9;危険因子
カルシウムは強心配糖体の心筋収縮力増強作用を強める。
薬剤名等
テトラサイクリン系抗生物質
テトラサイクリン、ミノサイクリン等
ニューキノロン系抗菌剤
ノルフロキサシン、塩酸シプロフロキサシン、トスフロキサシントシル酸塩水和物等
臨床症状・措置方法
これらの薬剤の作用を減弱するおそれがある。
機序・危険因子
カルシウムイオンはこれらの薬剤とキレートを形成し、吸収を阻害する。
薬剤名等
プロトンポンプ阻害剤
オメプラゾール、ランソプラゾール等
H2受容体拮抗剤
ファモチジン、ラニチジン等
制酸剤
水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル等
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤は酸性条件下でカルシウムが脱離して薬効を発揮するが、これらの薬剤の胃内pH上昇作用によりカルシウムの脱離が抑制される。
副作用
副作用等発現状況の概要
**,*承認時までの臨床試験では、751例中66例(8.79%)に、市販後の使用成績調査では、3,096例中68例(2.20%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。 (再審査結果通知:2009年3月)
その他の副作用
過敏症注)
0.1~1%未満
発疹、そう痒感
*血液
0.1%未満
白血球減少
消化器
0.1~1%未満
嘔気・嘔吐、口渇、腹部膨満感、下痢、便秘、腹痛
*消化器
0.1%未満
腹鳴
*肝臓
0.1~1%未満
AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γ-GTP上昇、ALP上昇
*肝臓
0.1%未満
総ビリルビン上昇
*肝臓
頻度不明
LDH上昇
その他
0.1~1%未満
浮腫
*その他
0.1%未満
頭痛、尿潜血陽性、尿蛋白陽性
その他の副作用の注意
注)症状が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では腎機能が低下していることが多く、高カルシウム血症があらわれやすいので、減量するなど用量に留意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
小児等への投与
**小児等に対する安全性は確立していない。(使用経験が少ない。)
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
[参考]
ラット及びイヌに14C標識ポリカルボフィルカルシウムを経口投与したときの血液中放射能濃度試験、尿・糞中排泄試験及びラットにおける全身オートラジオグラフィー、胆汁中排泄試験、in situループ法での消化管吸収試験の結果、本剤は消化管から吸収されなかった1)。
また、他の薬剤の吸収に及ぼす影響をトリメブチンマレイン酸塩、ジアゼパム、チキジウム臭化物、シメチジン及びジギトキシンについて血漿中濃度を指標としてイヌで検討した結果、本剤はいずれの薬剤の吸収にも影響を及ぼさなかった2)。
臨床成績
過敏性腸症候群の患者の便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状に対する一般臨床試験(投与期間:2週間~3カ月)及び二重盲検試験(投与期間:2週間)における本剤の承認用法用量1.5~3.0g/日・分3の有効率(「改善」以上)は63.5%(351/553例)であり、有効性が認められている3)~9)。
薬効薬理
1. 作用機序
本剤は胃内の酸性条件下でカルシウムを脱離してポリカルボフィルとなり、小腸や大腸等の中性条件下で高い吸水性を示し、膨潤・ゲル化する。下痢及び便秘には消化管内水分保持作用及び消化管内容物輸送調節作用により効果を発現すると考えられる。
(1) 消化管内水分保持作用
ラットにおいて、腸管の水分分泌に影響することなく腸管内で水分を保持した10)。
(2) 消化管内容物輸送調節作用
マウス及びラットにおいて、亢進させた消化管内容物の輸送を抑制し、遅延させた消化管内容物の輸送を改善した11)。
2. 下痢抑制効果
マウス、ラット及びイヌの下痢モデルに対して抑制作用を示したが、便秘を誘発しなかった12)13)。
3. 便秘改善効果
ラット及びイヌの排便量を増加し、ラット便秘モデルに対して改善作用を示したが、下痢は誘発しなかった12)13)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ポリカルボフィルカルシウム(Polycarbophil Calcium)
本質
3,4-ジヒドロキシ-1,5-ヘキサジエンにより架橋したポリアクリル酸のカルシウム塩
Calcium salt of polyacrylic acid cross-linked with 3,4-dihydroxy-1,5-hexadiene
構造式
分子式
(C6H6CaO4)a・(C6H10O2)b
性状
白色~微黄白色の粉末である。水又はエタノール(95)にほとんど溶けない。吸湿性である。
取扱い上の注意
注意
本品は高防湿性の内袋により品質保持をはかっている。
包装
錠500mg:100錠(10錠×10)
錠500mg:500錠(バラ)
錠500mg:1,000錠(10錠×100)
細粒83.3%:600g
細粒83.3%:0.6g×105包
細粒83.3%:0.6g×1,050包
細粒83.3%:1.2g×105包
細粒83.3%:1.2g×1,050包
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
山田健久 他:医薬品研究 28 (1) :23,1997[COL-00003]
2)
山田健久 他:医薬品研究 28 (1) :33,1997[COL-00004]
3)
正宗 研 他:薬理と治療 26 (S-5) :S925,1998[COL-00006]
4)
正宗 研 他:薬理と治療 26 (S-5) :S945,1998[COL-00