投与し、胃内pHを上昇させた条件にて、5日目に本剤80mgを併用投与したとき、オシメルチニブのAUC及びCmaxに臨床上問題となる影響は認められなかった。
(2) CYP1A2及びCYP3A4の誘導並びにP-糖蛋白質(P-gp)及びBCRPの関与(in vitro試験成績)
In vitro試験成績から、オシメルチニブはCYP1A2及びCYP3A4を誘導すること、並びにオシメルチニブがP-gp及びBCRPの基質であることが示された6),7)。
(3) CYP3A阻害剤との相互作用(外国人における成績)8)
進行非小細胞肺癌患者(36例)に本剤80mgを強力なCYP3A阻害剤であるイトラコナゾール(200mgを1日2回)と併用投与したとき、オシメルチニブの曝露量に臨床上問題となる影響は認められなかった(Cmaxは20%[90%信頼区間:13%~27%]低下、AUCは24%[90%信頼区間:15%~35%]増加)。
(4) CYP3A誘導剤との相互作用(外国人における成績)9)
進行非小細胞肺癌患者(41例)に本剤80mg/日を強力なCYP3A誘導剤であるリファンピシン(600mg/日を21日間投与)と併用投与したとき、オシメルチニブのAUCssは78%(90%信頼区間:76%~81%)、Css,maxは73%(90%信頼区間:70%~76%)低下した。
(5) CYP3A基質との相互作用(外国人における成績)10)
進行非小細胞肺癌患者(49例)に本剤80mg/日を反復投与した後、CYP3Aの基質であるシンバスタチン(40mg)を併用投与したとき、シンバスタチンの曝露量に臨床上問題となる影響は認められなかった(AUC及びCmaxはそれぞれ9%[90%信頼区間:-8%~23%]及び23%[90%信頼区間:6%~37%]低下)。
(6) BCRP基質との相互作用(外国人における成績)11)
進行非小細胞肺癌患者(44例)を対象に本剤80mg/日を反復投与した後、BCRPの基質であるロスバスタチン(20mg)を併用投与したとき、ロスバスタチンのAUC及びCmaxはそれぞれ35%(90%信頼区間:15%~57%)及び72%(90%信頼区間:46%~103%)増加した。
6. 薬物動態とQT間隔との関連性12)
国際共同第II相試験(AURA2試験)において、本剤を80mgの用量で1日1回反復投与された210例の進行非小細胞肺癌患者において本剤がQT間隔に及ぼす影響を評価した。単回投与時及び反復投与後の定常状態時にデジタルECGを頻回測定し、血漿中未変化体濃度とQT間隔との関連性を評価した。血漿中未変化体濃度とQTc間隔との関係を解析したところ、本剤の投与に起因するQTc間隔の延長は平均で14ms、その90%信頼区間の上限は16msと予測された。
薬物動態の表
表 外国人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを単回経口投与したときのオシメルチニブの薬物動態パラメータ(算術平均±標準偏差、n=11)
Cmax(nM) |
tmax(h)a |
AUC(nM・h)b |
t1/2(h)b |
247.2±173.6 |
6(2.07~23.83) |
12170±7340 |
48.6±6.5 |
Cmax 最高血漿中濃度
tmax 最高血漿中濃度到達時間
AUC 投与後0時間から無限大時間までの血漿中濃度時間曲線下面積
t1/2 終末相における消失半減期
a 中央値(範囲)
b n=9
表 日本人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを1日1回反復経口投与したときの投与22日目におけるオシメルチニブ、AZ5104及びAZ7550の薬物動態パラメータ(算術平均±標準偏差、n=32)
|
Css,max(nM) |
tss,max(h)a |
AUCss(nM・h) |
オシメルチニブ |
782.4±333 |
6(2~11.05) |
14980±6809 |
AZ5104 |
80.43±46.83 |
6.04(0~23.93) |
1619±972.3 |
AZ7550 |
60.75±17.09 |
8(0~11.95) |
1260±378.5 |
Css,max 定常状態における最高血漿中濃度
tss,max 定常状態における最高血漿中濃度到達時間
AUCss 定常状態における投与間隔での血漿中濃度時間曲線下面積
a 中央値(範囲)
臨床成績
1. 国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第II相部分13)
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療後に病勢進行したEGFR T790M変異陽性注)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者(201例)を対象として、本剤80mgの有効性及び安全性について検討した。有効性解析対象集団(199例)における奏効率は61.3%(122/199例)(95%信頼区間54.2~68.1%)であった。(2015年5月時点のカットオフデータに基づく集計)
2. 国際共同第II相試験(AURA2試験)14)
EGFRチロシンキナーゼ阻害薬による治療後に病勢進行したEGFR T790M変異陽性注)の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者(210例)を対象として、本剤80mgの有効性及び安全性について検討した。有効性解析対象集団(199例)における奏効率は70.9%(141/199例)(95%信頼区間:64.0~77.1%)であった。(2015年5月時点のカットオフデータに基づく集計)
※本剤の生存期間等に関する試験成績は得られていない。
注)コバスEGFR変異検出キットが使用された。当該検査法との同等性が確認されたコバスEGFR変異検出キットv2.0がコンパニオン診断薬として製造販売承認されている。