、ヘモグロビン減少、あくび、尿白濁
15. その他
頻度不明
乳房肥大、乳房痛
注)発現した場合には、投与を中止すること。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので用量に注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊婦、産婦、授乳婦等への投与に関する安全性は確立していない。また、動物実験(ラット)で、血清カルシウムの急激な低下、テタニー様症状の発現及び乳汁分泌量が減少し、新生児の体重増加の抑制が報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
適用上の注意
1. 筋肉内注射時
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に配慮すること。
(1)
神経走行部位を避けるよう注意すること。
(2)
繰り返し注射する場合には、例えば左右交互に注射するなど、注射部位を変えて行うこと。
(3)
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合には、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
2. アンプルカット時
本品はワンポイントカットアンプルであるが、アンプルのカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。
その他の注意
1.
ラット(SD系)に1年間大量皮下投与した慢性毒性試験において、下垂体腫瘍の発生頻度の増加がみられたとの報告がある。
2.
マウスに92週間大量皮下投与した癌原性試験において、癌原性はみられなかったとの報告がある。
3.
骨粗鬆症患者256人にエルカトニン2.5単位(少用量薬)を対照として本剤を3年間投与した長期二重盲検比較試験における椎体骨折の抑制効果は両群間に有意差が認められなかったとの報告がある。
薬物動態
健康成人男子にエルカトニン20単位を単回筋肉内注射したとき、血漿中濃度(ELISA法)は21.7分後にピークに達し、消失半減期は35.4分であった。健康成人男子にエルカトニン10、20、40単位注1)をそれぞれ単回筋肉内注射したときの薬物濃度パラメータは、以下のとおりであった1)。
投与量注2):10単位
Tmax(min):23.3±5.2
Cmax(pg/mL):7.6±2.2
T1/2(min):41.7±8.7
AUC0-∞(pg・min/mL):632±199
投与量注2):20単位
Tmax(min):21.7±4.1
Cmax(pg/mL):24.8±7.8
T1/2(min):35.4±9.8
AUC0-∞(pg・min/mL):1841±422
投与量注2):40単位
Tmax(min):23.3±5.2
Cmax(pg/mL):57.8±11.7
T1/2(min):36.6±4.1
AUC0-∞(pg・min/mL):4640±991
Mean±SD(n=6)
注1)本剤の承認用法・用量は「通常、成人には1回エルカトニンとして20エルカトニン単位を週1回筋肉内注射する。」である。
注2)本剤の活性は、日局標準品を基準にして生物学的測定法により測定し、約6,000エルカトニン単位/mgである。
<参考>
(1) 体内分布2)
3H-エルカトニンをラットに筋肉内投与した場合、腎、膵、骨、胃に多く分布する。
(2) 代謝3)
エルカトニンをラット臓器抽出物と反応させた場合、主に腎臓のミクロゾーム画分で代謝される。
(3) 排泄2)
3H-エルカトニンをラットに筋肉内投与した場合、120時間までに尿、糞及び呼気中に44.0%の放射能が排泄される。また、ゲルろ過による尿中排泄物の分析では、尿中にエルカトニン未変化体は認められない。
臨床成績
骨量改善度を主な指標とした二重盲検比較試験(老人または閉経後骨粗鬆症患者にプラセボを対照として本剤を26週間投与)における最終全般改善度は、対照群19.3%(21/109)に対して、本剤投与群では43.6%(48/110)であった(P=0.01)4)。また、最終自覚症状改善度(鎮痛剤併用なし)は、対照群25.3%(19/75)に対して、本剤投与群では39.3%(33/84)であった(P=0.09)5)。
薬効薬理
1. **,*抗侵害受容作用(鎮痛作用)
エルカトニンの反復皮下投与は、ホルマリン誘発性痛覚過敏ならびに卵巣摘出により惹起された痛覚過敏に対し抗侵害受容作用(鎮痛作用)を認め、疼痛抑制系のセロトニン神経系を介した機序が明らかになっている(ラット)6~8)。
また、エルカトニンは、筋萎縮と末梢での血流低下を示す神経因性疼痛モデル(坐骨神経絞扼ラット)に対し抗侵害受容作用(鎮痛作用)と血流改善作用を認めた9,10)。
2. 実験的骨粗鬆症に対する作用11~15)
エルカトニンは、低カルシウム食及びプレドニゾロン処置並びに卵巣摘出により惹起された実験的骨粗鬆症動物(ラット、イヌ)において、骨強度、骨皮質幅、骨密度、骨のカルシウム含量、尿中ハイドロキシプロリンの排泄量等を指標として検討した結果、その予防効果を認めている。
3. 骨吸収抑制作用14~19)
エルカトニンは、正常動物(ラット、イヌ)及び実験的骨粗鬆症動物(ラット、イヌ)の骨吸収作用を抑制する。また、ラット及びマウスの骨培養系において、各種骨吸収促進因子による骨からのカルシウム遊離を抑制する(in vitro)。
4. 骨形成促進作用17,20)
エルカトニンは、ラットの骨培養系において、用量依存的に骨形成及び骨の石灰化を促進することが認められている(in vitro)。また、イヌにおいて、骨形成を促進することが認められている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
エルカトニン(JAN)
Elcatonin(r-INN)
構造式
分子式
C148H244N42O47
分子量
3363.77
性状
本品は白色の粉末である。
本品は水に極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
本品は吸湿性である。
本品の水溶液(1→500)のpHは4.5~7.0である。
承認条件