また,3回目投与の約64時間後より血液透析を4時間施行した場合,透析開始前から透析終了1時間後までの本剤の除去率は37.5~51.7%であった.
5. プロベネシドによる影響9)
健康成人3例にプロベネシド1gを経口投与し,2時間後に本剤200mgを30分点滴静注した.更に,点滴終了2時間後にプロベネシド0.5gを経口投与した.その結果,本剤の血清中半減期は約2倍に延長し,AUCは2.4倍に増加したが,最高血清中濃度に大きな変化は認められなかった.
6. その他
本剤はヒト肝ミクロソームを用いた試験において,CYP1A2に対し1000μmol/Lで約37%の阻害作用を示したが,CYP2C9,2C19,2D6,2E1及び3A4に対しては阻害作用を示さなかった.
血中濃度の表1
投与量
(mg) |
症例数 |
t1/2注2)
(h) |
tmax
(h) |
Cmax
(μg/mL) |
AUC0→∞
(μg・h/mL) |
300 |
5 |
1.65±0.27 |
0.5 |
8.99±0.59 |
13.3±2.5 |
500 |
6 |
1.88±0.26 |
0.5 |
11.0±2.4 |
21.7±3.0 |
1000 |
8 |
3.0±0.3 |
1.1±0.0 |
18.45±1.49 |
59.42±4.43 |
平均値±S.D.
注2)投与量300mg及び500mg:β相の半減期(t1/2β)
血中濃度の表2
投与量
(mg) |
症例数 |
t1/2注4)
(h) |
Cmax
(μg/mL) |
AUC0→∞
(μg・h/mL) |
500 |
10 |
2.04±0.27 |
18.3±3.5 |
37.2±6.3 |
1000 |
10 |
3.0±0.4 |
25.74±5.61 |
73.18±15.10 |
平均±S.D.
注4)投与量500mg:β相の半減期(t1/2β)
臨床成績
1日投与量1000mg以下で実施した臨床試験において,総症例1,007例について検討された臨床効果の概要は下表のとおりである.また,比較試験において,呼吸器感染症13,14),複雑性尿路感染症15)について本剤の有用性が確認されている.(有効率は“有効”以上を集計)
(臨床成績の表1 参照)
1日投与量2000mgで実施した臨床試験で検討された敗血症,重症・難治性肺炎及び肺炎球菌による肺炎に対する臨床効果の概要は下表のとおりである.(有効率は“有効”以上を集計)
(臨床成績の表2 参照)
臨床成績の表1
疾患群 |
疾患名 |
有効率(%) |
外科領域感染症 |
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 |
83.3(30/36) |
呼吸器感染症 |
肺炎 |
86.6(252/291) |
呼吸器感染症 |
肺膿瘍 |
50.0(9/18) |
呼吸器感染症 |
慢性呼吸器病変の二次感染 |
82.9(131/158) |
尿路感染症 |
複雑性膀胱炎 |
86.1(192/223) |
尿路感染症 |
腎盂腎炎 |
84.4(141/167) |
尿路感染症 |
前立腺炎(急性症,慢性症) |
100.0(7/7) |
腹腔内感染症 |
腹膜炎 |
88.6(31/35) |
腹腔内感染症 |
腹腔内膿瘍 |
53.3(8/15) |
胆道感染症 |
胆嚢炎 |
83.3(10/12) |
胆道感染症 |
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