作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
β遮断薬
臨床症状・措置方法
本剤による気管支収縮が増強又は持続する可能性がある。
機序・危険因子
双方の気管支平滑筋収縮作用が増強されるおそれがある。
薬剤名等
コリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害薬
臨床症状・措置方法
本剤のコリン作動性作用に基づく副作用を増強させるおそれがある。
機序・危険因子
双方のコリン作動性作用が増強されるおそれがある。
薬剤名等
β2刺激薬、抗コリン薬及びテオフィリンなどの抗喘息薬及び抗アレルギー薬、パパベリンを含む製剤、カフェインを含む飲食物
臨床症状・措置方法
本剤による検査において、正確な検査結果が得られない可能性がある。
機序・危険因子
気管支拡張作用があり、本剤の作用と拮抗するおそれがある。
薬剤名等
吸入ステロイド薬
臨床症状・措置方法
本剤による検査において、正確な検査結果が得られない可能性がある。
機序・危険因子
抗炎症作用があり、検査結果に影響するおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内で実施された成人30例及び小児10例の合計40例を対象とした臨床試験において、8例(20.0%)に副作用が認められた。副作用は、咳嗽5例(12.5%)、呼吸困難2例(5.0%)、喘鳴、酸素飽和度低下、呼吸音異常、息詰まり感各1例(2.5%)であった。(承認時)
重大な副作用
呼吸困難
(頻度不明)
重度の気管支収縮及び呼吸困難があらわれるおそれがあるので、このような場合には直ちに速効型吸入用気管支拡張薬(吸入β2刺激薬)を投与するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
呼吸器
5%以上
咳嗽
呼吸器
0.1~5%未満
喘鳴、酸素飽和度低下、呼吸音異常、息詰まり感
高齢者への投与
一般に高齢者では呼吸機能が低下しているので、副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には授乳を避けさせること。[授乳中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児又は6 歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
徴候・症状:
経口投与又は注射投与の場合、心停止及び意識消失を伴うおそれがある。
処置:
重篤な中毒反応については、アトロピン硫酸塩0.5~1mgを筋肉内又は静脈内投与する。
適用上の注意
1. 投与経路:
本剤は吸入投与にのみ使用すること。
2. 調製時:
(1)
本剤は用時調製し、速やかに使用すること。
(2)
本剤の溶解には消毒又は滅菌された機器を用い、希釈操作は清潔な環境で行うこと。
3. 検査後:
残液は適切な方法で廃棄すること。
薬物動態
1. 血液中濃度
健康成人(13例)に0.039~25mg/mLの本剤を漸増吸入して気道過敏性検査を実施し、最高濃度25mg/mLを吸入投与した後の血液中薬物濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す3)。
2. 代謝(in vitro における成績)
ヒト血液中においてメタコリンは速やかに代謝され、インキュベート後15秒における血液中残存率は52.7%であったが、それ以降の代謝は緩やかとなり、終末相におけるメタコリンのt1/2は175分であった4)。
臨床成績
国内で実施された臨床試験3)
1. 成人
成人喘息患者15例(吸入ステロイド剤で治療中11例、73.3%)、健康成人15例に本剤による気道過敏性検査を実施し、PC20(FEV1がベースライン値より20%低下する濃度)を測定した。PC20の基準値を8mg/mLとした場合、喘息患者での陽性率(感度)は66.7%、健康成人での陰性率(特異度)は86.7%であった。
2. 小児
小児喘息患者10例(吸入ステロイド剤で治療中9例、90.0%)に本剤による気道過敏性検査を実施し、PC20を測定した。PC20が8mg/mL以下であった症例の割合は70.0%であった。
薬効薬理
1.
作用機序
気管支平滑筋の収縮及び気管支分泌物の増加は、副交感神経(コリン作動性)支配を受けており、迷走神経の刺激によって、神経末端からアセチルコリンが放出され、受容体に作用することで生じる。メタコリンはアセチルコリンのβメチル同族体であり、直接アセチルコリン受容体に作用する5)。
喘息を有する被験者がメタコリンを含む溶液を吸入した場合、健康被験者と比べてメタコリンに対する感受性が高く、より低用量で気管支収縮が生じる。この反応の差がメタコリン負荷試験の薬理学的根拠となっている。
2.
薬理作用6),7)
メタコリンは気管支平滑筋の収縮及び気管支分泌物の増加を引き起こすことにより、気道閉塞に関与する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
メタコリン塩化物 (Methacholine Chloride)
化学名:
(2RS )-2-Acetoxy-N ,N ,N -trimethylpropylaminium chloride
構造式:
分子式:
C8H18ClNO2
分子量:
195.69
性状:
本品は白色の結晶性の粉末である。
本品は水、エタノール(99.5)及びクロロホルムに溶けやすい。
融点:
170~173℃
取扱い上の注意
本剤を取扱う場合、本剤に暴露しないよう注意すること。
承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
包装
ケンブラン吸入粉末溶解用100mg 100mg×1 瓶
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
日本呼吸器学会 肺生理専門委員会編.臨床呼吸機能検査第7版, 181(2008) 〔64940〕
2)
American Thoracic Society(ATS):Am. J. Respir. Crit. Care Me