芽腫4例、膠芽腫以外4例(内訳:退形成性乏突起神経膠腫、退形成性乏突起星細胞腫、退形成性星細胞腫及び高グレード神経膠腫各1例)であり、本剤留置時の腫瘍摘出率(平均値±標準偏差)は、初発例で91.9±8.5%、再発例で87.3±17.0%、全体で90.3±11.8%であった。初発例では、本剤留置後にテモゾロミドと放射線療法との併用療法を行った。本剤の留置枚数は24例中21例に8枚が留置され、その他の3例は5枚、6枚、7枚であった。
その結果、Kaplan-Meier法による初発例の12ヵ月生存率は100.0%であり、再発例の6ヵ月生存率は87.5%、12ヵ月生存率は62.5%であった。12ヵ月時点の生存期間中央値は、初発例及び再発例ともに算出できなかった。無増悪生存率は、初発例の6ヵ月で75.0%(95%信頼区間:46.3-89.8)、12ヵ月で62.5%(95%信頼区間:34.9-81.1)、無増悪生存期間中央値は、12ヵ月時点では算出できなかった。再発例の6ヵ月無増悪生存率は、37.5%(95%信頼区間:8.7-67.4)、12ヵ月では、25.0%(95%信頼区間:3.7-55.8)、無増悪生存期間中央値は170日であった。
薬効薬理
1. 抗腫瘍効果7)
カルムスチンは、ヒト神経膠芽腫由来U-87MG細胞株を移植したマウスに対し、その生存期間を延長することが示されている。
2. 作用機序8~11)
カルムスチンは、DNAをアルキル化し、核酸合成を阻害することで、細胞周期の停止及びアポトーシスを誘導すると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
カルムスチン、Carmustine
化学名:
1,3-Bis(2-chloroethyl)-1-nitrosourea
分子式:
C5H9Cl2N3O2
分子量:
214.05
構造式:

性 状:
淡黄色の粉末である。ジメチルスルホキシド、エタノール(95)、ジクロロメタン又はアセトニトリルに極めて溶けやすく、プロピレングリコール、メタノール又は無水ジエチルエーテルに溶けやすく、水に溶けにくい。
融 点:
約31℃
取扱い上の注意
カルムスチンが皮膚に接触すると、重度の熱傷と色素沈着をきたすおそれがあるので、本剤の取扱い時には十分に注意すること。
承認条件
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
ギリアデル脳内留置用剤7.7mg:8枚(分包1枚×8)


主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:国内第I/II相臨床試験の概要 GLI-0001
2)
Fung LK, et al.: Cancer Res 1998; 58: 672-684 GLI-0047
3)
Loo TL, et al.: J Pharm Sci 1966; 55: 492-497 GLI-0023
4)
社内資料:カルムスチンのヒト肝ミクロソーム及びヒト肝サイトソールを用いた代謝試験 GLI-0051
5)
DeVita VT, et al.: Clin Pharmacol Ther 1967; 8: 566-577 GLI-0002
6)
社内資料:ラット及びウサギにおけるポリフェプロサン20の薬物動態 GLI-0052
7)
社内資料:ヒト神経膠芽腫細胞株(U-87 MG)の頭蓋内移植モデルに対するカルムスチンの抗腫瘍効果 GLI-0053
8)
Chabner BA, et al.: Goodman & Gilman's The pharmacological basis of therapeutics 11th ed. 2006; 1324 GLI-0011
9)
Tashima M, et al.: Biochem Pharmacol 1979; 28: 511-517 GLI-0048
10)
Batista LFZ, et al.: Cancer Res 2007; 67: 11886-11895 GLI-0049
11)
Xu GW, et al.: Int J Cancer 2005; 116: 187-192 GLI-0050
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
ノーベルファーマ株式会社 カスタマーセンター
〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町12番地10
TEL:03-5651-1329
エーザイ株式会社 お客様ホットライン
〒112-8088 東京都文京区小石川5-5-5
フリーダイヤル 0120-419-497
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
ノーベルファーマ株式会社
東京都中央区日本橋小舟町12番地10
販売元
エーザイ株式会社
東京都文京区小石川4-6-10

その他の説明(付属機器の取り扱い等)
「ギリアデル脳内留置用剤7.7mg」の開封時の留意点について 説明図
[1]本剤の開封前に、手術用手袋を二重に着用すること。
[2]本剤の取扱いが終了するまで、手袋を着用したままにすること。
(本剤が皮膚に接触すると重度の熱傷と色素沈着をきたすおそれがある)


注:本剤の開封に使用したピンセット、ハサミは、手術に使用しないこと。
「ギリアデル脳内留置用剤7.7mg」の廃棄について
以下のように扱われた本剤及びその他廃材は、廃棄物専用容器に廃棄すること。
[1] 開封後、脳内に留置する前に誤って本剤を落としたもの
[2] 室温で6時間を経過した未開封の本剤
[3] 再凍結後30日を経過した未開封の本剤
[4] 本剤の留置時に使用した二重の手術用手袋の外側の手袋及びその他廃材
「ギリアデル脳内留置用剤7.7mg」の腫瘍切除面への留置について 説明図

