察研究で、プロトンポンプインヒビターを投与した患者においてクロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染のリスク増加が報告されている。
10.
ヘリコバクター・ピロリの除菌判定上の注意 : ランソプラゾール等のプロトンポンプインヒビターやアモキシシリン水和物、クラリスロマイシン等の抗生物質及びメトロニダゾールの服用中や投与終了直後では、13C-尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる可能性があるため、13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には、これらの薬剤の投与終了後4週以降の時点で実施することが望ましい。
薬物動態
1. 血中濃度
本剤のバイオアベイラビリティには個体間で差が認められる。健康成人(6例)に1回30mg(1号カプセル)をクロスオーバー法にて絶食下又は食後に、また、別の健康成人(6例)に1回15mgを絶食下に経口投与した場合、血中にはランソプラゾールの未変化体が主として検出され、他に代謝物も検出される。1回30mgを経口投与した場合の未変化体の血中濃度は図及び表1のとおりであり、個体間で差がみられている。4)
また、本剤とスクラルファート、又は水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウムを同時に服用すると、本剤の血中濃度が低下することが外国で報告されている。5)
なお、本剤の代謝型がEM(Extensive Metabolizer)の健康成人(48例)に、1回30mg(3号カプセルあるいは1号カプセル)をクロスオーバー法にて絶食下に経口投与した場合の薬物動態学的パラメータは表2のとおりであり、3号カプセルと1号カプセルは生物学的に同等であることが確認されている。
2. 尿中排泄4)
健康成人(6例)に1回30mgを絶食下又は食後に、また、1回15mgを絶食下に経口投与した場合、尿中にはランソプラゾールの未変化体は検出されず、すべて代謝物であり、投与後24時間までの尿中排泄率は13.1~23.0%である。
3. 反復投与時の薬物動態4)
健康成人(6例)に1回30mg又は15mgを1日1回7日間朝絶食下に反復経口投与した時の血中濃度の推移、尿中排泄率からみて、体内蓄積性はないものと考えられる。
4. ランソプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシン併用時の薬物動態
健康成人(6例)にランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回400mg(力価)の3剤を同時に経口投与した場合注5)、ランソプラゾールの未変化体の薬物動態学的パラメータは表3のとおりである。
なお、3剤投与時の3剤各々の血中濃度は単独投与時の血中濃度とほぼ同様の推移を示す。
また、健康成人(7例)に3剤を同様の用量で同時に1日2回7日間反復経口投与した時の薬物動態からみて、蓄積性に問題はないと考えられる。
注5)ヘリコバクター・ピロリ感染に対する承認用法・用量と異なる。(【用法・用量】の項参照)
表1 1回30mg又は15mg経口投与時の薬物動態学的パラメータ
投与量 |
30mg(クロスオーバー法) |
30mg(クロスオーバー法) |
15mg |
投与条件 |
絶食下 |
食後 |
絶食下 |
Tmax(h) |
2.2±0.4 |
3.5±0.8 |
2.2±0.8 |
Cmax(ng/mL) |
1,038±323 |
679±359 |
530±267 |
T1/2(h) |
1.44±0.94 |
1.60±0.90 |
1.37±1.09 |
AUC(ng・h/mL) |
3,890±2,484 |
3,319±2,651 |
2,183±2,195 |
6例の平均値±標準偏差
表2 1回30mg(3号あるいは1号カプセル)経口投与時の薬物動態学的パラメータ
投与量 |
30mg(クロスオーバー法) |
30mg(クロスオーバー法) |
投与製剤 |
3号カプセル |
1号カプセル |
Cmax(ng/mL) |
907±334 |
1,022±442 |
AUC(ng・h/mL) |
2,444±1,080 |
2,475±1,241 |
48例の平均値±標準偏差
表3 3剤投与時のランソプラゾール未変化体の薬物動態学的パラメータ
|
絶食下 |
Tmax |
1.7±0.5h |
Cmax |
1,104±481ng/mL |
T1/2 |
1.88±1.88h |
AUC |
5,218±6,284ng・h/mL |
6例の平均値&plus