ン体反応が偽陽性になる場合がある。
過量投与
本剤の過量投与により、異常な不随意運動、混乱、不眠、まれに嘔気、嘔吐、不整脈等が起こるおそれがある。このような場合には、呼吸器や心機能を観察しながら胃洗浄等の適切な処置を行うこと。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
1.
動物実験(幼若ラット)において、ベンセラジド塩酸塩による骨端軟骨板の内軟骨性骨化の異常(閉鎖不全)が報告されている。
2.
抗パーキンソン剤はフェノチアジン系化合物、レセルピン誘導体等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しない。
場合によってはこのような症状を増悪顕性化させることがある。
3.
悪性黒色腫が発現したとの報告がある。
4.
高蛋白食によりレボドパの吸収が低下するとの報告がある。
薬物動態
1. 吸収1)
パーキンソン病患者3名にレボドパ300mgとベンセラジド75mgの配合剤を経口投与した場合のレボドパの血中濃度推移は下図のとおりであり、投与後2時間で最高1.5~4μg/mLを示した。(3時間までのAUCは4.69±1.1μg・hr/mL)
2. 分布(参考:ラットでのデータ)2)
14C-レボドパ50mg/kgとベンセラジド12.5mg/kgをラットに併用経口投与したところ、30分後の体組織への放射能分布は、胃>膵臓>甲状腺>腸>副腎>腎臓>脾臓>肺>肝臓の順であった。
3. 代謝・排泄1)
パーキンソン病患者にレボドパ200mgとベンセラジド50mgの配合剤を経口投与した場合、投与後3時間の血漿中レボドパ及び3-O-メチルドパ(3-OM-DOPA)濃度はレボドパ1g単剤投与時より高値を示した。また、投与後3時間までの尿中排泄は血中濃度がよく反映され、レボドパ排泄量はレボドパ1g単剤投与時で約0.7%であるのに対し配合剤では20~25%と増加した。
臨床成績
臨床成績3)4)
(1)
国内20施設、239例のパーキンソン病患者を対象として実施された一般臨床試験において全般的改善度で79.1%(189/239)の有効率を示した。主要症状別の有効率は筋強剛42.1%(82/195)、振戦40.9%(63/154)、無動~寡動32.6%(62/190)であった。
(2)
パーキンソン病患者94例を対象としてクロスオーバー法によるレボドパとの二重盲検比較試験において、全般的改善度、全般的安全度、全般的有用度の面で本剤が有意に優れていることが認められた。
薬効薬理
作用機序1)5)6)
本剤に含有されているレボドパは脳内に移行し、錐体外路中枢である線条体、黒質等でドパミンに転換され作用をあらわす。一方、本剤に配合されているベンセラジド塩酸塩は常用量では脳内に移行せず、肝臓、腎臓、心臓、小腸等末梢においてドパ脱炭酸酵素を阻害し、末梢でのカテコールアミン産生を抑制し、血中レボドパ濃度を高めてその脳内への移行量を増加せしめる。
なお、レボドパ単剤と異なり、本剤はビタミンB6併用の影響をほとんど受けない。
有効成分に関する理化学的知見
○レボドパ
一般名
Levodopa
化学名
3-Hydroxy-L-tyrosine
略名
L-DOPA
分子式
C9H11NO4=197.19
化学構造式
性状
白色又はわずかに灰色を帯びた白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。
溶解性
ギ酸に溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
(飽和水溶液のpHは5.0~6.5である。)
融点
約275℃(分解)
旋光度
〔α〕20D-11.5~-13.0°
(乾燥後2.5g 1mol/L HCl 50mL 100mm)
分配係数
logP′OCT=-3.4
(測定法:フラスコシェイキング法 n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液)
○ベンセラジド塩酸塩
一般名
Benserazide Hydrochloride
化学名
(2RS)-2-Amino-3-hydroxy-N′-(2,3,4-trihydroxybenzyl)propanoylhydrazide monohydrochloride
分子式
C10H15N3O5・HCl=293.70
化学構造式
性状
白色~灰白色の結晶性の粉末である。
吸湿性である。
光によって徐々に着色する。
溶解性
水又はギ酸に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
(水溶液(1→100)のpHは4.0~5.0である。)
融点
約145℃(分解)
旋光度
DL体であり、光学不活性である。
分配係数
logP′OCT=-1.9
(測定法:フラスコシェイキング法 n-オクタノール/pH7.4緩衝溶液)
包装
イーシー・ドパール配合錠:[PTP]100錠(10錠×10)
イーシー・ドパール配合錠:[PTP]500錠(10錠×50)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
横地正之,他:脳神経, 31, (4), 339, (1979)
2)
兼田瑞穂,他:薬理と治療, 5, (臨1), 269, (1977)
3)
社内資料:一般臨床試験成績
4)
水野美邦,他:神経進歩, 21, (4), 807, (1977)
5)
Pletscher A., et al.:Schweiz Med. Wochenschr, 100, (19), 797, (1970)
6)
兼田瑞穂,他:薬理と治療, 5, (臨1), 243, (1977)
**文献請求先・製品情報お問い合わせ先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
協和発酵キリン株式会社 くすり相談窓口
〒100-8185 東京都千代田区大手町1-6-1
フリーダイヤル 0120-850-150
電話 03(3282)0069
受付時間 9:00~17:30(土・日・祝日および弊社休日を除く)
FAX 03(