13.
小児(「小児等への投与」の項参照)
重要な基本的注意
1.
うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。
2.
不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。
3.
自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。
4.
家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。
5.
眠気、めまい等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。(「その他の注意」の項参照)
6.
投与中止(突然の中止)により、不安、焦燥、興奮、浮動性めまい、錯覚感、頭痛及び悪心等があらわれることが報告されている。投与を中止する場合には、突然の中止を避け、患者の状態を観察しながら徐々に減量すること。
相互作用
本剤は主として肝代謝酵素CYP1A2、CYP2D6及びCYP3A4により代謝される。
併用禁忌
(併用しないこと)
薬剤名等
MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩(エフピー))
臨床症状・措置方法
セロトニン症候群があらわれることがある。MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者に投与しないこと。また、本剤投与後MAO阻害剤に切り替える場合は、2週間以上の間隔をあけること。
機序・危険因子
脳内ノルアドレナリン、セロトニンの神経伝達が高まると考えられる。
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
CYP3A4阻害剤(HIVプロテアーゼ阻害剤、アゾール系抗真菌薬(ケトコナゾール等)、エリスロマイシン等)
臨床症状・措置方法
本剤の作用を増強するおそれがある。また、これらの薬剤の投与中止後、本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
CYP3A4の阻害作用により、本剤の血漿中濃度が増大する可能性がある。
薬剤名等
CYP3A4誘導剤(カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン等)
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱するおそれがある。また、これら薬剤の併用を中止する場合、本剤の作用が増強される可能性がある。
機序・危険因子
CYP3A4の誘導作用により、本剤の血漿中濃度が減少する可能性がある。
薬剤名等
シメチジン
臨床症状・措置方法
本剤の作用を増強するおそれがある。
機序・危険因子
複数のCYP分子種(CYP1A2、CYP2D6及びCYP3A4等)の阻害作用により本剤の血漿中濃度が増大する可能性がある。
薬剤名等
鎮静剤(ベンゾジアゼピン系薬剤等)
臨床症状・措置方法
鎮静作用が増強されるおそれがある。また、ジアゼパムとの併用により精神運動機能及び学習獲得能力が減退するとの報告がある。
機序・危険因子
相加的な鎮静作用を示すことが考えられる。
薬剤名等
アルコール(飲酒)
臨床症状・措置方法
鎮静作用が増強されるおそれがある。本剤服用中は飲酒を避けさせることが望ましい。
機序・危険因子
相加的・相乗的な鎮静作用を示すことが考えられる。
薬剤名等
*セロトニン作用薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤、L-トリプトファン含有製剤、トリプタン系薬剤、トラマドール、リネゾリド、メチルチオニニウム塩化物水和物(メチレンブルー)、炭酸リチウム等)、セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
臨床症状・措置方法
セロトニン症候群等が生じるおそれがあるので、注意して投与すること。
機序・危険因子
セロトニン作用が増強するおそれがある。
薬剤名等
ワルファリン
臨床症状・措置方法
プロトロンビン時間が増加するおそれがあるので、プロトロンビン時間の国際標準比(INR)をモニターすることが望ましい。
機序・危険因子
機序不明
副作用
副作用等発現状況の概要
うつ病・うつ状態の患者を対象とした国内臨床試験において、総症例330例中273例(82.7%)、914件に臨床検査値の異常変動を含む副作用が報告された。その主なものは傾眠165例(50.0%)、口渇68例(20.6%)、倦怠感50例(15.2%)、便秘42例(12.7%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加41例(12.4%)であった(承認時)。
重大な副作用
1. セロトニン症候群(頻度不明)
不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクローヌス、自律神経不安定等があらわれることがある。セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意すること(「相互作用」の項参照)。異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
2. 無顆粒球症、好中球減少症(頻度不明)
無顆粒球症、好中球減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、感染症の兆候がみられた場合など、必要に応じて血液検査を行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3. 痙攣(頻度不明)
痙攣があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4. 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「慎重投与」の項参照)
5. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度