2C8及び3A4により水酸化体に代謝され、更にCYP3A4によりカルボン酸体に代謝された。また、カルボン酸体は非酵素的に脱メチル化された。
(2) In vivo
血漿中には、主にカルボン酸体が検出された(血中放射能の約54%)(外国人)。7)その他にはt-ブチル基が酸化された水酸化体、脱カルボン酸化された脱メチル体が検出された(外国人及び日本人)。2,7)
5. 排泄 7)
外国人固形癌患者4例に[14C]ダブラフェニブの95mg(懸濁液)を単回経口投与した時、尿糞中には投与量の93.8%が回収された(投与後240時間)。放射能の主排泄経路は糞中(投与量の約71.1%)であり、尿中には22.7%が回収された。
6. 相互作用
(1) In vitro
ダブラフェニブはCYP2B6及び3A4を誘導した。8)また、ダブラフェニブはCYP2C8及び2C19を阻害した(IC50値:それぞれ8.2及び22.4μmol/L)。9)ダブラフェニブはPgp及びBCRPの基質であった。10)
(2) In vivo
1) トラメチニブ 11)
外国人固形癌患者17例にトラメチニブ2mgの1日1回反復経口投与とダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与を併用した時、血漿中ダブラフェニブのCmax及びAUCは、ダブラフェニブ単独投与時に比べて、それぞれ約16及び23%増加した。
2) ケトコナゾール 12)
外国人固形癌患者16例にCYP3A4の阻害作用を有するケトコナゾール(経口剤は国内未承認)400mgの1日1回反復経口投与をダブラフェニブ75mgの1日2回反復経口投与と併用したときのダブラフェニブのAUC及びCmaxは、ダブラフェニブ単独投与に比べてそれぞれ約71及び33%増加した。
3) ゲムフィブロジル 13)
外国人固形癌患者17例にCYP2C8の阻害作用を有するゲムフィブロジル(国内未承認)600mgの1日2回反復経口投与をダブラフェニブ75mgの1日2回反復経口投与と併用したとき、ダブラフェニブ単独投与に比べてダブラフェニブのAUCは約47%増加したものの、Cmaxは変化しなかった。
4) ワルファリン 14)
外国人固形癌患者14例にダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与とワルファリン(S体:CYP2C9の基質、R体:CYP3A4及びCYP1A2の基質)15mg単回経口投与を併用したときのワルファリンのAUCは、ワルファリン単独投与に比べて、S体で約37%、R体で約33%減少した。また、ワルファリンのCmaxはワルファリン単独投与に比べて、S体で約18%、R体で約19%増加した。
5) ミダゾラム 15)
外国人固形癌患者12例にダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与とミダゾラム3mgの単回経口投与を併用したときのミダゾラムのAUC及びCmaxは、ミダゾラム単独投与に比べてそれぞれ約74及び61%減少した。
(本剤の承認された用法・用量は【用法及び用量】の項を参照)
臨床成績
1. 日本人における成績
国内第I/II相臨床試験(MEK116885試験)16)
BRAF V600E/K変異注3)を有する(1)進行固形癌患者(第I相パート)及び(2)根治切除不能な悪性黒色腫患者(第II相パート)(症例数:(1)6例及び(2)6例)を対象にダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)を併用する第I/II相試験を実施した。第II相パートにおける奏効率注4)は83%(5/6例)であった。
注3)コンパニオン診断薬として製造販売承認されているTHxID BRAFキットを用いて検査された。
注4)RECIST(ver 1.1)ガイドラインによる治験責任医師判定に基づく判定(CR+PR)
2. 外国人における成績
(1) 海外第III相臨床試験(MEK116513試験、COMBI-v)17)
BRAF V600E/K変異陽性注3)の根治切除不能な悪性黒色腫患者704例を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)を併用する群(併用療法群352例)とベムラフェニブ(1回960mgを1日2回連日投与)を投与する群(ベムラフェニブ群352例)と比較した第III相非盲検無作為化比較試験を実施した。全生存期間(OS)の中間解析において、ベムラフェニブ群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定した中央値:併用療法群未到達、ベムラフェニブ群17.2ヵ月、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.53-0.89)、層別log-rank検定 p=0.005]。
全生存期間(OS)のKaplan-Meier曲線
(MEK116513試験ITT集団、2014年4月17日カットオフ)
(2) 海外第III相臨床試験(MEK115306試験、COMBI-d)18)
BRAF V600E/K変異陽性注3)の根治切除不能な悪性黒色腫患者423例を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)とトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)を併用する群(併用療法群211例)と、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を投与する群(単剤療法群212例)を比較した第III相二重盲検無作為化比較試験を実施した。無増悪生存期間(PFS)の解析において、単剤療法群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定した中央値:併用療法群9.3ヵ月、単剤療法群8.8ヵ月、ハザード比0.75(95%信頼区間:0.57-0.99)、層別log-rank検定 p=0.035]。なお、OSの最終解析において、Kaplan-Meier法で推定した中央値は併用療法群で25.1ヵ月、単剤療法群で18.7ヵ月であった[ハザード比0.71(95%信頼区間:0.55-0.92)]。
(3) 海外第III相臨床試験(BRF113683試験、BREAK-3)19)
BRAF V600E変異陽性注5)の根治切除不能な悪性黒色腫患者250例を対象に、ダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を投与する群(187例)とダカルバジン1,000mg/m2(体表面積)を3週毎に静脈内投与する群(63例)を比較した第III相非盲検無作為化比較試験を実施した。PFSの解析において、ダカルバジン群と比較してダブラフェニブ投与群における統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan-Meier法で推定した中央値:ダブラフェニブ投与群5.1ヵ月、ダカルバジン群2.7ヵ月、ハザード比0.30(95%信頼区間:0.18-0.51)、層別log-rank検定 p<0.0001]。
注5)中央測定機関でResponse Genetics, Inc(RGI)IUO assayを用いて検査された