薬効薬理
作用機序:
本剤は、活性化変異(L858R等)のみでなく、T790M変異も有するEGFRチロシンキナーゼに対して阻害作用を示し、EGFR T790M変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられている15)。
抗腫瘍効果
In vitro試験:
本剤は、EGFR活性化変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)由来PC9細胞株(Ex19del)、EGFR活性化変異及びT790M変異を有するNSCLC由来H1975(L858R/T790M)及びPC9VanR(Ex19del/T790M)細胞株の増殖を抑制した16)。
In vivo試験:
本剤は、EGFR活性化変異を有するNSCLC由来H3255(L858R)及びPC9細胞株、並びにH1975及びPC9VanR細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した17)。また、EGFR活性化変異及びT790M変異を肺で発現させたトランスジェニックマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した18)。さらに、本剤は、PC9細胞株を脳内19)及び軟膜腔20)に移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:オシメルチニブメシル酸塩(Osimertinib Mesilate)(JAN)
化学名:N-(2-{[2-(Dimethylamino)ethyl](methyl)amino}-4-methoxy-5-{[4-(1-methyl-1H-indol-3-yl)pyrimidin-2-yl]amino}phenyl)prop-2-enamide monomethanesulfonate
構造式:
分子式:C28H33N7O2・CH4O3S
分子量:595.71
性 状:本品は白色~褐色の粉末である。
承認条件
1.
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
2.
国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
3.
本剤の投与が、肺癌の診断、化学療法に精通し、本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関・管理薬剤師のいる薬局のもとでのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。
包装
タグリッソ錠40mg:[PTP]28錠(7錠×4)
タグリッソ錠80mg:[PTP]14錠(7錠×2)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料(非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第I/II相試験(AURA試験)及び国際共同第II相試験(AURA2試験)で認められた体内動態, 2015)
2)
社内資料(体内動態に及ぼす食事の影響, 2015)
3)
社内資料(代謝に関与する代謝酵素, 2014)
4)
社内資料(ヒトに[14C]-オシメルチニブを投与したマスバランス試験, 2015)
5)
社内資料(プロトンポンプ・インヒビターとの相互作用試験, 2015)
6)
社内資料(CYPに対する誘導作用[in vitro試験], 2014)
7)
社内資料(P-糖蛋白質及びBreast Cancer Resistance Proteinの関与[in vitro試験], 2013)
8)
社内資料(CYP3A阻害剤との相互作用試験, 2015)
9)
社内資料(CYP3A誘導剤との相互作用試験, 2015)
10)
社内資料(CYP3A基質との相互作用試験, 2015)
11)
社内資料(BCRP基質との相互作用試験, 2015)
12)
社内資料(血漿中濃度とQT間隔との関連性, 2015)
13)
社内資料(非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第II相部分, 2015)
14)
社内資料(非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第II相試験(AURA2試験), 2015)
15)
Cross, D.A., et al.: Cancer Discov., 4(9), 1046, 2014
16)
社内資料(In vitroにおける細胞増殖抑制作用, 2014)
17)
社内資料(EGFR依存性腫瘍異種移植モデルにおける抗腫瘍作用, 2013~2014)
18)
社内資料(EGFRm/T790M変異を有するトランスジェニックモデルにおける抗腫瘍作用, 2012)
19)
社内資料(脳転移異種移植モデルにおける抗腫瘍作用, 2014)
20)
Nanjo, S., et al.: Oncotarget, 7(4), 3847, 2016
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
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アストラゼネカ株式会社 メディカルインフォメーションセンター
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投薬期間制限医薬品に関する情報
本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、薬価基準収載から1年を経過する月の末日まで、投薬(あるいは投与)は1回14日分を限度とされています。
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
アストラゼネカ株式会社
大阪市北区大深町3番1号