タゾンとして15mg、30mg又は45mgを投与した二重盲検比較試験を含む各種臨床試験において、総合血糖改善度が評価された821例の改善率(「中等度改善」以上)は50.8%(417/821例)である。
さらに、長期投与試験(28~48週間以上投与)でも、空腹時血糖及びHbA1cの下降は持続し、作用の減弱はみられず、安定した血糖コントロールが得られている。
なお、下記の治療効果不十分例を対象とした二重盲検比較試験の結果は次のとおりである。
(1) 食事療法、運動療法のみの2型糖尿病
1日1回ピオグリタゾンとして30mgを12週間投与した結果、HbA1c値(JDS値)は1.08±1.47%(63例の平均値±標準偏差)の下降が認められている。
(2) 食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用中の2型糖尿病
1日1回ピオグリタゾンとして30mgを12週間投与した結果、HbA1c値(JDS値)は1.24±1.33%(56例の平均値±標準偏差)の下降が認められている。
(3) 食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用中の2型糖尿病
1日1回ピオグリタゾンとして30mgを16週間投与した結果、HbA1c値(JDS値)は0.91±0.89%(55例の平均値±標準偏差)の下降が認められている。
(4) 食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用中の2型糖尿病
1日1回ピオグリタゾンとして15mgを12週間、その後30mgを16週間投与した結果、HbA1c値(JDS値)は0.67±0.80%(83例の平均値±標準偏差)の下降が認められている。
(5) 食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用中の2型糖尿病
1日1回ピオグリタゾンとして30mgを16週間投与した結果、HbA1c値(JDS値)は1.22±1.11%(45例の平均値±標準偏差)の下降が認められている。
薬効薬理
本剤はインスリン受容体のインスリン結合部以降に作用してインスリン抵抗性を軽減し、肝における糖産生を抑制し、末梢組織における糖利用を高め血糖を低下させる。この作用は、インスリン抵抗性の主因である細胞内インスリン情報伝達機構を正常化することによると推測される。
(1) 糖代謝改善作用
1)
食事療法、運動療法のみの2型糖尿病患者に1日1回ピオグリタゾンとして30mgを12週間投与した二重盲検比較試験において、空腹時血糖、HbA1cの下降、1,5-AGの上昇が認められている。11)
2)
食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用中の2型糖尿病患者に1日1回ピオグリタゾンとして30mgを12週間併用投与した二重盲検比較試験において、空腹時血糖、HbA1cの下降、1,5-AGの上昇、血中インスリンの下降が認められている。12)
3)
食事療法、運動療法に加えてボグリボースを使用中の2型糖尿病患者に1日1回ピオグリタゾンとして30mgを16週間併用投与した二重盲検比較試験において、空腹時血糖、HbA1cの下降が認められている。
4)
食事療法、運動療法に加えてメトホルミンを使用中の2型糖尿病患者に1日1回ピオグリタゾンとして15mgを12週間、その後30mgを16週間併用投与した二重盲検比較試験において、空腹時血糖、HbA1cの下降が認められている。
5)
食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用中の2型糖尿病患者に1日1回ピオグリタゾンとして30mgを16週間併用投与した二重盲検比較試験において、空腹時血糖、HbA1cの下降が認められている。
6)
インスリン抵抗性を有する肥満型2型糖尿病モデル動物(KKAyマウス、Wistar fattyラット)において、高血糖及び高インスリン血症を軽減する。一方、インスリン欠乏の1型糖尿病モデル動物(ストレプトゾシン糖尿病ラット)の高血糖、正常ラット(Sprague-Dawleyラット)の正常血糖には作用を示さない。16,17)
(2) 耐糖能改善作用
インスリン抵抗性を有し、耐糖能異常を示すWistar fattyラット及びZucker fattyラットにピオグリタゾンを10~12日間投与し、20時間絶食後にグルコースを経口投与したところ、グルコース投与後の血漿グルコース上昇の抑制及びインスリン過剰分泌の軽減が認められている。16,17)
(3) インスリン抵抗性改善作用
1)
食事療法、運動療法のみ又は食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用中の2型糖尿病患者に1日1回ピオグリタゾンとして30mgを12週間投与した臨床薬理試験(グルコース・クランプ法)において、末梢組織及び肝の糖取り込み率の上昇が認められている。18,19)
2)
インスリン抵抗性を有し、肥満型糖尿病であるWistar fattyラット及び肥満であるZucker fattyラットにピオグリタゾンを14日間投与し、20時間絶食後にインスリンを投与したところ、インスリン投与後の血糖低下の増強が認められている。16,17)
3)
肥満型糖尿病であるKKAyマウスの横隔膜のグリコーゲン画分及び副睾丸周囲脂肪組織の総脂肪画分へのインスリン刺激時の糖取り込みを増加させる。16)
4)
肥満型糖尿病であるWistar fattyラットの肝からの糖産生を抑制し、末梢組織における糖の利用を高める。20)
(4) 作用機序
1) 末梢組織におけるインスリン作用増強
Wistar fattyラットの後肢ヒラメ筋において、インスリンの作用(グリコーゲン合成及び解糖亢進作用)を増強する(ex vivo)。また、Wistar fattyラットの副睾丸周囲脂肪組織由来の単離脂肪細胞において、インスリンの作用(グルコース酸化及び総脂質合成亢進作用)を増強する(ex vivo)。17)
2) 肝におけるインスリン作用増強
Wistar fattyラットにおいて、肝におけるグルコキナーゼの活性を亢進し、グルコース-6-ホスファターゼの活性を低下させ、糖産生を抑制する(in vivo)。20)
3) インスリン受容体作用増強
Wistar fattyラットの骨格筋において、低下したインスリン受容体及びインスリン受容体基質のリン酸化を正常化し、ホスファチジルイノシトール-3-キナーゼの活性を亢進する(in vivo)。21)
4) TNF-α産生抑制作用
Wistar fattyラットに認められる骨格筋TNF-α産生亢進を抑制し、これと並行して高血糖を軽減する(in vivo)。22)
有効成分に関する理化学的知見
化学構造式
一般名
ピオグリタゾン塩酸塩(Pioglitazone Hydrochloride)〔JAN〕
化学名
(5RS)-5-{4-[2-(5-Ethylp