水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
8. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明):中毒性表皮壊死融解症,皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと。
9. 肝機能障害,黄疸(頻度不明):肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,肝機能検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
10. 急性腎不全(頻度不明):急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので,腎機能検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと。
その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には,必要に応じて,減量,休薬又は中止するなどの適切な処置を行うこと。
肝臓
0.1~5%未満
肝障害,黄疸,コリンエステラーゼ値の低下等
腎臓
5%以上又は頻度不明
乏尿による尿浸透圧の上昇,蛋白尿,浮腫等
消化器
5%以上又は頻度不明
悪心・嘔吐
消化器
0.1~5%未満
食欲不振,味覚異常,口渇,潰瘍性口内炎,胸やけ,おくび,腹部膨満感,腹痛,便秘,下痢等
過敏症
5%以上又は頻度不明
発疹等
皮膚
5%以上又は頻度不明
脱毛,皮膚炎,色素沈着,爪の変形・変色等
精神神経系
5%以上又は頻度不明
倦怠感
精神神経系
0.1~5%未満
頭痛,眩暈,不眠
精神神経系
0.1%未満
運動失調等
呼吸器
0.1~5%未満
肺水腫等
循環器
0.1~5%未満
心電図異常,心悸亢進,低血圧等
内分泌
0.1~5%未満
副腎皮質機能不全,甲状腺機能亢進等
性腺
0.1~5%未満
無精子症,卵巣機能不全,無月経等
その他
5%以上又は頻度不明
低ナトリウム血症
その他
0.1~5%未満
発熱,創傷の治癒遅延,高血糖,CK(CPK)上昇
高齢者への投与
高齢者では,生理機能が低下していることが多く,副作用があらわれやすいので,用量並びに投与間隔に留意すること。
妊婦,産婦,授乳婦等への投与
1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないことが望ましい。また,妊娠する可能性のある婦人及びパートナーが妊娠する可能性のある男性には,適切な避妊をするよう指導すること。妊娠中に本剤を使用するか,本剤を使用中に妊娠した場合は,胎児に異常が生じる可能性があることを患者に説明すること。[催奇形性を疑う症例報告があり,動物試験では,本剤2.5 mg/kgを投与した雌ラットで胚・胎児の死亡及び催奇形作用が報告されている9)。本剤5.1 mg/kgを投与した雄ラットを,本剤を投与しない雌ラットと交配させたところ,胎児の死亡増加及び奇形を認めたとの報告がある10)。]
2. 授乳婦に投与する場合には,授乳を中止させること。[乳汁中に分泌されることが報告されている。]
小児等への投与
1. 自覚的並びに他覚的症状の寛解,治療抵抗性のリウマチ性疾患の場合:低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[「重要な基本的注意」の項参照]
2. ネフローゼ症候群の場合:低出生体重児,新生児又は乳児に対する安全性は確立していない。[「重要な基本的注意」の項参照]
過量投与
徴候,症状:過量投与による主な副作用として,骨髄抑制,急性腎不全,出血性膀胱炎,排尿障害,心筋障害,心不全,肝中心静脈閉塞症,口内炎等が起こり得る。[「副作用」の項参照]
処置:本剤は特有の解毒剤を有していないが,血液透析により除去されるとの報告がある11)。本剤の過量投与が疑われた場合は投与を中止し,中毒症状の出現など患者の状態により血液透析を考慮するとともに,輸血,血液造血因子の投与等の対症療法を行うこと。
適用上の注意
1. 調製時:
(1) 本剤は,細胞毒性を有するため,調製時には手袋等を着用し,安全キャビネット内で実施することが望ましい。皮膚及び粘膜に薬液が付着した場合には,直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
(2) 本剤はバイアル入りの散剤である。調製する際は,バイアルを開栓せずに溶解すること。
(3) バイアルに精製水等を注入する際及び溶解時は,できる限り泡立たないように注意すること。
(4) 溶解後,単シロップ等で経口液剤を調製すること。
2. 薬剤交付時:
(1) 経口液剤に調製後,速やかに交付すること。
(2) 時間とともに有効成分の含量が低下するおそれがあるので,経口液剤は冷蔵庫で保管するよう指導すること。また,調製後4週間以内に服用させること。
(3) 経口液剤が皮膚及び粘膜等についた場合は,流水でよく洗い流すよう指導すること。
薬物動態
1. 代謝
(1) 本剤は,主に肝代謝酵素CYP2B6で代謝され,活性化される。また,CYP2C8,2C9,3A4,2A6も本剤の代謝に関与していることが報告されている12)。(in vitro)
(2) 代謝物13):4-ヒドロキシシクロホスファミド※,アルドホスファミド※,ホスファミドマスタード※,アクロレイン,4-ケトシクロホスファミド,カルボキシホスファミド
(※:活性代謝物)
2. 排泄
(外国人によるデータ)
(参考)
(1) 各種の悪性腫瘍患者26例に,14C-標識シクロホスファミド6.8~80mg/kg※を静脈内投与した場合,尿中には投与量の約62%が2日以内に,約68%が4日以内に排泄された。また,糞便中には投与量の約1.8%が4日以内に排泄され,呼気中には投与量の約0.9~1.4%が4日以内に排泄された14)。(※:一部承認外の高用量を含む。)
(2) 大部分は不活性代謝物として尿中に排泄され13),活性代謝物の尿中排泄率は12時間で投与量の約1%15),未変化体の尿中排泄率は24時間で投与量の約10%であった16)。
3. その他
血漿蛋白結合率:シクロホスファミド12~24%13)(外国人によるデータ)
薬効薬