1.
間質性肺疾患(致命的な転帰をたどることがある)があらわれることがあるので、投与開始前及び投与開始後は以下の点に注意すること。また、患者に対し、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、直ちに連絡するように指導すること。
(1) 投与開始前
胸部CT検査を実施し、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状の有無と併せて、投与開始の可否を慎重に判断すること。
(2) 投与開始後
定期的に胸部CT検査を実施し、肺の異常所見の有無を慎重に観察すること。咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状がみられた患者で、感染、腫瘍及びその他の医学的な原因が適切な検査で除外された場合には、間質性肺疾患の診断を考慮し、必要に応じて肺機能検査(肺拡散能力[DLCO]、酸素飽和度等)及び追加の画像検査を実施すること。本剤による間質性肺疾患が疑われた場合には、適切な処置を行うこと。〔「重大な副作用」の項参照〕
2.
本剤の免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルスあるいは原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化する可能性があり、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者においてB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。本剤投与により、肝炎ウイルス、結核等が再活性化する可能性があるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置をしておくこと。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。〔「重大な副作用」の項参照〕
3.
本剤投与により、悪性リンパ腫、悪性腫瘍(特に皮膚)を発現する可能性があるので、悪性腫瘍等の発現には注意すること。
4.
本剤投与により脂質異常があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に脂質検査を実施し、脂質異常がみられた場合は、適切な食事指導、運動指導を実施し、必要により高脂血症用剤を投与するなど適切な処置を行うこと。〔「重大な副作用」の項参照〕
5.
本剤投与により、創傷治癒不良のおそれがある。海外で肺移植患者において気管支吻合部離開例(致死的)が報告されているので、肺移植登録患者では本剤の投与を中止し、移植までに十分な休薬期間を確保すること。また、その他の手術時においても、創傷治癒不良の影響を考慮し、手術前の休薬期間を設けることが望ましい。創傷時には観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬し、適切な処置を行うこと。〔「重大な副作用」の項参照〕
6.
蛋白尿があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に尿蛋白を測定し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
7.
妊娠可能な婦人に投与する場合には、投与期間中、及び投与終了から最低12週間は、適切な避妊法を用いるよう指導すること。〔「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照〕
相互作用
相互作用の概略
本剤は、肝薬物代謝酵素CYP3A4により代謝され、また、本剤はP-糖蛋白の基質であり、本剤自体もCYP3A4を阻害する。CYP3A4又はP-糖蛋白阻害あるいは誘導作用を有する薬剤との併用により、本剤の薬物動態に影響を及ぼす。CYP3A4又はP-糖蛋白阻害あるいは誘導作用を有する薬剤については、他の類薬に変更する又は当該薬剤を休薬するなどを考慮し、CYP3A4又はP-糖蛋白に影響を及ぼす薬剤との併用は可能な限り避けること。当該薬剤と併用する場合は、本剤のトラフ濃度を測定し、投与量を調節すること。
併用禁忌
(併用しないこと)
併用禁忌の表
薬剤名等 |
臨床症状・措置方法 |
機序・危険因子 |
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等) |
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。 |
免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。 |
併用注意
(併用に注意すること)
併用注意の表
薬剤名等 |
臨床症状・措置方法 |
機序・危険因子 |
シクロスポリン
カルシウム拮抗剤
ジルチアゼム
ニカルジピン
ベラパミル
抗真菌剤
フルコナゾール
イトラコナゾール
ケトコナゾール
ボリコナゾール等
マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン
クラリスロマイシン等
メトクロプラミド
ブロモクリプチン
シメチジン
ダナゾール
プロテアーゼ阻害剤
リトナビル
インジナビル
テラプレビル等 |
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 |
本剤の代謝酵素(CYP3A4等)が阻害されると考えられる。 |
グレープフルーツジュース |
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤服用時は飲食を避けること。 |
グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。 |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤等 |
血管浮腫との関連性が示されている薬剤を服用している患者では、血管浮腫(顔面、口唇、舌、咽頭の腫脹等)を発症するリスクが高まるおそれがある。 |
機序不明 |
リファンピシン
リファブチン
抗てんかん剤
カルバマゼピン
フェノバルビタール
フェニトイン |
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。やむを得ず併用する場合には、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること。 |
これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。 |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワー |