~80%の平均した改善率が認められた。
またレボドパ投与中に発現する日内変動やon and off現象に対して、本療法にきりかえることにより、これらの症状の減少及び回数の低下の傾向が認められた。
本剤の投与は、初回治療として、既にレボドパ単味製剤で維持されている患者では平均ネオドパストン600mg/日、レボドパ未使用患者では少量漸増投与 (ネオドパストン100~300mg/日) により維持量 (平均維持量ネオドパストン650mg/日) とするが、投与期間はおおむね1~37ヵ月 (平均10.6ヵ月) であった。
2. 二重盲検比較試験8)
27施設、117例のパーキンソン病及びパーキンソン症候群患者を対象とし、本剤とレボドパとの比較対照試験が行われた結果、レボドパの用量を1/5に減量してあるにも拘らず、最終全般改善度、概括安全度、有用度のいずれも、対照薬に比べ有意にまさっており、本剤の有用性が確認された。
薬効薬理
1. 作用機序
(1)
レボドパは、パーキンソン病の病態生理に重要な関連を有するといわれるドパミンの前駆物質で、血液・脳関門を通過し脳内に取りこまれ、そこでドパミンに転換されて生理作用を発揮し、パーキンソン病及びパーキンソン症候群に効果をもたらすとされている9, 10)。
(2)
カルビドパ水和物は、レボドパ脱炭酸酵素の阻害剤で、それ自体は血液・脳関門を通過せず、脳内へ移行しないため、これをレボドパとともに投与すると、レボドパの脳以外での脱炭酸反応を防ぎ、脳への移行を高める。また脳内に取りこまれたレボドパのドパミンへの転換には影響を及ぼさないため、脳内ドパミン量を増加せしめる11, 12)。
2. レボドパの薬理
(1) γ運動ニューロンに対する作用13)
実験的にペントバルビタール麻酔ネコを用い、尾状核、中脳網様体、大脳皮質、小脳前葉等を電気刺激することによって引起こされるγ運動ニューロン放電の促進が本剤の投与によって抑制される。
(2) 薬剤その他処置に伴う無動、筋緊張亢進、振戦に対する作用14, 15)
マウスのレセルピンによるせむし様姿勢、ラットのレセルピンによる筋緊張亢進、ラットの尾状核刺激による回転運動及びマウスのレセルピンならびにフィゾスチグミンによる無動又は寡動の症状にレボドパが拮抗することが認められている。
正常又は片側性脳損傷サルにα-メチル-チロシンを投与すると振戦及び緊張が誘発されるが、本剤の投与により短時間内に消失がみられている。
3. カルビドパ水和物の薬理
カルビドパ水和物は単独投与の場合、通常用量ではほとんど本剤自体としての薬理作用を示さない11)。
有効成分に関する理化学的知見
1. レボドパ
(1) 一般名
レボドパ (Levodopa)
(2) 略称
L-DOPA
(3) 化学名
3-Hydroxy-L-tyrosine
(4) 分子式
C9H11NO4
(5) 分子量
197.19
(6) 構造式
(7) 性状
白色又は僅かに灰色を帯びた白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。ギ酸に溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール (95) にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
飽和水溶液のpHは5.0~6.5である。
(8) 融点
約275℃ (分解)
(9) 分配係数
分配係数表1参照
2. カルビドパ水和物
(1) 一般名
カルビドパ水和物 (Carbidopa Hydrate)
(2) 化学名
(2S )-2-(3,4-Dihydroxybenzyl)-2-hydrazinopropanoic acid monohydrate
(3) 分子式
C10H14N2O4・H2O
(4) 分子量
244.24
(5) 構造式
(6) 性状
白色~帯黄白色の粉末である。
メタノールにやや溶けにくく、水に溶けにくく、エタノール (95) に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
(7) 融点
約197℃ (分解)
(8) 分配係数
分配係数表2参照
分配係数表1
pH 1.2 (日局、第1液) 6.8 (日局、第2液)
分配係数 (log Pow) -2.5 -2.4
Pow=(オクタノール相のレボドパ濃度/水相のレボドパ濃度)
(フラスコ振とう法)
分配係数表2
pH 1.2 (日局、第1液)
分配係数 (log Pow) -2.4
Pow=(オクタノール相のカルビドパ水和物濃度/水相のカルビドパ水和物濃度)
(フラスコ振とう法)
包装
1.
ネオドパストン配合錠L100 (PTP) 100錠
(缶) 1,000錠
2.
ネオドパストン配合錠L250 (PTP) 100錠
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
医薬品副作用情報 No.65 厚生省薬務局 1984
2)
大本堯史ほか:基礎と臨床 1976;10(2):507-517
3)
Ohmoto T, et al.:Folia Psychiatr Neurol Jpn. 1975;29(1):1-12
4)
大本堯史ほか:脳と神経 1975;27(2):225-233
5)
Maeda T, et al.:J Pharm Dyn. 1978;1:288-300
6)
安藤一也ほか:日本医事新報 1977;No.2752:11-17
7)
宮崎雄二:脳と神経 1975;27(6):621-628
8)
加瀬正夫ほか:医学のあゆみ 1977;101(11):796-813
9)
Hornykiewicz O:Pharmacol Rev. 1966;18(2):925-964
10)
Cotzias GC, et al.:N Engl J Med. 1967;276(7):374-379
11)
Porter CC, et al.:Biochem Pharmacol. 1962;11:1067-1077
12)
Peck HM, et al.:Merck社資料
13)
酒井 豊ほか:日本薬理学雑誌 1973;69(3):467-482
14)
小林晋作ほか:三共研究所年報 1970;22:123-141
15)
Goldstein M, et al.:Nature 1969;224(217):382-384
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
第一三共株式会社 製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町