 中央値、※2 log-rank検定、※3 奏効率の差:GT群-T群
薬効薬理
1. 抗腫瘍効果
ゲムシタビン(dFdC)は、非小細胞肺癌や乳癌をはじめとする第1継代ヒト固形腫瘍細胞、並びに他の様々なマウス及びヒトの腫瘍細胞に対して殺細胞作用を示し13)~20)、その作用は濃度及び時間依存的であった14), 16)。dFdCは、異種移植ヒト固形腫瘍モデルを用いた試験においても、非小細胞肺癌細胞(CALU-6)、乳癌細胞(H-31、H-71)及び他の様々な腫瘍細胞に対してスケジュール依存的に18)抗腫瘍効果を示した19), 21)~24)。
すなわち、3~4日に1回の投与により非致死量で優れた抗腫瘍効果がみられるのに対して、1日1回の投与においては毒性が強く抗腫瘍効果は認められなかった。この異種移植ヒト腫瘍モデルにおいては、従来の抗癌剤には低感受性であることが知られているヒト肺癌細胞(H-74及びCPH SCLC54B)にも有効性がみられた22), 23)。また、ヒト膵癌細胞(MIA PaCa-2及びPANC-1)25)、ヒト胆道癌細胞(TGBC2TKB及びHuCCT1)及びヒト尿路上皮癌細胞(639-V、BFTC