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血小板減少
血液
頻度不明
顆粒球減少
その他
0.1~5%未満
しびれ、顔面等の浮腫、眼のかすみ、ほてり、倦怠感、脱力感、高カリウム血症、血清アミラーゼ上昇、HDLコレステロール低下、発汗、脱毛
その他の副作用の注意
注2)このような場合には投与を中止すること。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、低用量(例えば1回量0.1mg)から投与を開始するとともに、血糖値及び消化器症状の発現に留意するなど、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。
[動物試験(ラット)で、母動物の糖質吸収の抑制に起因する乳汁産生の抑制によると考えられる出生児の体重の増加抑制が認められている。1,2)]
小児等への投与
小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
適用上の注意
1.
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
2.
服用時
本剤は舌の上にのせ唾液を浸潤させ舌で軽くつぶし、崩壊後唾液のみで服用可能である。また、水で服用することもできる。
薬物動態
1.
健康成人男子(6名)にベイスン錠を1回0.2mg1日3回、7日間反復投与した場合、血漿中及び尿中にボグリ-ボ-スは検出されない。3)
(参考)健康成人男子(10名)に2mgを単回投与した場合、血漿中及び尿中にボグリボースは検出されない。
2.
ラットに[14C]ボグリボース1mg/kg単回投与した試験で胎児及び乳汁中への移行が認められており、尿、糞への排泄率はそれぞれ約5%、98%である。4)
臨床成績
1. 糖尿病の食後過血糖の改善
インスリン非依存型糖尿病、インスリン依存型糖尿病の各患者を対象に、1日0.6又は0.9mgを、投与した二重盲検比較対照試験を含む各種臨床試験において、最終血糖総合改善度が評価された877例の糖尿病の病型別改善率は表1のとおりである。5~21)
上記のインスリン非依存型糖尿病患者を対象とした二重盲検比較対照試験の結果、本剤の有用性が認められている。5,6)
また、食事療法のみの症例のみならず、インスリン製剤使用中7~10)あるいは経口血糖降下剤使用中11~15)の患者においても食後過血糖の改善を初めとする有用性が認められている。さらに、長期投与試験(平均投与期間約7ヵ月)では効果の持続が確認され、安定した血糖コントロールが得られている。16~20)
なお、臨床薬理試験結果より、代表的副作用である放屁増加、腹部膨満、下痢及び軟便等は、薬理作用に起因する未吸収糖質の分解・発酵に基づくものであると考えられる。
2. *耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制
耐糖能異常を有し、かつ高血圧症、高脂血症、肥満(Body Mass Index:BMI 25kg/m2以上)あるいは2親等以内の糖尿病家族歴のいずれかを有する者を対象に、食事療法・運動療法に加えて1回0.2mgを1日3回投与した二重盲検比較試験(平均投与日数336.7±254.0日間)の結果、最終評価時点における2型糖尿病移行例数は、本剤投与群で50/897例、プラセボ群で106/881例である。
プラセボ群に対する本剤投与群のハザード比(両側95%信頼区間)は0.595(0.4334-0.8177)である(層別ログランク検定:p=0.0014)。21)
なお、2型糖尿病累積移行率は下図及び表2のとおりである。
表1 糖尿病の病型別改善率
糖尿病の病型 例数 中等度改善以上 軽度改善以上
インスリン非依存型糖尿病 812 371(45.7) 613(75.5)
インスリン依存型糖尿病 65 31(47.7) 47(72.3)
計 877 402(45.8) 660(75.3)
数字は例数、( )内は累積パーセント
中等度改善以上 : 「著明改善」+「中等度改善」
表2 2型糖尿病累積移行率
2型糖尿病累積移行率 2型糖尿病累積移行率
投与開始48週時点 投与開始96週時点
本剤投与群 2.6%(1.53-3.68) 4.8%(3.13-6.44)
プラセボ群 7.0%(5.23-8.73) 13.2%(10.59-15.85)
( )内は両側95%信頼区間
薬効薬理
本剤は、腸管において二糖類から単糖への分解を担う二糖類水解酵素(α-グルコシダーゼ)を阻害し、糖質の消化・吸収を遅延させることにより食後の過血糖を改善する。22~29)
(1) 作用機序22)
1)
ブタ小腸由来マルターゼとスクラーゼに対してアカルボースよりそれぞれ約20倍及び30倍強い阻害作用を示し、ラット小腸由来マルターゼ及びスクラーゼ阻害活性はそれぞれアカルボースの約270倍及び190倍である(in vitro)。一方ブタ及びラット膵α-アミラーゼに対する阻害作用はアカルボースの約1/3,000であり、β-グルコシダーゼに対しては阻害活性を示さない(in vitro)。
2)
ラット小腸由来のスクラーゼ-イソマルターゼの複合体の二糖類水解酵素に対する阻害様式は競合拮抗的である(in vitro)。
(2) 血糖上昇抑制作用
1)
正常ラットに経口投与した場合、でん粉、マルトース及びスクロース負荷後の血糖上昇を抑制するが、グルコース、フルクトース及びラクトース負荷後の血糖上昇に対しては無効である(in vivo)。22)
2)
健康成人にスクロース負荷を行い呼気水素ガスを測定したところ、本剤の臨床用量における血糖上昇抑制作用は二糖類の部分的な分解抑制に基づく糖質の軽度な吸収阻害と、その結果としての吸収遅延によるものと推定される。