新生児、乳児に対する安全性は確立していないので投与しないことが望ましい(使用経験が少ない)。
2.
小児に投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。特に小児の末梢血幹細胞の動員ドナーに対する使用経験は少ない。本剤の投与はドナーの全身状態を考慮し、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
適用上の注意
〈注射液〉
(1) アンプルカット時
本剤はワンポイントカット(イージーカット)アンプルであるが、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭しカットすることが望ましい。
(2) 調製時
点滴静注に際しては、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液等の輸液に混和する。また、本剤を投与する場合は他剤との混注を行わないこと。
(3) 投与時
静脈内投与の場合は、できるだけ投与速度を遅くすること。
〈シリンジ〉
(1)
グランシリンジ製剤を使用する際は、チップキャップを外し、必要に応じて適当な注射針等を取り付け投与すること。
(2) 調製時
点滴静注に際しては、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液等の輸液に混和する。また、本剤を投与する場合は他剤との混注を行わないこと。
(3) 投与時
静脈内投与の場合は、できるだけ投与速度を遅くすること。
(4)
使用後の残液は確実に廃棄すること。
その他の注意
1.
顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した再生不良性貧血及び先天性好中球減少症患者において、骨髄異形成症候群又は急性骨髄性白血病へ移行したとの報告がある。
2.
顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した再生不良性貧血、骨髄異形成症候群及び先天性好中球減少症患者において、染色体異常がみられたとの報告がある。
3.
顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した末梢血幹細胞動員ドナーにおいて、骨髄増殖性疾患及び急性骨髄性白血病が発症したとの報告がある。
4.
副作用の項に記載した有害事象のほか、因果関係は明確ではないものの顆粒球コロニー形成刺激因子製剤を投与した末梢血幹細胞動員ドナーにおいて、末梢血幹細胞採取時に一時的な心停止が報告されている。海外のドナーにおいては、心不全、血管炎、脳血管障害、片頭痛、下痢、難聴、地中海型サラセミア、鎌状赤血球クライシス、痛風、高血糖、軟骨障害、虚血性心疾患、心筋炎、無月経、肺出血及び腎癌が有害事象として報告されている。
5.
乳癌、悪性リンパ腫及び骨髄腫患者の採取した自家末梢血幹細胞中に腫瘍細胞が混入していたとの報告がある。
6.
顆粒球コロニー形成刺激因子が、数種のヒト膀胱癌及び骨肉腫細胞株に対しin vitroあるいはin vivoで増殖促進傾向を示したとの報告がある。
薬物動態
1. 血漿中濃度1~4)
健常成人男子に本剤1.0μg/kgを単回点滴静注又は皮下投与したときの血漿中濃度の推移は、次のとおりであった。点滴静注(30分)後の消失半減期は1.40時間、AUCは21.6ng・hr/mLであった。皮下投与後の消失半減期は2.15時間、AUCは11.7ng・hr/mL、バイオアベイラビリティは0.54であった。
また、6日間連日点滴静注又は皮下投与における投与初日と6日目における血漿中濃度の推移に著明な差を認めず、蓄積性は認められなかった。
2. 尿中排泄1,3)
健常成人男子に本剤3.0μg/kgを点滴静注又は本剤1.0μg/kgを皮下投与し、24時間後までの尿中濃度を測定した結果、すべて測定限界以下であった。
臨床成績
1. 造血幹細胞の末梢血中への動員
末梢血幹細胞の動員ドナーに本剤を皮下投与した場合、国内一般試験ではドナー体重あたりCD34+細胞数(3×106/kg以上)採取可能なドナーは85.7%(6/7)、海外無作為比較試験(投与量10μg/kg)では患者体重あたりCD34+細胞数(3×106/kg以上)採取可能なドナーは88.0%(88/100)であった。また、自家末梢血幹細胞の動員患者の場合、乳癌を対象とした国内一般試験での本剤単独及びがん化学療法剤との併用によるCD34+細胞数(2×106/kg以上)採取可能な患者は、それぞれ57.1%(4/7)、100%(6/6)であった。(社内資料)
2. 造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進
(1) 末梢血幹細胞移植
同種末梢血幹細胞移植では急性白血病を対象とした海外無作為比較試験(投与量5μg/kg、皮下投与)、また、自家末梢血幹細胞移植では乳癌を対象とした国内一般試験及び悪性リンパ腫を対象とした海外無作為比較試験(投与量5μg/kg、皮下投与又は点滴静注)にて末梢血幹細胞移植後の好中球数の増加促進効果が認められた。同種及び自家末梢血幹細胞移植時の好中球数(≧500/mm3)の回復日数の中央値は、それぞれ13日、9~11日であった。(社内資料)
(2) 骨髄移植5,6)
同種同系骨髄移植患者を対象にプラセボを対照薬とした二重盲検比較試験の結果、本剤を点滴静注した投与群は、プラセボ投与群に比して有意な好中球数の増加促進が認められ、その有効率は本剤投与群78.1%(25/32)、プラセボ投与群35.3%(12/34)であった。また、自家骨髄移植患者を対象にした一般臨床試験においても同様に好中球数の増加促進を認め、その有効率は90.6%(29/32)であった。
3. がん化学療法による好中球減少症7~9)
悪性リンパ腫患者を対象にプラセボを対照薬とした二重盲検比較試験の結果、本剤の皮下投与群は、プラセボ投与群に比し有意な好中球数の回復促進効果が認められ、その有効率は本剤投与群89.3%(25/28)、プラセボ投与群13.8%(4/29)であった。
乳癌患者を対象にアデニンを対照薬とした二重盲検比較試験の結果、本剤の皮下投与群は、アデニン投与群に比し有意な好中球数の回復促進効果が認められ、その有効率は本剤投与群93.1%(27/29)、アデニン投与群14.3%(4/28)であった。
急性白血病患者を対象とした非盲検比較試験の結果、本剤を点滴静注した投与群は、非投与群に比し有意な好中球数増加効果及び感染症発生の減少が認められた。
4. ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症10,11)
一般臨床試験の結果、好中球数の増加効果が認められ、その有効率は88.5%(31/35)であった。
5. 骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症12)
一般臨床試験の結果、骨髄異形成症候群21例に対して漸増法により本剤50~400μg/m2(通常100μg/m2)を点滴静注した場合、20例に好中球数の増加効果及び17例中6例に骨髄所見の改善が認められた。
6. 再生不良性貧血に伴う好中球減少症13)
一般臨床