副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン、アドレナリン 等
臨床症状・措置方法
血糖降下作用を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。
食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。
併用時は血糖コントロールに注意し、血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
機序・危険因子
血糖降下作用が減弱される。
4. 薬剤名等
利尿薬
ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬 等
臨床症状・措置方法
本剤との併用により、利尿作用が増強されるおそれがあるため、必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること。
機序・危険因子
利尿作用が増強される。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内の臨床試験において、1012例中172例(17.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、頻尿36例(3.6%)、口渇18例(1.8%)、性器感染17例(1.7%)、尿路感染17例(1.7%)等であった。(承認時)
重大な副作用
1.
低血糖:他の糖尿病用薬(特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤、GLP-1受容体作動薬)との併用で低血糖があらわれることがある。また、他の糖尿病用薬と併用しない場合も、低血糖があらわれることがある。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。(「臨床成績」の項参照)
2.
**腎盂腎炎、敗血症(頻度不明):腎盂腎炎があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「慎重投与」及び「重要な基本的注意(8)」の項参照)
3.
脱水(頻度不明):脱水があらわれることがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行うこと。口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されているので、十分注意すること。(「慎重投与」及び「重要な基本的注意(3)」の項参照)
4.
**ケトアシドーシス(頻度不明):ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「重要な基本的注意(9)」の項参照)
その他の副作用
1. 感染症
1~5%未満
性器感染(腟カンジダ症等)、尿路感染(膀胱炎等)
2. 血液
1%未満
ヘマトクリット増加
3. 消化器
1~5%未満
便秘、口渇
4. 消化器
1%未満
下痢
5. 筋・骨格系
1%未満
背部痛
6. 皮膚
1~5%未満
発疹
7. 腎臓
1~5%未満
頻尿
8. 腎臓
1%未満
腎機能障害、排尿困難、尿量増加
9. 精神神経系
1%未満
頭痛、振戦、めまい
10. 眼
1%未満
眼乾燥
11. 生殖器
1~5%未満
陰部そう痒症
12. 循環器
1%未満
高血圧
13. その他
1%未満
倦怠感、体重減少
高齢者への投与
1.
一般に高齢者では、生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。(「重要な基本的注意(3)」の項参照)
2.
高齢者では脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがあるので、注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には本剤を投与せず、インスリン製剤等を使用すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立されていない。動物実験(ラット)において、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる期間の曝露及び生後21日~90日の曝露により、出生児及び幼若動物に腎盂及び尿細管の拡張が認められたとの報告がある。また、本薬の動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。]
2.
授乳中の婦人には投与することを避け、やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること。[ラットで乳汁中への移行が報告されている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性及び有効性は確立していない(使用経験がない)。
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤の作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖及び血清1,5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならないので注意すること。
適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
国内外の臨床試験の併合解析において、全ての悪性腫瘍の発現割合は本剤群と対照群で同様であったが、膀胱癌及び乳癌では本剤群で多い傾向が認められた。しかしながら、投与開始から膀胱癌及び乳癌の診断までが短期間であったことから、いずれの腫瘍においても本剤との因果関係は確立されておらず、非臨床試験においても発癌性あるいは変異原性は認められていない。
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 単回投与1)
健康成人男性6例に本剤2.5注)及び10mgを空腹時に単回経口投与したとき、ダパグリフロジンの血漿中濃度は投与約1時間後に最高値に達し、消失半減期は約8~12時間であった。
図 健康成人男性に本剤単回経口投与時の血漿中ダパグリフロジン濃度推移(平均±標準偏差、n=6)
表 単回経口投与時のダパグリフロジンの薬物動態パラメータ参照
注)本剤の承認用量は5~10mg/日である。
(2) 反復投与1)
2型糖尿病患者9例に本剤2.5注)及び10mgを1日1回14日間反復経口投与したとき、空腹時投与後のCmaxは48及び191ng/mL、AUCτは157及び727ng・h/mL、累積係数は1.28及び1.21であった。
注)本剤の承認用量は5~10mg/日である。
2. 食事の影響(外国人データ)2)
健康成人29例に本剤10mgを空腹時又は高脂肪高カロリー食摂取後(食後)に投与したとき、空腹時投与に対する食後投与のダパグリフロジンのCmax及びAUCinfの幾何平均比(