とがある。視力低下等の異常が認められた場合には黄斑浮腫の可能性を考慮し適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、1日1回15mgから投与を開始するなど、副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、ラット器官形成期投与試験では、40mg/kg以上の群で胚・胎児死亡率の高値、出生児の生存率の低値が、ウサギ器官形成期投与試験では、160mg/kg群で親動物の死亡又は流産がそれぞれ1例、胚・胎児死亡率の高値がみられている。]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。1)]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1.
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
2.
服用時
本剤は舌の上にのせ唾液を浸潤させ舌で軽くつぶし、崩壊後唾液のみで服用可能である。また、水で服用することもできる。
その他の注意
1.
ラット及びマウスに24ヵ月間強制経口投与した試験では、ラット雄の3.6mg/kg/日以上の群に膀胱腫瘍がみられた。
2.
海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究の中間解析において、全体解析では膀胱癌の発生リスクに有意差は認められなかったが(ハザード比 1.2 [95%信頼区間 0.9-1.5])、層別解析で本剤の投与期間が2年以上で膀胱癌の発生リスクが有意に増加した(ハザード比 1.4 [95%信頼区間 1.03-2.0])。2)
また、別の疫学研究において、本剤を投与された患者で膀胱癌の発生リスクが有意に増加し(ハザード比 1.22 [95%信頼区間 1.05-1.43])、投与期間が1年以上で膀胱癌の発生リスクが有意に増加した(ハザード比 1.34 [95%信頼区間 1.02-1.75])。
3.
家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis : FAP)のモデル動物であるMinマウスに類薬(トログリタゾン及びロシグリタゾン)を経口投与したところ、結腸腫瘍の数及び大きさを増大させたとの報告がある。3,4)
薬物動態
1.
血中濃度
健康成人男子(62例)にアクトスOD錠30を水なしで、あるいはアクトス錠30を水ありでクロスオーバー法にて、朝絶食下に単回投与した時、未変化体の血中濃度は次図のとおりであり、生物学的同等性が認められた。なお、未変化体、活性代謝物(M-II~IV)の薬物動態学的パラメータは表1のとおりである。
また、健康成人男子(8例)に空腹時又は食後にピオグリタゾンとして1回30mgを単回経口投与した時、食後投与において未変化体のTmaxの延長がみられた以外に未変化体の薬物速度論的パラメータに大きな差はなく、摂食による影響はほとんどないと考えられる。5)
なお、Wistar fattyラットで調べた血糖低下作用において、M-II~IVの活性は未変化体より弱い。
2.
尿中排泄
健康成人男子(14例)に空腹時にピオグリタゾンとして1回30mgを単回経口投与した時、尿中には主としてM-IV~VIが排泄され、投与後48時間までの累積尿中排泄率は約30%である。6)
3.
反復投与時の血中濃度
健康成人男子(6例)に1日1回ピオグリタゾンとして30mgを9日間(2日目は休薬)反復経口投与した時、未変化体及び活性化合物合計(未変化体+M-II~IV)の血中濃度は6~7日目でほぼ定常状態に達し、反復投与による蓄積性はないものと考えられる。5)
4.
スルホニルウレア剤併用時の血中濃度
スルホニルウレア剤(グリベンクラミド、グリクラジド)使用中の2型糖尿病患者に対して、1日1回ピオグリタゾンとして30mgを7日間投与した時、本剤の未変化体及び活性化合物合計(未変化体+M-II~IV)の血中濃度は食事療法のみの2型糖尿病患者での結果と近似しており、また、スルホニルウレア剤の血中濃度推移及び蛋白結合率に影響はみられていない。7)
5.
α-グルコシダーゼ阻害剤併用時の血中濃度
ボグリボース使用中の2型糖尿病患者に対して、1日1回ピオグリタゾンとして30mgを投与した時、本剤の活性化合物合計(未変化体+M-II~IV)の血中濃度は食事療法のみ又はスルホニルウレア剤使用中の2型糖尿病患者での結果と近似している。8)
6.
ビグアナイド系薬剤併用時の血中濃度
メトホルミン反復投与中の健康成人男子(14例)に対して、1日1回ピオグリタゾンとして30mgを投与した時、本剤の活性化合物合計(未変化体+M-II~IV)の血中濃度は本剤単独投与時の健康成人男子(8例)での結果と近似している。
7.
その他
ピオグリタゾンの代謝にはチトクロームP450 1A1、1A2、2C8、2C9、2C19、2D6、3A4の複数の分子種が関与している。また、ピオグリタゾンはヒトチトクロームP450分子種発現ミクロゾームの代謝活性に対して、チトクロームP450 1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4にほとんど影響を与えない(in vitro)。
表1 単回投与時の血中濃度
Cmax
(ng/mL) |
Tmax
(h) |
AUC0-72
(ng・hr/mL) |
T1/2
(h) |
未変化体 |
アクトスOD錠
アクトス錠 |
1,548.6±477.92
1,468.7±380.39 |
2.726±1.0852
2.105±1.0368 |
16,842.9±6,540.00
15,536.7±4,889.06 |
6.727±2.3160
6.788±2.37 |