が少ない。)
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
がん原性試験
※ラット中期発がんモデルで、ガンマオリザノールを0.2%以上の濃度で飼料に混ぜて与えると肺腫瘍発生頻度を上昇させたとの報告があるが1,2)、0.04%の濃度では肺腫瘍発生頻度は上昇しなかったことが報告されている2)。ガンマオリザノールは微生物試験系(in vitro)及び染色体試験系(in vivo)では変異原性を示さず、また、マウス(ガンマオリザノール200~2,000mg/kg/day、78週間混餌投与)、ラット(ガンマオリザノール200~2,000mg/kg/day、104週間混餌投与)のがん原性試験では、腫瘍誘発性は認められなかった。
薬物動態
※ヒトにおけるガンマオリザノールの吸収は緩慢であるが、その血漿中濃度には良好な用量依存性が認められた。ガンマオリザノールは尿中には未変化体として排泄されず、主に代謝産物のフェルラ酸として排泄された3)。
臨床成績
1. 高脂質血症4~6)
※国内で実施した多施設二重盲検比較試験を含む臨床試験において、ガンマオリザノール300mg/日投与により血清総コレステロールが10%以上低下した症例は37.2%(346/929例)であり、トリグリセライドが20%以上低下した症例は35.9%(331/923例)であった。血清HDL-コレステロールは前値45mg/dL未満例において有意に上昇した。また、血清過酸化脂質も低下した。長期投与(1年~2年、118例)は全投与期において、安定した血清総コレステロール低下作用を示した。
2. その他の効能に対する効果7~9)
総計315例について実施された多施設二重盲検比較試験を含む臨床試験の結果、更年期障害、過敏性大腸症候群に対する有効率はそれぞれ68.6%(83/121例)、68.4%(108/158例)であった。
薬効薬理
1. 脂質代謝
(1) 血清脂質低下作用10~12)
高コレステロール食摂取マウス、ラット、ウサギの血清総コレステロールを有意に低下させた。このコレステロール低下作用はVLDL-コレステロール及びLDL-コレステロールの低下に基づくものであった。また、ウサギにおいてはリン脂質の有意な低下も認められた。
(2) 血清過酸化脂質低下作用13)
※ガンマオリザノール300mg/日の投与により高脂質血症患者の血清過酸化脂質を有意に低下させた。
(3) 肝臓脂質に対する効果11,12)
高コレステロール食摂取ラット、ウサギの肝臓コレステロール、特にエステル型コレステロールの低下作用を示した。ラットにおいては中性脂肪も有意に低下させた。
(4) 動脈壁における効果12,14)
高コレステロール食摂取ラットにおいて動脈壁内の中性コレステロールエステラーゼ活性を有意に亢進し、アシル-CoAコレステロールアシルトランスフェラーゼ活性を有意に抑制することにより、動脈壁内のエステル型コレステロールの蓄積を阻止する方向に作用することが示唆された。また、高コレステロール食摂取ウサギの大動脈に形成される粥状硬化病変は、血清脂質の低下に伴い軽減した。
(5) 血小板凝集抑制作用15)
※高コレステロール食摂取ウサギにガンマオリザノールを混餌投与することにより、ADPによる血小板の最大凝集率を有意に抑制した。
(6) 作用機序10,16)
血清総コレステロール低下の作用機序としては、コレステロールの消化管吸収抑制作用が主作用であり、コレステロール合成の阻害作用及びコレステロールの異化排泄促進作用の関与も考えられている。
2. 内分泌・自律神経系
(1)
卵巣を摘出したマウスにおいて発情作用を示した17)。
(2)
ラット間脳のノルアドレナリン代謝回転の抑制傾向を示し、ノルアドレナリン含量の増加作用を示した18)。
(3)
ラットにストレスを負荷することにより生じる胃潰瘍及び消化管運動の亢進に対して抑制作用を示した19,20)。
(4)
インスリン及び2-デオキシ-D-グルコースで迷走神経を刺激することにより生じるラットの胃液分泌亢進に対して抑制作用を示した21)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
※ガンマオリザノール〔Gamma Oryzanol(JAN)〕
構造式
分子式
C40H58O4
分子量
602.9
性状
白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末で、におい及び味はない。アセトン、クロロホルム又はベンゼンにやや溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。
包装
※※ハイゼット錠25mg:[PTP]500錠(10錠×50)
※※ハイゼット錠50mg:[PTP]500錠(10錠×50)
[瓶]500錠
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
福島昭治ほか:第49回日本癌学会総会,1990
2)
林 修次ほか:第50回日本癌学会総会,1991
3)
小富正昭ほか:社内資料(ヒトにおける薬物動態),1983
4)
味村啓司ほか:Geriatric Medicine,20(12),2089-2096,1982
5)
石垣健一:新薬と臨床,31(6),969-976,1982
6)
中村治雄ほか:基礎と臨床,15(8),3866-3870,1981
7)
佐藤芳昭ほか:産婦人科の世界,26(5),615-617,1974
8)
並木正義ほか:臨床と研究,61(1),222-230,1984
9)
並木正義ほか:臨床と研究,63(5),1657-1669,1986
10)
三谷公亙ほか:動脈硬化,11(2),411-416,1983
11)
篠宮正樹ほか:動脈硬化,10(6),1069-1075,1983
12)
平松和子ほか:動脈硬化,9(5),813-820,1981
13)
和田一成ほか:Geriatric Medicine,19(8),1183-1186,1981
14)
篠宮正樹ほか:動脈硬化,10(1),137-141,1982
15)
野崎宏幸ほか:動脈硬化,9(5),829-834,1981
16)
中村治雄:RADIOISOTOPES,15(6),371-374,1966
17)
西野 廣:社内資料(発情ホルモン様作用),1975
18)
金田秀夫