5.新生児腸閉塞
頻度不明
新生児腸閉塞があらわれることがある。
6.**本薬の注射剤において,肺水腫,心不全,無顆粒球症,白血球減少,血小板減少,ショック,不整脈,肝機能障害,黄疸,中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),胸水,母体の腸閉塞,胎児及び新生児における心不全,新生児心室中隔壁の肥大,新生児低血糖があらわれたとの報告があるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
その他の副作用
循環器
頻度不明
不整脈(心室性期外収縮等)
循環器
0.1~5%未満
動悸,頻脈,顔面潮紅
肝臓注)
頻度不明
AST(GOT),ALT(GPT)の上昇等
血液
頻度不明
血小板減少
精神神経系
頻度不明
しびれ
精神神経系
0.1~5%未満
振戦
精神神経系
0.1%未満
ふらつき
消化器
0.1~5%未満
嘔気,腹痛
過敏症
頻度不明
発疹,紅斑
胎児・新生児
頻度不明
胎児頻脈,胎児不整脈,新生児頻脈,新生児低血糖症
注)異常が認められた場合には減量,休薬等の適切な処置を行うこと。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.妊娠16週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立していないので,投与しないこと(使用経験が少ない)。
2.出産直前に本剤を投与した場合には,出産直後の授乳を避けることが望ましい。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
薬物動態
1.血中濃度1)
本剤10mgを健康成人5例に単回投与した際の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。
2.尿中排泄1)
本剤10mgを健康成人に単回投与した際,投与後48時間までに投与量の85.5%が尿中に排泄され,そのほとんどは投与後12時間以内に排泄された。
薬物動態の表
健康成人に10mg単回投与時の薬物動態パラメータ
Tmax(hr) |
Cmax(ng/mL) |
AUC(ng・hr/mL) |
T1/2(hr) |
1.0 |
9.9 |
29.85 |
0.20及び1.36 |
臨床成績
国内で実施した切迫流・早産患者,総計614例の二重盲検比較試験及び一般臨床試験の概要は次のとおりである。
(1)二重盲検比較試験により検討した結果,切迫流・早産患者に対する本剤の有用性が認められた。2,3)
(2)切迫流・早産患者に対する有効率は72.7%(437/601)であった。2~18)
薬効薬理
1.生体位子宮運動抑制作用19~22)
妊娠後期のラット,ウサギ,ヒツジ及びアカゲザルの自発性子宮運動ならびにPGF2α,オキシトシンなどの薬物誘発子宮運動亢進反応をリトドリン塩酸塩は用量依存的に抑制した。
2.摘出子宮運動抑制作用19)
妊娠ラット摘出子宮筋の自発運動ならびにアセチルコリン,オキシトシン,PGF2α,KCl及び電気刺激による誘発子宮収縮をリトドリン塩酸塩は濃度依存的に著明に抑制した。
3.子宮筋への選択性23)
ラット摘出妊娠子宮筋及びモルモット摘出右心房標本を用いた実験で,リトドリン塩酸塩は塩酸イソプロテレノール,塩酸イソクスプリンに比し優れた子宮筋への選択性を示した。
4.作用機序23,24)
薬理学的な分析(in vitro実験)より,リトドリン塩酸塩はβ-受容体に対する選択的な刺激効果に基づきc-AMP含量を増加させ,Ca++の貯蔵部位への取り込みを促進して子宮運動抑制をきたすと考えられるとともに,膜の過分極,膜抵抗減少及びスパイク電位発生抑制をきたし,子宮収縮抑制作用を発揮する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
リトドリン塩酸塩(Ritodrine Hydrochloride)
化学名
(1RS, 2SR)-1-(4-Hydroxyphenyl)-2-{[2-(4-hydroxyphenyl)ethyl]amino}propan-1-ol monohydrochloride
構造式
分子式
C17H21NO3・HCl
分子量
323.81
性状
本品は白色の結晶性の粉末である。本品は水,メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすい。本品は0.01mol/L塩酸試液に溶ける。本品の水溶液(1→10)は旋光性を示さない。本品は光により徐々に淡黄色となる。
融点
約196℃(分解)
包装
ウテメリン錠5mg 500錠
ウテメリン錠5mg 100錠[10錠×10]
ウテメリン錠5mg 500錠[10錠×50]
ウテメリン錠5mg 630錠[21錠×30]
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)健康成人を対象とした第I相臨床試験(社内資料)
2)坂元正一ほか:医学のあゆみ, 133(10), 734, 1985.
3)坂元正一ほか:産科と婦人科, 58(9), 1597, 1991.
4)坂元正一ほか:周産期医学, 13(8), 1313, 1983.
5)北川浩明ほか:産科と婦人科, 52(3), 398, 1985.
6)石川雅嗣ほか:産婦人科の世界, 42(4), 347, 1990.
7)佐藤郁夫ほか:産婦人科の実際, 39(6), 955, 1990.
8)成田喜代司ほか:周産期医学, 19(7), 1001, 1989.
9)馬島秀泰ほか:産婦人科の実際, 40(13), 2237, 1991.
10)綱脇 現ほか:産婦人科の実際, 41(3), 365, 1992.
11)前田一雄ほか:診療と新薬, 22(1), 31, 1985.
12)竹内正七ほか:産科と婦人科, 52(1), 127, 1985.
13)中田浩一ほか:診療と新薬, 21(12), 2609, 1984.
14)岩崎まり子ほか:産科と婦人科, 52(2), 273, 1985.