化量は1.22[0.57, 1.88]g/dL、血小板数のベースラインからの変化率は41.06[23.95, 58.17]%、肝容積のベースラインからの変化率は-6.64[-11.37, -1.91]%であった。
注:本剤の承認用法・用量は1回100mgを1日2回である。
(2) 未治療ゴーシェ病I型患者における海外臨床試験(第II相試験)15)
酵素補充療法の治療歴のない18~60歳の外国人ゴーシェ病I型患者に、第1日目は本剤50mgを1日1回経口投与、第2~19日目は本剤50mgを1日2回経口投与とし、血漿中未変化体濃度を確認しながら、1回50又は100mgを1日2回に用量調節された。本剤を48ヵ月間投与したとき(19例:CYP2D6 EMは18例、PMは1例)、ヘモグロビン値のベースラインからの変化量は2.27[1.57, 2.97]g/dL(平均値[両側95%信頼区間]、以下同様)、血小板数のベースラインからの変化率は95.0[50.7, 139.4]%、脾容積のベースラインからの変化率は-62.5[-68.3, -56.7]%、肝容積のベースラインからの変化率は-28.0[-34.9, -21.2]%であり、改善がみられた。
注:本剤の承認用法・用量は1回100mgを1日2回である。
(3) 酵素補充療法からの切り替えゴーシェ病I型患者における海外臨床試験(第III相試験)16)
酵素補充療法で治療中の18~69歳の外国人ゴーシェ病I型患者を対象に、本剤(106例)を1日2回52週間経口投与又は酵素補充療法(イミグルセラーゼ)(53例)を2週間に1回52週間点滴静脈内投与した。本剤群(CYP2D6 EMは84例、IMは12例、PMは4例、URMは4例、不明は2例)の用法・用量は1回50mgを1日2回投与から開始し、血漿中未変化体濃度を確認しながら、1回50、100又は150mgを1日2回に用量調節された。4項目(ヘモグロビン値、血小板数、脾容積及び肝容積)の複合評価項目を満たした患者の割合について、本剤群83.8%(83/99例)、イミグルセラーゼ群93.6%(44/47例)、群間差とその両側95%信頼区間は-9.8[-18.6, 3.3]%であり、本剤群のイミグルセラーゼ群に対する非劣性が認められた。
注:本剤の承認用法・用量は1回100mgを1日2回である。
*薬効薬理
1. 作用機序17)18)19)20)
ゴーシェ病はライソゾーム酵素であるグルコセレブロシダーゼの活性が低下することにより、グルコシルセラミドが主にマクロファージのライソゾームに蓄積し、肝及び脾の腫大、貧血及び血小板減少症、骨痛や骨の異常及び変形をもたらす。本剤はグルコシルセラミド合成酵素を選択的に阻害し、グルコシルセラミドの生成を抑制する。
2. 薬理作用
(1) グルコシルセラミド合成酵素阻害作用
ヒトメラノーマ細胞株から調製したミクロソームにおいて、グルコシルセラミド合成酵素を濃度依存的に阻害した(IC50値:19.6±0.68nmol/L)(in vitro)18)。
(2) グルコシルセラミド濃度低下作用
1)
本剤を健康成人(外国人、男女)に50、200及び350mgの用量で1日2回反復投与したとき、血漿中グルコシルセラミド濃度は用量依存的に低下した21)。
2)
本剤は動物実験で正常ラット血漿中22)及びイヌ末梢組織中23)のグルコシルセラミド濃度を低下させた。
3)
本剤はD409V/nullゴーシェ病I型モデルマウスにおいて、組織へのグルコシルセラミドの経時的な蓄積を抑制した24)。本剤は老齢のD409V/nullゴーシェ病I型モデルマウスにおいて、末梢組織及び血漿中に蓄積したグルコシルセラミドを減少させた25)。
(3) ゴーシェ細胞数の低下作用
本剤はD409V/nullゴーシェ病I型モデルマウスにおいて、ゴーシェ病に典型的な活性化した腫大マクロファージ(ゴーシェ細胞)の数を低下させた26)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
エリグルスタット酒石酸塩 Eliglustat Tartrate
化学名
N-[(1R,2R)-1-(2,3-Dihydrobenzo[b][1,4]dioxin-6-yl)-1-hydroxy-3-(pyrrolidin-1-yl)propan-2-yl]octanamide hemi-(2R,3R)-tartrate
分子式
(C23H36N2O4)2・C4H6O6
分子量
959.17
化学構造式
性状
白色~微黄褐色の粉末である。
融点
168℃
承認条件
・医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
・国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
サデルガカプセル100mg:14カプセル 1シート PTP
主要文献及び文献請求先
*主要文献
1)
社内資料:酵素補充療法の治療歴を問わないゴーシェ病I型患者における国際共同治験[CD-01]
2)
社内資料:食事の影響試験[CD-02]
3)
社内資料:マスバランス試験[CD-03]
4)
社内資料:タンパク結合試験[CD-04]
5)
社内資料:パロキセチンとの併用試験[CD-05]
6)
社内資料:ケトコナゾールとの併用試験[CD-06]
7)
社内資料:リファンピシンとの併用試験[CD-07]
8)
社内資料:ジゴキシンとの併用試験[CD-08]
9)
社内資料:メトプロロールとの併用試験[CD-09]
10)
社内資料:経口避妊薬との併用試験[CD-10]
11)
社内資料:制酸薬及びプロトンポンプ阻害薬との併用試験[CD-11]
12)
社内資料:PKデータのモデル解析[CD-12]
13)
社内資料:QT/QTc評価試験[CD-13]
14)
社内資料:未治療ゴーシェ病I型患者における臨床第III相試験[CD-14]
15)
社内資料:未治療ゴーシェ病I型患者における臨床第II相試験[CD-15]
16)
社内資料:酵素補充療法からの切り替えゴーシェ病I型患者における海外臨床第III相試験[CD-16]
17)
社内資料:イヌ及びヒト由来赤血球産生細胞株におけるGM1蓄積抑制試験[CD-17]
18)
社内資料:in