認められなかった。
●通過性・移行性(参考:ラットでのデータ)1)
1) 血液-脳関門通過性
14C-ドンペリドン2.5mg/kgをラットに経口投与したところ、脳内放射能濃度は投与後0.25~1時間で最高となり、その後定常状態に達した時点では血漿中放射能の約1/5であった。
2) 血液-胎盤関門通過性
14C-ドンペリドン2.5mg/kgを妊娠ラットに静脈内又は経口投与したところ、胎盤内放射能は投与1時間後に最高となり、母体血漿中放射能に比べ静脈内投与では2.7倍、経口投与では2倍であった。
3) 母乳中への移行性
14C-ドンペリドン2.5mg/kgを授乳ラットに投与したところ、乳汁中放射能は静脈内投与後30分、経口投与後1~2時間で最高に達した。
●蛋白結合率(参考:ベルギーでのin vitro試験データ)2)
薬物動態の表2参照。
3. 代謝・排泄(参考:ベルギーでのin vitro試験データ及び試験成績)3)4)
in vitro試験において、本剤の代謝には、肝チトクロームP450(CYP 3A4)が約50%関与することが示された。
健康成人3名に14C-ドンペリドン40mgを経口投与した場合、4日以内に総放射能の約95%が排泄された。なお、尿中と糞中への排泄の割合は約3:7であった。
尿中への排泄は、投与後24時間以内に大部分が排泄され、24時間後の尿中排泄率は投与量の29.5%であった。
一方、糞中には投与量の約66%が投与後4日以内に排泄された。
尿中の主代謝物は酸化的N-脱アルキル化で生じた2, 3-dihydro-2-oxo-1H-benzimidazole-1-propanoic acidとその抱合体であり、ドンペリドン未変化体の尿中排泄率は投与量のわずか0.39%であった。
糞中の主な代謝物は水酸化ドンペリドンであり、未変化体は投与量の約10%であった。
表1 ナウゼリンOD錠10とナウゼリン錠10を単回経口投与した場合の薬物動態パラメータ
用量 |
投与製剤 |
Cmax(ng/mL) |
Tmax(h) |
AUC0~t(ng・h/mL) |
T1/2(h) |
水なし投与(N=20) |
10mg |
ナウゼリンOD錠10 |
10.7±4.6 |
1.40±1.67 |
42.0±12.7 |
11.3±1.6 |
水なし投与(N=20) |
10mg |
ナウゼリン錠10※ |
11.5±4.6 |
0.738±0.250 |
40.6±12.0 |
10.9±1.9 |
水あり投与(N=24) |
10mg |
ナウゼリンOD錠10 |
12.1±5.1 |
0.854±0.521 |
44.3±13.3 |
12.1±1.8 |
水あり投与(N=24) |
10mg |
ナウゼリン錠10 |
12.6±5.5 |
0.948±0.500 |
43.2±10.4 |
11.8±1.6 |
平均値±標準偏差
※水で服用
表2 蛋白結合率
添加濃度(ng/mL) |
10 |
100 |
血漿蛋白結合率(%) |
91.8 |
93.0 |
臨床成績
国内120施設で総計931例について実施された臨床試験の概要は次のとおりである。
〈成人〉5)~7)
1) 消化器系疾患に伴う不定愁訴
国内91施設で総計695例について実施された経口剤(普通錠)の臨床試験(二重盲検比較試験を含む)で慢性胃炎67.4%(277/411)、胃下垂症74.2%(23/31)、胃切除後症候群では85.7%(6/7)の有効率を示した。
2) 薬剤投与時に伴う不定愁訴
○抗悪性腫瘍剤投与時
国内49施設で総計390例について実施された経口剤(普通錠)の臨床試験で55.4%(216/390)の有効率を示した。
○レボドパ製剤投与時
国内29施設で総計238例について実施された経口剤(普通錠)の臨床試験で89.1%(212/238)の有効率を示した。
〈小児〉8)9)
国内29施設で総計236例について実施された経口剤(普通錠、ドライシロップ)の臨床試験における消化器系不定愁訴に対する有効率は、周期性嘔吐症83.1%(49/59)、上気道感染症89.7%(52/58)、抗悪性腫瘍剤投与時61.5%(8/13)であった。
薬効薬理
上部消化管並びにCTZに作用し、抗ドパミン作用により薬効を発現する。なお、生化学的実験等により血液-脳関門を通過しにくいことが確かめられている。
(1) 消化管運動に及ぼす作用
1) 胃運動促進作用10)
収縮頻度やトーヌスに影響を及ぼさず、胃の律動的な収縮力を長時間(約2時間)増大する。(イヌ)
2) 胃・十二指腸協調運動促進作用11)
胃の自動運動を増大させると同時に、胃前庭部-十二指腸協調運動を著明に促進する。(モルモット摘出胃)
3) 胃排出能の正常化作用12)13)
各種上部消化管疾患患者を対象とした試験で、胃排出能遅延例(胃潰瘍症例を含む)に対しては促進的に、逆に亢進