試験の結果、漸増法により本剤100~1,200μg/m2(通常400μg/m2)を点滴静注した場合、好中球数の増加効果が認められ、その有効率は67.6%(23/34)であった。
7. 先天性・特発性好中球減少症14)
一般臨床試験の結果、本剤25~200μg/m2(通常50μg/m2)を皮下投与した場合、好中球数の増加効果が認められ、その有効率は78.0%(32/41)であった。
薬効薬理
1. 薬理作用15~20)
(1) 好中球数増加作用
1) 好中球前駆細胞の分化・増殖促進作用、成熟好中球の骨髄からの放出作用
in vitroコロニー形成試験において、マウスの骨髄細胞を本剤存在下で培養するとき、本剤は好中球前駆細胞の分化・増殖作用を有する。また、シクロホスファミド投与による好中球減少マウスに本剤を投与するとき、末梢血好中球数の減少は防止され、骨髄中では骨髄芽球から成熟好中球まで順を追って有意な増加が認められた。
ラットに本剤を投与するとき骨髄中の成熟好中球の末梢血への放出促進効果が推測される。
2) 造血幹細胞の末梢血中への動員
正常及び抗癌剤投与マウスに本剤を投与するとき末梢血中のCFU-GM、BFU-E、CFU-Mk及びCFU-Mixの増加が認められた。(社内資料)
3) 好中球減少動物モデルでの薬理作用
マウス、ラット、イヌ及びサルを用いた好中球減少動物モデル(抗癌剤投与、造血幹細胞移植、遺伝性好中球減少症)において、好中球数の増加効果が認められた。(社内資料)
(2) 好中球機能亢進作用
マウスを用いたin vitro及びex vivo試験において、本剤投与により貪食殺菌能の亢進が認められた。ラットを用いたin vitro及びex vivo試験において、本剤投与により好中球遊走能の亢進が認められた。(社内資料)
また、健常人の末梢血好中球を本剤存在下で培養するとき、FMLP刺激によるスーパーオキサイド産生亢進が認められた(in vitro)。悪性リンパ腫患者のがん化学療法施行後に本剤を投与するとき、単離した末梢血好中球において、FMLP刺激によるスーパーオキサイド産生亢進が認められた(ex vivo)。
2. 作用機序21)
マウス骨髄細胞、ヒト好中球に対する受容体結合試験により、本剤は好中球前駆細胞から成熟好中球までの細胞に存在する受容体に特異的に結合し、好中球前駆細胞に対してはその分化・増殖を促進させ、成熟好中球に対してはその機能を亢進させると推察される。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
フィルグラスチム(遺伝子組換え)
Filgrastim(Genetical Recombination)
本質
遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子であり、N末端にメチオニンが結合した175個のアミノ酸残基(C845H1339N223O243S9;分子量:18,798.61)からなるタンパク質である。
取扱い上の注意
シリンジ
(1)
プランジャーロッドの無理な操作はしないこと。またバックストップは、投与終了後まで外さないこと。
(2)
できるだけ使用直前までピロー包装からシリンジを取り出さないこと。
(3)
シリンジ先端部のフィルム・チップキャップが外れている、またはシリンジの破損等の異常が認められるときは使用しないこと。
包装
グラン注射液75:1アンプル、10アンプル
グラン注射液150:1アンプル、10アンプル
グラン注射液M300:1アンプル、10アンプル
グランシリンジ75:1シリンジ、10シリンジ
グランシリンジ150:1シリンジ、10シリンジ
グランシリンジM300:1シリンジ、10シリンジ
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
東 純一ほか:臨床医薬 5(8),1579(1989)
2)
東 純一ほか:臨床医薬 5(8),1605(1989)
3)
東 純一ほか:臨床医薬 5(11),2231(1989)
4)
東 純一ほか:臨床医薬 5(11),2253(1989)
5)
正岡 徹ほか:今日の移植 3(3),233(1990)
6)
正岡 徹ほか:今日の移植 3(2),169(1990)
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小川一誠ほか:癌と化学療法 17(3),365(1990)
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冨永 健ほか:Biotherapy 8(12),1503(1994)
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大野竜三ほか:医学のあゆみ 152(12),789(1990)
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