、及びバイアル内に微粒子が含まれていないか溶解後溶液を目視検査すること。微粒子、又は変色が認められた溶液は使用しないこと。
(3)
溶解後溶液は、室温(25℃)又は冷蔵保存(2~8℃)し、24時間以内に投与を開始すること。溶解後溶液は遮光下で保存すること。
(4)
使用後の残液は、保存せずに廃棄すること。1バイアルから2回以上の薬液採取は行わないこと。
3. 投与時
(1)
本剤の投与に際して必要量(mL)を計算するために、まず個々の患者の1回投与量(μg)を【用法・用量】に従い算出する。例えば、体重55kgの患者が初回投与量1μg/kgで投与を開始する場合、必要な患者の1回投与量は55μgである。これを溶解後溶液の最終濃度(500μg/mL)で割ると、患者に投与すべき必要量(mL)が算出される。この場合は、必要量は55(μg)/500(μg/mL)=0.11mLとなる。
(2)
1回当たり0.5mLを超える場合には、複数のバイアルから必要量(mL)を確保すること。
(3)
投与液量が少ないため、0.01mL目盛り注射器等を用いて投与すること。
その他の注意
慢性特発性血小板減少性紫斑病患者を対象とした海外臨床試験において、造血器腫瘍の発現が認められた。
骨髄異形成症候群患者(承認外)では、疾患の進行に伴い急性骨髄性白血病へ移行することが知られている。骨髄異形成症候群患者を対象とした海外臨床試験(海外未承認)において、一過性の芽球の増加と、急性骨髄性白血病への移行が認められたとの報告がある。1)
薬物動態
慢性特発性血小板減少性紫斑病患者4例に本剤5~7μg/kgを反復皮下投与した後の血清中濃度推移を示した。薬物動態パラメータは以下のとおりであり、投与後12~24時間にCmaxが認められ、t1/2は47.6~116時間であった。2)
反復投与した後の被験者ごとの薬物動態パラメータ
投与量(μg/kg) |
AUC0~168h(pg・h/mL) |
Cmax(pg/mL) |
tmax(h) |
t1/2(h) |
5 |
28500 |
310 |
24 |
116 |
6 |
27400 |
501 |
12 |
47.6 |
7 |
13900 |
98.4 |
24 |
- |
7 |
16400 |
221 |
24 |
58.8 |
臨床成績
1. 国内臨床試験(二重盲検比較試験)3)
過去に1種類以上の慢性特発性血小板減少性紫斑病治療歴を有し、脾臓摘出歴の有無を問わない血小板数が30,000/μL未満の血小板減少を呈する成人慢性特発性血小板減少性紫斑病患者(本剤群22例、プラセボ群12例)を対象として、本剤を3μg/kgから投与開始した(承認された用法・用量と異なる)。12週間の投与期間において、有効性に関する主要評価項目である血小板反応(投与第2~13週目の各週の規定日に測定した血小板数が50,000/μL以上に増加すること)が認められた週数は、本剤群で9.5±3.3週(平均値±標準偏差)、プラセボ群で0.2±0.4週であり、本剤群で有意(P<0.0001)に高値であった。
2. 海外臨床試験(二重盲検比較試験)4)
(1) 脾臓摘出歴を有する患者を対象とした試験
過去に1種類以上の慢性特発性血小板減少性紫斑病治療歴を有し、血小板数が30,000/μL未満の成人慢性特発性血小板減少性紫斑病患者63例(本剤群42例、プラセボ群21例)を対象として、本剤を1μg/kgから投与開始した。24週間の投与期間において持続血小板反応(治療期間の最後の8週間のうち6週間以上で血小板数が50,000/μL以上であること)が認められた患者の割合は、本剤群で38.1%(42例中16例)、プラセボ群で0%(21例中0例)であり、本剤群で有意(P<0.0013)に高値であった。
(2) 脾臓摘出歴を有さない患者を対象とした試験
過去に1種類以上の慢性特発性血小板減少性紫斑病治療歴を有し、血小板数が30,000/μL未満の成人慢性特発性血小板減少性紫斑病患者62例(本剤群41例、プラセボ群21例)を対象として、本剤を1μg/kgから投与開始した。24週間の投与期間において、持続血小板反応が認められた患者の割合は、本剤群で61.0%(41例中25例)、プラセボ群で4.8%(21例中1例)であり、本剤群で有意(P<0.0001)に高値であった。
薬効薬理
本剤は、巨核球系前駆細胞に直接作用し、血小板造血作用を発揮する。5)
(1) 造血作用
本剤は、正常マウス、ラット、アカゲザル及びカニクイザルに静脈内又は皮下投与した際に、血小板造血作用(血小板数の増加)を示し、脾臓摘出マウスへの皮下投与においても同様な作用を示した。また血小板に対する自己抗体の産生により、血小板破壊が起こり血小板減少を呈するW/BF1系マウスへの皮下投与により、血小板数減少に対して改善作用を示した。
(2) 作用機序
本剤は、トロンボポエチン受容体に結合し、ヒト末梢血及びカニクイザル骨髄由来造血前駆細胞に対して巨核球前駆細胞由来のコロニー形成を濃度依存的に促進させた(in vitro)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ロミプロスチム(遺伝子組換え)
Romiplostim(Genetical Recombination)
分子量
59,085
本質
ロミプロスチム(遺伝子組換え)は、遺伝子組換えFc-ペプチド融合タンパク質であり、2~228番目はヒトIgG1のFc領域、また229~269番目はヒトトロンボポエチン受容体結合配列を含むペプチドからなる。ロミプロスチムは