筋腫の場合
(1)
投与に際して、類似疾患(悪性腫瘍等)との鑑別に留意し、投与中腫瘤が増大したり、臨床症状の改善がみられない場合は投与を中止すること。
(2)
粘膜下筋腫の患者に投与する場合は、出血症状が増悪することがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。また、出血症状が増悪した場合には連絡するよう患者に対し注意を与えること。
(3)
初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による血清エストロゲン濃度の一過性の上昇に伴い、臨床所見の一過性の悪化が認められることがあるが、通常治療を継続することにより消失する。
(4)
更年期障害様のうつ状態があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。(「重大な副作用」の項参照)
閉経前乳癌の場合
(1)
本剤は内分泌療法剤であり、閉経前乳癌に対し使用する場合には、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。
(2)
初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による血清エストロゲン濃度の上昇に伴って骨疼痛の一過性増悪等がみられることがあるが、このような症状があらわれた場合には対症療法を行うこと。
(3)
本剤で抗腫瘍効果が得られず進行を認めた場合は、投与を中止すること。
(4)
更年期障害様のうつ状態があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察すること。(「重大な副作用」の項参照)
前立腺癌の場合
(1)
本剤は内分泌療法剤であり、前立腺癌に対し使用する場合には、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。
(2)
初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による血清テストステロン濃度の上昇に伴って骨疼痛の一過性増悪がみられることがあるが、このような症状があらわれた場合には対症療法を行うこと。また、尿路閉塞あるいは脊髄圧迫のみられるおそれがあるので慎重に投与し、投与開始1ヵ月間は十分観察を行い、このような症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
中枢性思春期早発症の場合
(1)
初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による性腺ホルモン濃度の一過性の上昇に伴い、臨床所見の一過性の悪化が認められることがあるが、通常治療を継続することにより消失する。
(2)
治療中は定期的にLH-RHテストを行い、血中LH及びFSHの反応性が抑制されない場合には、投与を中止すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
子宮内膜症・子宮筋腫の場合
性ホルモン剤
エストラジオール誘導体、エストリオール誘導体、結合型エストロゲン製剤、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの合剤、両性混合ホルモン剤 等
臨床症状・措置方法
本剤の効果を減弱することがある。
機序・危険因子
本剤は性ホルモンの分泌を低下させることにより薬効を示す。したがって、性ホルモン剤の投与は本剤の治療効果を減弱する可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
各効能疾患別及び調査別の臨床検査値の異常を含む副作用の発現頻度は表1のとおりである。
以下の副作用は承認時までの調査、製造販売後の使用成績調査あるいは自発報告等で認められたものである。
本剤は徐放性製剤であるので、最終投与後も薬効持続期間中は患者の状態を観察すること。
表1 臨床検査値の異常を含む副作用の発現頻度
効能疾患 |
承認時までの調査 |
製造販売後の使用成績調査 |
子宮内膜症 |
86.3%〔472/547〕 |
31.1%〔803/2,586〕
(再審査終了時点) |
子宮筋腫 |
83.5%〔344/412〕 |
19.4%〔485/2,498〕
(再審査終了時点) |
閉経前乳癌 |
64.0%〔64/100〕 |
11.6%〔34/292〕
(再審査終了時点) |
前立腺癌 |
47.5%〔75/158〕 |
10.3%〔127/1,232〕
(再審査終了時点) |
中枢性思春期早発症 |
20.8%〔22/106〕 |
3.5%〔3/85〕
(再審査終了時点) |
〔 〕内 : 副作用発現症例数/安全性評価対象症例数
重大な副作用
全効能疾患共通
(1)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎(0.1%未満)があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
(2)
アナフィラキシー(0.1%未満)があらわれることがあるので、問診を十分に行い、投与後は十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
(3)
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
(4)
糖尿病の発症又は増悪(頻度不明)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
(5)
下垂体卒中(頻度不明)が下垂体腺腫患者で報告されているので、初回投与直後に頭痛、視力・視野障害等があらわれた場合には、検査のうえ外科的治療等の適切な処置を行うこと。
(6)
心筋梗塞、脳梗塞、静脈血栓症、肺塞栓症等の血栓塞栓症(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
子宮内膜症、子宮筋腫、閉経前乳癌の場合
エストロゲン低下作用に基づく更年期障害様のうつ状態(0.1~5%未満)があらわれることがあるの