への投与
小児等に対する安全性は確立していないので,投与しないこと.(「その他の注意」の項参照)
適用上の注意
1. 投与経路
本剤は点滴静脈内投与のみに使用すること.
2. 投与時
(1)
他剤及び輸液と配合した場合に,配合変化(白濁等)が認められているため,原則として他剤及び輸液と配合しないこと.なお,I.V.Push法及びPiggyback法においても配合変化が認められているため,側管からの配合も避けること.
(2)
血管を確保できないなど,やむを得ず側管から投与する場合には,他剤との配合変化を避けるため,本剤使用の前後に生理食塩液でライン洗浄(フラッシング)を行うこと.
3. 開封後
開封後は速やかに使用すること.
その他の注意
動物実験〔幼若犬,成熟犬(16~26カ月齢),ラット(6週齢)〕で関節異常が認められたとの報告がある.
薬物動態
1. 血中濃度
本剤を健康成人に単回投与したときの薬物動態パラメータ注1)は以下のとおりである2).
注1)投与量300mg及び500mg:2-コンパートメントモデルに基づく解析
投与量1000mg:モデルに依存しない解析により算出
(血中濃度の表1 参照)
また,本剤を高齢者(65歳以上)に単回投与したときの薬物動態パラメータ注3)は以下のとおりである3).
注3)投与量500mg:2-コンパートメントモデルに基づく解析
投与量1000mg:モデルに依存しない解析により算出
(血中濃度の表2 参照)
2. 組織内移行
喀痰・肺組織4)
1回500mg,30分点滴静注時の最高喀痰中濃度は点滴開始0.5~2.5時間後に2.49~6.24μg/g(n=4)であり,また,点滴開始1.5時間後の肺組織内濃度は平均7.95μg/g(n=5)であった.
胆道
1回500mg,30分点滴静注時の胆管胆汁中最高濃度5)は点滴開始1.5~4.5時間後に5.47~29.9μg/mL(n=3)であり,また,胆嚢組織内濃度4)は点滴開始1.0~2.5時間後に9.85~35.5μg/g(n=4)であった.
胸水5)・腹水5)
1回500mg,1時間点滴静注時の胸水中濃度は点滴開始7時間後に1.43μg/mL(n=1),1回300mg,1時間点滴静注時の腹水中濃度は点滴開始4時間後に1.87μg/mL(n=1)を示した.
創膿汁4)・熱傷皮膚組織6)
1回500mg,30分点滴静注時の創膿汁中濃度は点滴開始1.5時間後に2例平均で4.73μg/mLであり,また,点滴開始1.5時間後の熱傷皮膚組織エスカー部分の濃度は4例平均で4.54μg/gであった.
女性性器組織7)
1回300mg,30分点滴静注時の女性性器の各組織濃度は点滴開始0.83時間後で5.00~13.9μg/g(n=1)であり,骨盤死腔液中濃度は点滴開始2時間後の平均で3.18μg/mL(n=4)であった.
髄液2)
1回500mg,30分点滴静注1.5時間後の髄液中濃度は3例平均で0.33μg/mLであった.
好中球・組織培養細胞8)
好中球及び組織培養細胞(胎児小腸細胞,胎児肺正常2倍体細胞及び成人肝細胞)の浮遊液にパズフロキサシン溶液を添加した4種類の混合液(薬剤濃度:1μg/mL)を培養後,細胞内及び細胞外液の薬剤濃度を測定し,各細胞におけるC/E ratio(細胞外薬剤濃度に対する細胞内薬剤濃度の比率)を算出した結果,平均でそれぞれ7.1(n=14),7.4(n=9),3.4(n=12)及び2.1(n=3)であった.
3. 代謝・排泄3,9,10)
50~500mgを30分点滴静注にて単回投与した場合又は1000mgを1時間点滴静注にて単回投与した場合の投与24時間までの尿中排泄率は約90%であった.また,1回300mgを1日2回(最終日は1回)で5日間,1回500mgを1日2回(1日目及び最終日は1回)で6日間,又は1回1000mgを1日2回(1日目及び最終日は1回)で6日間反復投与した場合の累積尿中排泄率も約90%で推移した.また,1回500mgを1日3回(最終日は1回)5日間反復投与時にも尿中回収率の上昇傾向を認めなかった.
本剤投与後の代謝物はグルクロン酸抱合体が胆汁中及び尿中に認められた.しかし,それ以外の代謝物の濃度は低く,投与24時間までのグルクロン酸抱合体の尿中排泄率5.71%を含めた本剤の尿中排泄率は99.7%と高く,また,生体内で光学異性化も示さないことから本剤は代謝を受け難い薬剤と考えられた.
なお,高齢者(65歳以上)に500mgを30分点滴静注にて単回投与した場合の投与24時間までの尿中排泄率は平均83.5%であった.
4. 腎機能障害時の血清中濃度推移
(1) 腎機能低下患者11)
Ccr13.6(mL/min)の患者1例に300mgを30分点滴静注にて単回投与したときのCmax,AUC0→∞,t1/2βはそれぞれ10.3μg/mL,51.5μg・h/mL,7.36時間であった.
Ccr13.6(mL/min)の患者に1回500mgを1日1回点滴静注にて反復投与したときのCss,max,AUC0→24をシミュレーションにて算出した結果,それぞれ30.2μg/mL,451.5μg・h/mLであった.
Ccr20~30(mL/min)の患者に1回500mgを1日2回点滴静注にて反復投与したときのCss,max,AUC0→24をシミュレーションにて算出した結果,それぞれ22.1~30.3μg/mL,269.2~470.6μg・h/mLであった.
(2) 血液透析施行患者11,12)
血液透析施行患者3例に300mgを30分点滴静注にて単回投与したときのCmax,AUC0→∞はそれぞれ12.5~13.3μg/mL,196~269μg・h/mLであった.また,投与開始24時間後より血液透析を4時間施行した場合,本剤は59~66mgが除去され,見かけ上の血清中濃度半減期(t1/2d)は非透析時の半減期(t1/2β)17.9~23.2時間から2.78~4.00時間に短縮された.
のう胞腎感染症の血液透析施行患者4例に週3回の血液透析後,300mgを30分点滴静注投与したとき,初回投与時のCmax,AUC0→∞及びt1/2はそれぞれ7.76~13.04μg/mL,258~662μg・h/mL及び22.0~47.2時間であった.