常、成人にはイマチニブとして1日1回400mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜増減するが、1日1回600mgまで増量できる。
(2) 移行期又は急性期:
通常、成人にはイマチニブとして1日1回600mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜増減するが、1日800mg(400mgを1日2回)まで増量できる。
2.
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の場合
通常、成人にはイマチニブとして1日1回600mgを食後に経口投与する。なお、血液所見、年齢・症状により適宜減量する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1.
消化管刺激作用を最低限に抑えるため、本剤は食後に多めの水で服用すること。
2.
慢性骨髄性白血病については、重篤な有害事象がなく、白血病に関連がない重篤な好中球減少や血小板減少が認められず、下記に該当する場合は、「用法・用量」に従って本剤を増量することができる。
(1)
病状が進行した場合(この場合はいつでも)
(2)
本剤を少なくとも3ヵ月以上投与しても、十分な血液学的効果がみられない場合
(3)
これまで認められていた血液学的効果がみられなくなった場合
3.
肝機能検査と用量調節
本剤投与中に肝機能検査値(ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT))の上昇が認められた場合は次表を参考に投与量を調節すること。
4.
血液検査と用量調節
本剤投与中に好中球減少、血小板減少が認められた場合は次表を参考に投与量を調節すること。
注)原則として、少なくとも1ヵ月治療を継続後(患者の全身状態に十分注意すること)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
肝障害のある患者〔代謝機能が低下しているため、本剤の体内濃度が上昇する可能性がある。また、肝障害が悪化するおそれがある。〕
2.
高齢者〔浮腫があらわれやすい。〕(「高齢者への投与」の項参照)
3.
*心疾患又はその既往歴のある患者〔症状が悪化するおそれがある。また、心合併症を有する好酸球増多症候群患者において、心原性ショック及び左室機能不全が発現したことが報告されている。〕
重要な基本的注意
1.
本剤投与によって、体液貯留(胸水、肺水腫、腹水、心膜滲出液、心タンポナーデ、うっ血性心不全)があらわれることがあるので、体重を定期的に測定するなど観察を十分に行い、本剤投与中に急激な体重の増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、利尿剤を投与するなど、適切な処置を行うこと。
2.
本剤投与によって、重篤な肝機能障害があらわれることがあるので、投与開始前と投与後は1ヵ月毎、あるいは患者の状態に応じて肝機能検査(ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT)及びAl-P等)を行い、異常が認められた場合には減量又は休薬すること。(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項3.参照)
3.
本剤投与中は、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと。
本剤投与によって、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血があらわれることがあるので、血液検査は投与開始前と投与後の1ヵ月間は毎週、2ヵ月目は隔週、また、その後は2~3ヵ月毎に行うこと。これらの血球減少は疾患の病期にも依存し、慢性期慢性骨髄性白血病に比べて移行期慢性骨髄性白血病や急性期慢性骨髄性白血病の患者での頻度が高い。重篤な好中球減少又は血小板減少があらわれた場合には減量又は休薬すること。(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項4.参照)
4.
本剤の長期投与時における安全性は確立されていないので、長期投与にあたっては観察を十分に行うこと。
5.
めまい、眠気、霧視等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
6.
慢性骨髄性白血病の治療では、他の抗悪性腫瘍剤との併用投与における安全性は確立されていない。
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療において、本剤と高用量抗悪性腫瘍剤の併用によりトランスアミナーゼ上昇及び高ビリルビン血症を示す一過性の肝毒性があらわれることがあり、また急性肝不全の報告もあることから、肝機能障害を起こすおそれのある抗悪性腫瘍剤と併用する場合は観察を十分に行うこと。
相互作用
本剤は主に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されるので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して投与すること。CYP3A4活性を阻害する薬剤又はCYP3A4によって代謝される薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。またCYP酵素を誘導する薬剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。
一方、本剤はCYP3A4/5、CYP2D6及びCYP2C9の競合的阻害剤であることがin vitro試験で示されており、これらのCYP酵素により代謝される他の薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等 |
臨床症状・措置方法 |
機序・危険因子 |
L-アスパラギナーゼ |
本剤との併用により肝障害の発現率が上昇したとの報告がある。 |
機序は不明であるが、共に肝障害の副作用を有する。 |
アゾール系抗真菌剤
エリスロマイシン
クラリスロマイシン |
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
本剤とアゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール)の併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ26%及び40%増加した。 |
これらの薬剤はCYP3A4活性を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。 |
フェニトイン
デキサメタゾン
カルバマゼピン
リファンピシン
フェノバルビタール
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
フェニトインを長期投与中の患者に本剤を投与した場合、 |