よる血圧低下のおそれがあり、また、作用機序は不明であるが、血圧上昇のおそれもあるので、本剤投与中は血圧の変動に注意すること。
4.
本剤による高カリウム血症発症あるいは増悪のおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム濃度を測定すること。
5.
患者又はそれに代わる適切な者に対して、本剤の有効性及び安全性は少数例の抗利尿ホルモン不適合分泌症候群の患者のみで評価されたものであることを十分説明し、文書による同意を得ること。(〔臨床成績〕の項参照)
相互作用
相互作用の概略
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4とCYP2C8で代謝される。
CYP3A4阻害剤との併用により本剤の代謝が阻害され未変化体及び活性代謝物の血中濃度が上昇する可能性がある。更に、CYP3A4で代謝される薬剤の代謝を阻害しその血中濃度を上昇させる可能性もある。しかし、他の薬剤との相互作用はすべての薬剤との組み合わせについて検討されているわけではないので、他剤による治療中に新たに本剤を併用、又は本剤による治療中に新たに他の薬剤を併用する場合には、患者の状態を十分観察し慎重に投与すること。(〔薬物動態〕の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
薬物代謝酵素(CYP3A4)を阻害する薬剤
イトラコナゾール等
臨床症状・措置方法
代謝阻害により、本剤の作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
イトラコナゾールは、本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、未変化体及び活性代謝物の血中濃度を上昇させる。(〔薬物動態〕の項参照)
2. 薬剤名等
薬物代謝酵素(CYP3A4)の基質となる薬剤
デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
抗悪性腫瘍薬(イリノテカン塩酸塩水和物、ビンクリスチン硫酸塩等)
鎮痛剤(オキシコドン塩酸塩水和物、ブプレノルフィン塩酸塩、フェンタニルクエン酸塩、フェンタニル等)
等
臨床症状・措置方法
代謝阻害により、基質となる薬剤の作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
本剤は、これらの薬剤のCYP3A4による代謝を阻害するおそれがある。(〔薬物動態〕の項参照)
3. 薬剤名等
ループ利尿薬
フロセミド等
臨床症状・措置方法
利尿作用が増強するおそれがある。血圧、脈拍数、尿量、血清ナトリウム濃度等を頻回にチェックし、脱水症状の発現に注意すること。
機序・危険因子
利尿作用を増強させる。(〔薬物動態〕の項参照)
副作用
副作用等発現状況の概要
国内で実施された抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を対象とした臨床試験(異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍以外に起因する12例を含む)において、安全性解析対象28例中11例(39.3%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は、口渇6件(21.4%)、AST(GOT)上昇2件(7.1%)、ALT(GPT)上昇2件(7.1%)、血清カリウム上昇2件(7.1%)等であった。
1. 肝臓
5%以上
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇
2. 肝臓
1~5%未満
肝機能異常、γ-GTP上昇、LDH上昇、コリンエステラーゼ減少
3. 消化器
5%以上
口渇
4. 消化器
1~5%未満
食欲減退
5. 腎臓
1~5%未満
BUN上昇
6. 泌尿器
1~5%未満
頻尿
7. 電解質
5%以上
血清カリウム上昇
8. 電解質
1~5%未満
血清カルシウム減少
9. その他
1~5%未満
倦怠感、総蛋白減少、口周囲浮腫
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しており、また、脱水症状を起こしやすいとされているため、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験で催奇形作用(ラット)及び胚致死作用(ラット及びウサギ)が報告されている。また、妊娠ラットで胎盤通過が報告されている。]
2.
妊娠する可能性のある婦人には、避妊をさせること。[動物実験(雌マウス)で卵子の減数分裂期に投与したとき、妊娠動物及び着床数あたりの生存児数の低下が認められ生殖細胞に染色体異常を誘発する可能性が報告されている。]
3.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁移行が報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(使用経験がない。)
その他の注意
異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍による抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を対象とした本薬の注射剤による臨床試験において、死亡が2例報告された。このうち、1例は死因不明であり、播種性血管内凝固症候群(DIC)を発現し死亡した他の1例は本薬の注射剤との関連性が否定されなかった。
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 単回投与
健康成人男子に本剤30mg(30mg錠×1錠)を食後単回経口投与した時の血漿中濃度推移と薬物動態パラメータを図1及び表1に示す。
図1 健康成人男子にモザバプタン塩酸塩30mg錠1錠を食後単回経口投与した時の未変化体及び主要活性代謝物の血漿中濃度推移(10例)
(2) 反復投与
健康成人男子に本剤30mgを食後反復経口投与した時、未変化体及び主要活性代謝物の血漿中濃度は、反復投与5日目には定常状態に達し、未変化体及び主要活性代謝物のCmax及びAUC24hrについて算出した累積係数は、それぞれ0.83~1.03及び1.06~1.36であった。
(3) 食事の影響
健康成人男子に本剤30mgを単回経口投与した時、食後投与に比べ空腹時では、未変化体と活性代謝物の合計のCmax及びAUC48hrはそれぞれ41%及び16%増加した。
2. 蛋白結合率
未変化体のヒト血漿蛋白結合率は95.9~98.2%、主要代謝物のヒト血清蛋白結合率は83.7%以上であった(in vitro、限外ろ過)。
3. 代謝酵素
未変化体及びその代謝物は、ヒト肝ミクロゾームチトクロームP450の分子種のうち、主としてCYP3A4とCYP2C8により代謝される(in vitro)。
4. 排泄(参考:外国人による成績)
健康成人男子に、14C-モザバプタン塩酸塩60mg水溶液を絶食下に単回経口投与した時、投与後7日までに尿中に45.6%、糞便中に49.7%が排泄された。
5. 相互作用
・健康成人男子に、イトラコナゾール1