ゼ血症、アミラーゼ増加、血中コレステロール増加
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[ラットにおいてAUC比較で臨床曝露量に相当する用量から胚死亡、胎児重量の減少、胎児及び出生児の生存率低下、並びに成長抑制が認められている。また、ラットにおいてAUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量から卵巣の黄体変性、子宮及び膣の上皮菲薄化、炎症又は変性、並びに雌受胎能への影響が認められている。]
2.
パートナーが妊娠する可能性がある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[ラット及びイヌにおいてAUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量で雄性生殖器の変化(精巣の精細管変性、精巣上体の精子減少等)が認められている。また、ラットにおいてAUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量で雄受胎能への影響が認められている。]
3.
授乳中の婦人に投与することは避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[本剤又は本剤の代謝物がヒトの母乳中に移行するかどうかは不明である。動物実験(ラット)で授乳中の母動物へ本剤を投与した際、本剤及び本剤の代謝物が授乳された児に検出され、成長及び生存への悪影響が認められている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
臨床試験において、80mgを超える用量を反復投与した際に、発疹、下痢等の副作用の頻度及び重篤度が高くなったとの報告がある。過量投与が認められた場合には、本剤を休薬し、必要に応じて対症療法を行うこと。
適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
ラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験において、AUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量から消化管(舌を含む)及び皮膚の上皮の萎縮、炎症又は変性、並びに角膜の上皮萎縮、半透明化及び白濁が認められ、角膜の白濁については回復性が確認されていない。
薬物動態
1. 血中濃度1)
(1) 外国人進行非小細胞肺癌患者に本剤を単回経口投与したときの血漿中濃度
国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第I相部分において、外国人進行非小細胞肺癌患者(11例)に本剤80mgを単回経口投与したとき、オシメルチニブの吸収は緩徐であり、最高血漿中濃度到達時間(tmax)は中央値で約6時間(範囲:2~24時間)であり、終末相における消失半減期は平均で48.6時間(標準偏差:6.5時間)であった。なお、本剤投与時のオシメルチニブの最高血漿中濃度(Cmax)及び投与後0時間から72時間までの血漿中濃度時間曲線下面積(AUC(0-72))は20~240mg注)の用量範囲で用量に比例して増加した。外国人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを単回経口投与したときのオシメルチニブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下の通りである。
注)本剤の承認用法・用量は80mgの1日1回投与である。
図 外国人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを単回経口投与したときの血漿中オシメルチニブ濃度推移(算術平均±標準偏差、n=11)
表 外国人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを単回経口投与したときのオシメルチニブの薬物動態パラメータ参照
(2) 日本人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを反復経口投与したときの血漿中濃度
国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第II相部分において、日本人進行非小細胞肺癌患者(32例)に本剤80mgを1日1回反復経口投与したとき、オシメルチニブの吸収は緩徐であり、最高血漿中濃度到達時間(tss,max)は中央値で約6時間(範囲:2~11時間)であった。日本人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを反復経口投与したときのオシメルチニブの血漿中濃度推移並びにオシメルチニブ及びその活性代謝物(AZ5104及びAZ7550)の薬物動態パラメータは以下の通りである。
図 日本人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを1日1回反復経口投与したときの投与22日目における血漿中オシメルチニブ濃度推移(算術平均±標準偏差、n=32)
表 日本人進行非小細胞肺癌患者に本剤80mgを1日1回反復経口投与したときの投与22日目におけるオシメルチニブ、AZ5104及びAZ7550の薬物動態パラメータ参照
(3) 食事の影響(外国人における成績)2)
進行非小細胞肺癌患者(34例)に本剤80mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、オシメルチニブのAUC及びCmaxに食事による影響は認められなかった。
2. 分布
国際共同第I/II相試験(AURA試験)の第I相部分において、外国人進行非小細胞肺癌患者(11例)に本剤80mgを単回経口投与したときのオシメルチニブの定常状態におけるみかけの分布容積は約1200Lであり、全身の組織に広く分布することが示唆された1)。オシメルチニブは血漿中タンパク質と共有結合することにより、血漿中で不安定であるため、血漿蛋白結合率は算出できなかった。
3. 代謝
In vitro試験において、オシメルチニブの代謝には主にCYP3A4及びCYP3A5が関与することが示唆された3)。
血漿中に2種の活性代謝物(AZ5104及びAZ7550:ともにN-脱メチル体。ただし、代謝部位が異なる)が認められたが、これら代謝物の曝露量はオシメルチニブの約10%であった1)。ヒトの尿及び糞便には12種以上の成分が検出されたが、そのうちの5種の成分が投与量の1%以上の割合で存在しており、オシメルチニブ(1.9%)、AZ5104(6.6%)及びAZ7550(2.7%)が含まれていた4)。
4. 排泄(外国人における成績)4)
健康被験者に14Cで標識した本剤20mg注)を単回経口投与したとき、84日間までに放射能(投与量の67.8%)は主に糞便中に未変化体又は代謝物として排泄され、尿中排泄率は約14.2%であった。尿中に排泄された未変化体は投与量の2%未満であった。
注)本剤の承認用法・用量は80mgの1日1回投与である。
5. 薬物相互作用
(1) オメプラゾールとの相互作用(外国人における成績)5)
健康被験者(57例)にオメプラゾールを5日間