機序・危険因子
これらの薬剤により,本剤の肝代謝が阻害され,血中濃度が上昇すると考えられている.
12. 薬剤名等
降圧剤(グアネチジン)
臨床症状・措置方法
降圧剤の作用を減弱することがある.
機序・危険因子
本剤がアドレナリン作動性神経遮断作用を有する降圧剤の交感神経ニューロンへの取り込みを阻害する.また,本剤は交感神経ニューロンへのカテコラミン取り込み阻害作用も有する.
13. 薬剤名等
テルビナフィン
臨床症状・措置方法
本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇するとの報告があるので,併用する場合には用量に注意すること.
機序・危険因子
テルビナフィンのCYP2D6の阻害により,本剤又はその活性代謝物の代謝が遅延する.
14. 薬剤名等
*ホスアンプレナビル
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある.
機序・危険因子
ホスアンプレナビルの活性代謝物であるアンプレナビルは本剤の代謝を競合的に阻害すると考えられる.
15. 薬剤名等
インスリン製剤(インスリン)
スルフォニル尿素系糖尿病用剤(グリベンクラミド,グリクラジド)
臨床症状・措置方法
他の三環系抗うつ剤(ドキセピン)との併用により過度の血糖低下を来すとの報告がある.
機序・危険因子
ドキセピンにより低血糖に対する反応性が変化するか,インスリンに対する感受性が増大し,血糖降下作用が増強すると考えられている.
16. 薬剤名等
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(スニチニブ,ダサチニブ,マプロチリン等)
臨床症状・措置方法
QT間隔延長,心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある.
機序・危険因子
いずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため.
17. 薬剤名等
デスモプレシン
臨床症状・措置方法
低ナトリウム血症性の痙攣発作を起こすことがあるので,血清ナトリウム,血漿浸透圧等をモニターすること.
機序・危険因子
いずれも低ナトリウム血症があらわれるおそれがあるため.
18. 薬剤名等
ゾニサミド
臨床症状・措置方法
高血圧,失神,不全収縮,発汗,てんかん,動作・精神障害の変化及び筋強剛等の副作用があらわれるおそれがある.
機序・危険因子
相加・相乗作用によると考えられる.
19. 薬剤名等
クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)
臨床症状・措置方法
他の三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン)との併用によりクマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長するとの報告がある.
機序・危険因子
機序不明.
20. 薬剤名等
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
臨床症状・措置方法
本剤との併用により抑うつが再発又は悪化することがある.
機序・危険因子
本剤の代謝促進又は両剤の受容体レベルでの拮抗作用によるものと考えられている.
21. 薬剤名等
電気ショック療法
臨床症状・措置方法
痙攣閾値を低下させ,痙攣状態に陥るおそれがある.
機序・危険因子
本剤は痙攣閾値を低下させると考えられている.
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない.
重大な副作用
1. 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
無動緘黙,強度の筋強剛,嚥下困難,頻脈,血圧の変動,発汗等が発現し,それに引き続き発熱がみられる場合は,投与を中止し,体冷却,水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う.
本症発症時には,白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く,またミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある.なお,高熱が持続し,意識障害,呼吸困難,循環虚脱,脱水症状,急性腎不全へと移行し,死亡した例が報告されている.
2. セロトニン症候群(頻度不明)
不安,焦燥,せん妄,興奮,発熱,発汗,頻脈,振戦,ミオクロヌス,反射亢進,下痢等を主症状とするセロトニン症候群があらわれることがあるので,これらの症状が出現した場合には投与を中止し,水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと.
3. てんかん発作(頻度不明)
てんかん発作があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
4. 無顆粒球症(頻度不明)
無顆粒球症(前駆症状として,発熱,咽頭痛,インフルエンザ様症状等)があらわれることがあるので,定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
5. 麻痺性イレウス(頻度不明)
腸管麻痺(食欲不振,悪心・嘔吐,著しい便秘,腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し,麻痺性イレウスに移行することがあるので,腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること.なお,この悪心・嘔吐は,本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること.
6. 間質性肺炎,好酸球性肺炎(頻度不明)
発熱,咳嗽,呼吸困難,肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し,速やかに胸部X線等の検査を実施し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
7. 心不全(頻度不明)
心不全があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
8. QT延長,心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)
定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
9. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
症状として低ナトリウム血症,低浸透圧血症,尿中ナトリウム排泄量の増加,高張尿,痙攣,意識障害等があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止し,水分摂取の制限等適切な処置を行うこと1).
10. 肝機能障害,黄疸(頻度不明)
AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行う