、好中球減少、血小板減少、貧血があらわれることがあるので、血液検査は投与開始前と投与後の1ヵ月間は毎週、2ヵ月目は隔週、また、その後は2~3ヵ月毎に行うこと。これらの血球減少は疾患の病期にも依存し、慢性期慢性骨髄性白血病に比べて移行期慢性骨髄性白血病や急性期慢性骨髄性白血病の患者での頻度が高い。重篤な好中球減少又は血小板減少があらわれた場合には減量又は休薬すること。
〔〈用法・用量に関連する使用上の注意〉の項4.参照〕
4.
本剤の長期投与時における安全性は確立されていないので、長期投与にあたっては観察を十分に行うこと。
5.
めまい、眠気、霧視等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
6.
**慢性骨髄性白血病の治療では、他の抗悪性腫瘍剤との併用投与における安全性は確立されていない。
フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の治療において、本剤と高用量抗悪性腫瘍剤の併用によりトランスアミナーゼ上昇及び高ビリルビン血症を示す一過性の肝毒性があらわれることがあり、また急性肝不全の報告もあることから、肝機能障害を起こすおそれのある抗悪性腫瘍剤と併用する場合は観察を十分に行うこと。
相互作用
相互作用の概略
本剤は主に薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)で代謝されるので、本酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には、注意して投与すること。CYP3A4活性を阻害する薬剤又はCYP3A4によって代謝される薬剤との併用により、本剤の代謝が阻害され本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。またCYP酵素を誘導する薬剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。
一方、本剤はCYP3A4/5、CYP2D6及びCYP2C9の競合的阻害剤であることがin vitro試験で示されており、これらのCYP酵素により代謝される他の薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
L-アスパラギナーゼ
臨床症状・措置方法
イマチニブ製剤との併用により肝障害の発現率が上昇したとの報告がある。
機序・危険因子
機序は不明であるが、共に肝障害の副作用を有する。
2. 薬剤名等
アゾール系抗真菌剤
エリスロマイシン
クラリスロマイシン
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
イマチニブ製剤とアゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール)の併用により、イマチニブ製剤のCmax及びAUCはそれぞれ26%及び40%増加した。
機序・危険因子
これらの薬剤はCYP3A4活性を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
3. 薬剤名等
フェニトイン
デキサメタゾン
カルバマゼピン
リファンピシン
フェノバルビタール
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
フェニトインを長期投与中の患者にイマチニブ製剤を投与した場合、フェニトインを服用していない患者と比べイマチニブ製剤のAUCは約5分の1であった。リファンピシン投与中にイマチニブ製剤を併用投与した場合、単独投与時に比べ、イマチニブ製剤のCmax、AUCがそれぞれ54%及び74%低下した。
機序・危険因子
これらの薬剤等はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある。
4. 薬剤名等
シンバスタチン
シクロスポリン
ピモジド
トリアゾラム
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
イマチニブ製剤とシンバスタチンの併用により、シンバスタチンのCmax及びAUCは平均でそれぞれ2及び3倍の増加を示した。また、この相互作用には大きな個体差がみられ、Cmax及びAUCにおける比(併用/単独)の個別値はそれぞれ0.54~17.6及び0.75~15.7(最小値~最大値)の範囲であった。
機序・危険因子
本剤のCYP3A4阻害作用によりCYP3A4基質薬物の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
5. 薬剤名等
ニロチニブ
臨床症状・措置方法
本剤及びニロチニブの血中濃度が上昇することがある。
イマチニブ製剤とニロチニブの併用により、イマチニブ製剤のAUCは18~39%、ニロチニブのAUCは18~40%上昇したとの報告がある。
機序・危険因子
ニロチニブがCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害して本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。また、本剤がCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害してニロチニブの血中濃度を上昇させる可能性もある。
6. 薬剤名等
ワルファリン
臨床症状・措置方法
イマチニブ製剤との併用によりプロトロンビン比が顕著に上昇したとの報告がある。抗凝固剤の投与が必要とされる場合は、ヘパリンの投与が望ましい。
機序・危険因子
本剤のCYP2C9阻害作用によりワルファリンの代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
7. 薬剤名等
アセトアミノフェン
臨床症状・措置方法
イマチニブ製剤と高用量のアセトアミノフェン(3~3.5g/日)との併用により重篤な肝障害が発現したとの報告がある。
機序・危険因子
機序は不明であるが、両薬剤による肝毒性が増強される可能性がある。
8. 薬剤名等
グレープフルーツジュース
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇することがある。本剤服用中は飲食を避けること。
機序・危険因子
発現機序の詳細は不明であるが、グレープフルーツジュースに含まれる成分がCYP3A4を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
1. 骨髄抑制
頻度不明
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血があらわれることがあるので定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
〔「重要な基本的注意」の項3