清カリウム値が上昇するおそれがある。
機序・危険因子
併用によりカリウム貯留作用が増強するおそれがある。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
カリウム保持性利尿剤 (スピロノラクトン、トリアムテレン等)
臨床症状・措置方法
高カリウム血症があらわれやすい。
機序・危険因子
カリウム保持性利尿剤はカリウムの腎排泄を減少させるため、同時にカリウム塩を服用することにより、体内のカリウム量が増加し、高カリウム血症を引き起こす。
薬剤名等
抗コリン作動薬
臨床症状・措置方法
消化管粘膜刺激作用があらわれやすい。
機序・危険因子
消化管運動の抑制によりグルコン酸カリウムが粘膜に留まり易くなる。
薬剤名等
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 (カプトプリル、エナラプリル等)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤 (バルサルタン、ロサルタンカリウム、カンデサルタンシレキセチル、テルミサルタン等)
臨床症状・措置方法
高カリウム血症があらわれやすい。
機序・危険因子
アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤によりアルドステロンの分泌低下が起き、カリウムの排泄が減少するため、同時にカリウム塩を服用することにより、体内のカリウム量が増加し、高カリウム血症を引き起こす。
薬剤名等
非ステロイド性消炎鎮痛剤 (インドメタシン等)
β遮断剤
シクロスポリン
ヘパリン
ジゴキシン
臨床症状・措置方法
高カリウム血症があらわれやすい。
機序・危険因子
これらの薬剤は血中のカリウムを上昇させる可能性があり、併用により高カリウム血症を引き起こす。
薬剤名等
*ドロスピレノン・エチニルエストラジオール
臨床症状・措置方法
高カリウム血症を誘発することがあるので、血清カリウム値を観察するなど十分注意すること。
機序・危険因子
グルコン酸カリウムによる血清カリウム値の上昇とドロスピレノンの抗ミネラルコルチコイド作用によると考えられる。
薬剤名等
**V2-受容体拮抗剤 (トルバプタン等)
臨床症状・措置方法
併用した場合、血清カリウム値が上昇するおそれがある。
機序・危険因子
水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、相対的に血清カリウム値が上昇するおそれがある。
副作用
全症例5,983例中、副作用発現数201例、副作用発現率3.36%であり、主な副作用は食欲不振61件 (1.02%)、悪心・嘔吐60件 (1.00%) 等であった。(承認時迄及び市販後1981年9月までの集計)
重大な副作用
心臓伝導障害
(頻度不明)
一時に大量を投与すると心臓伝導障害があらわれることがある。(「過量投与」の項参照)
その他の副作用
消化器
(0.1~2%未満)
悪心・嘔吐、食欲不振、下痢、腹痛、胸やけ、便秘、腹部膨満感等
皮膚
(0.1%未満)
皮疹、そう痒等
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人には投与しないことが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
小児に対する安全性は確立していない。(使用経験が少ない。)
過量投与
症状:
過量投与により、高カリウム血症があらわれるおそれがある。
一般に高カリウム血症は初期には無症状のことが多いので、血清カリウム値及び特有な心電図変化 (T波の尖鋭化、QRS幅の延長、ST部の短縮、P波の平坦化ないしは消失) に十分注意し、高カリウム血症が認められた場合には血清カリウム値、臨床症状に応じて下記のうち適切と思われる処置を行う。なお、筋肉及び中枢神経系の症状として錯感覚、痙攣、反射消失があらわれ、また、横紋筋の弛緩性麻痺は呼吸麻痺に至るおそれがある。
処置:
高カリウム血症の発生後は直ちに投与を中止し、下記のうち適切な処置を行うこと。
(1)
カリウムを含む食物や薬剤を制限又は排除する。
(2)
カリウム保持性利尿剤の投与が行われている場合にはその投与を中止する。
(3)
高カリウム血症の治療にはカルシウム剤、重炭酸ナトリウム、高張食塩液、ブドウ糖・インスリン、陽イオン交換樹脂、透析が緊急度に応じて選択される。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
薬物動態
吸収・排泄1)
健康成人にグルコンサンK錠5mEq8錠 (カリウムとして40mEq) を経口投与した場合、血中濃度は1時間30分~2時間30分で最高に達する。
また、数時間で過剰のカリウムの大部分は尿中に排泄される。
臨床成績
グルコンサンK錠5mEqについて12施設で総計223例について実施された一般臨床試験及び5施設で113例について実施された二重盲検比較試験の概要は次のとおりである。1)~13)
〈臨床効果〉
有効率89.7% (200/223) を示した。また、塩化カリウム腸溶錠を対照薬とし、降圧利尿剤使用症例56例中の血清カリウム値の変化量を指標とした二重盲検比較試験において、総合判定の結果、本剤の有用性が認められている。
薬効薬理
カリウムイオンは、ほとんどの体組織でその細胞内にある不可欠の陽イオンであり、細胞の緊張の維持、神経インパルスの伝導、心臓の収縮、骨格筋と平滑筋の収縮及び正常な腎機能保持作用を示す。グルコン酸カリウムは陰イオン部分がほとんど薬理作用を示さないカリウム塩で電解質平衡 (酸-塩基平衡に伴う) の調節等の作用を示す。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
Potassium gluconate (グルコン酸カリウム)
分子式:
C6H11KO7
分子量:
234.25
構造式:
性状: