管内に残存するテオフィリンの除去として催吐、胃洗浄、下剤の投与、活性炭の経口投与等があり、血中テオフィリンの除去として輸液による排泄促進、活性炭の経口投与、活性炭を吸着剤とした血液灌流、血液透析等がある。なお、テオフィリン血中濃度が低下しても、組織に分布したテオフィリンにより血中濃度が再度上昇することがある。
(1) 痙攣、不整脈の発現がない場合
1)
服用後短時間しか経過していないと思われる場合、嘔吐を起こさせることが有効である。服用後1時間以内の患者では特に有効である。
2)
下剤を投与する。ただし、体液、電解質の異常に注意すること。
3)
活性炭を反復経口投与し、テオフィリン血中濃度をモニターする。
4)
痙攣の発現が予測されるようなら、フェノバルビタール等の投与を考慮する。ただし、フェノバルビタールは呼吸抑制作用を示すことがあるので、使用に際しては注意すること。
(2) 痙攣の発現がある場合
1)
気道を確保する。
2)
酸素を供給する。
3)
痙攣治療のためにジアゼパム静注等を行う。痙攣がおさまらない場合には、全身麻酔薬投与を考慮する。
4)
バイタルサインをモニターする。血圧の維持及び十分な水分補給を行う。
(3) 痙攣後に昏睡が残った場合
1)
気道を確保し、酸素吸入を行う。
2)
大口径の胃洗浄チューブを通じて下剤及び活性炭の投与を行う。
3)
テオフィリン血中濃度が低下するまでICU管理を継続し、十分な水分補給を続ける。活性炭を反復経口投与しても血中濃度が下がらない場合には、活性炭による血液灌流、血液透析も考慮する。
(4) 不整脈の発現がある場合
1)
不整脈治療としてペーシング、直流除細動、抗不整脈薬の投与等適切な処置を行う。
2)
バイタルサインをモニターする。血圧の維持及び十分な水分補給を行う。また、電解質異常がある場合はその補正を行う。
適用上の注意
1. 薬剤交付時:
(1)
本剤は徐放性製剤なので、かまずに服用するよう指導すること。
(2)
水とともに服用するよう指導すること。
(3)
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
2. 製剤残渣:
糞便中に、まれに本剤由来の白色物質がみられることがある。
薬物動態
1. 吸収
健康成人にユニフィルLA錠400mgを絶食、低脂肪食、高脂肪食の条件下で経口投与したとき、血中テオフィリン濃度は絶食で約8時間、低脂肪食及び高脂肪食では約12時間後に最高値を示し、消失半減期はいずれも約10時間であった。
最高血中濃度及びAUC共に絶食下では摂食時に比して低値を示したが、低脂肪食と高脂肪食との間には差はみられず、食事の内容による影響は認められなかった1)。
ユニフィルLA錠400mg 1錠、1.5錠、2錠各1日1回の連続投与試験において、どの投与量でも投与3回目にほぼ定常状態に達した。定常状態下のCmax、Cmin、AUCには線形性が認められ、投与量に応じた薬物動態が得られた2)。
2. バイオアベイラビリティ
健康成人にユニフィルLA錠400mg 1錠とユニフィルLA錠200mg 2錠を単回投与し、その薬物動態を検討したところ、両製剤は生物学的に同等であることが認められた3)。
また、100mg錠2錠と200mg錠1錠の単回投与試験においても、同様に両剤の生物学的同等性が認められた。
3. 代謝・排泄
健康成人にユニフィルLA錠400mgを投与した場合、投与60時間までの累積尿中排泄率は約73%であり、未変化体約12%、代謝物約61%であった。なお、代謝物として1,3-ジメチル尿酸、1-メチル尿酸、3-メチルキサンチンが認められた1)。
薬物の肝酸化型代謝に関与するチトクロームP450分子種
主としてCYP1A2
臨床成績
臨床効果4~9)
気管支喘息に対する改善率は、改善以上64.2%(366/570例)、やや改善以上88.8%(506/570例)を示した。慢性気管支炎に対する改善率は、改善以上で44.0%(22/50例)、やや改善以上で82.0%(41/50例)を示し、肺気腫においては改善以上53.2%(41/77例)、やや改善以上83.1%(64/77例)であった。また、二重盲検比較試験により本剤の有用性が認められている。
薬効薬理
テオフィリンの作用機序としてホスホジエステラーゼ阻害によるc-AMPの増加、アデノシン受容体拮抗、細胞内Ca2+の分布調節、肥満細胞からの気管収縮因子の遊離阻害、横隔膜収縮能の増大等があげられている。気管支喘息患者において、呼吸機能の改善に加えて喀痰中の総好酸球数と活性化好酸球数の減少並びに末梢血中の細胞傷害性蛋白であるECP(eosinophil cationic protein)値の減少等の抗炎症作用がみられている。テオフィリンは、これらの作用により優れた抗喘息効果を示す10~15)。
また、本剤を投与した慢性閉塞性肺疾患患者において、喀痰中の好中球、IL-8値及びTNF-α値の減少が報告されている16)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
テオフィリン(Theophylline)
化学名
1,3-Dimethyl-1H-purine-2,6(3H,7H)-dione
構造式
分子式
C7H8N4O2
分子量
180.16
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けやすく、水又はエタノール(99.5)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
融点
271~275℃
包装
※ユニフィルLA錠100mg:
[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、700錠(14錠×50)
※ユニフィルLA錠200mg:
[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、700錠(14錠×50)
[プラスチックボトル]500錠
※ユニフィルLA錠400mg:
[PTP]100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、700錠(14錠×50)
[プラスチックボトル]500錠
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
矢野三郎ほか:臨床医薬,8(Suppl.5),19-35,1992
2)
矢野三郎