ィンゴリモドは90%信頼区間、モキシフロキサシンは96%信頼区間を示す。
10. 心拍数に対する作用
健康成人(各6例)を対象にフィンゴリモド5mgを反復経口投与したとき、心拍数は以下のとおり推移した。
本剤の用法及び用量は1日1回0.5mgである。(【用法及び用量】の項参照)
臨床成績
1. 国内臨床試験
(1) 第II相試験18)
再発性多発性硬化症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。本剤0.5mg、1.25mg又はプラセボを1日1回6ヵ月間経口投与した結果、本剤0.5mg群における投与3及び6ヵ月後の両時点でGd造影病巣が認められなかった患者の割合は、下記のとおりであり、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められた(p=0.004、投与群を因子、スクリーニング時のGd造影病巣数を共変量としたロジスティック回帰モデル)。
投与3及び6ヵ月後の両時点でGd造影病巣が認められなかった患者の割合(mFAS)
Gd造影病巣の認められなかった患者の割合(ベースライン)a)
プラセボ群:57.9%(33/57例)
0.5mg群:57.9%(33/57例)
投与3及び6ヵ月後の両時点でGd造影病巣が認められなかった患者の割合
プラセボ群:40.4%(21/52例)
0.5mg群:70.0%(35/50例)
オッズ比[95%信頼区間]b)
0.5mg群:3.628[1.504、8.753]
p値b)
0.5mg群:0.004
a)ランダム化された患者
b)投与群を因子、スクリーニング時のGd造影病巣数を共変量としたロジスティック回帰モデル
(2) 長期投与試験19)
第II相試験を完了した症例を対象に実施した継続長期投与試験において、Gd造影病巣が認められなかった患者の割合は、下記のとおりであった。
Gd造影病巣が認められなかった患者の割合(Ex-mFAS)
投与3及び6ヵ月後の両時点
プラセボ-0.5mg群:26.1%(6/23例)
0.5mg-0.5mg群:77.8%(35/45例)
投与9及び12ヵ月後の両時点
プラセボ-0.5mg群:69.6%(16/23例)
0.5mg-0.5mg群:84.4%(38/45例)
2. 外国臨床試験20)
外国人再発寛解型多発性硬化症患者を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。本剤0.5mg、1.25mg又はプラセボを1日1回24ヵ月間経口投与した結果、本剤0.5mg群における24ヵ月間の投与期間中における年間再発率の推定値は、下記のとおりであり、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められた(p<0.001、投与群を因子、国、直近2年間の再発回数及びベースラインのEDSSスコアを共変量、治験参加期間の対数値をオフセット変数としたnegative binomial regression model)。また、本剤0.5mg群におけるEDSS評価に基づく3ヵ月持続する障害進行が発現するまでの時間は、下図のとおりであり、プラセボ群と比較して延長し、統計学的な有意差が認められた(p=0.026、ログランク検定)。
24ヵ月間の投与期間中における年間再発率(ITT)
推定値[95%信頼区間]
プラセボ群(418例):0.40[0.34、0.47]
0.5mg群(425例):0.18[0.15、0.22]
年間再発率の比
0.5mg群(425例):0.46
p値
0.5mg群(425例):<0.001
投与群を因子、国、直近2年間の再発回数及びベースラインのEDSSスコアを共変量、治験参加期間の対数値をオフセット変数としたnegative binomial regression model

3ヵ月持続する障害進行が発現するまでの時間(ITT)
薬効薬理
1. **作用機序
フィンゴリモドは生体内で活性代謝物であるリン酸化体に代謝される。21)リン酸化体は、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体1(S1P1受容体)と結合し、その内在化と分解を誘導することで、S1P1受容体の機能的アンタゴニストとして作用するため、リンパ節などの二次リンパ組織からのリンパ球の移出を抑制する。ミエリン抗原特異的なTh17細胞を含む自己反応性T細胞も、同様の機序でリンパ節からの移出が抑制されるため、中枢神経系組織への浸潤が抑制される。22,23)
一方、外来性病原体の感染に対し重要な役割を担うエフェクターメモリーT細胞は、二次リンパ組織を介する循環能を有さないため、フィンゴリモドはエフェクターメモリーT細胞に対しほとんど影響しない。24)
また、フィンゴリモドは、ヒト及び動物の中枢神経系(CNS)への移行性を有し、アストログリオーシス、脱髄、及び神経細胞の傷害を抑制することが明らかにされている。25)
2. 実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)
多発性硬化症の動物モデルであるマウスの再発寛解型EAEにおいて、フィンゴリモドを治療的に経口投与したとき、神経症状の再発抑制作用を示した。26)
有効成分に関する理化学的知見
構造式
一般名
フィンゴリモド塩酸塩
(Fingolimod Hydrochloride)
化学名
2-Amino-2-[2-(4-octylphenyl)ethyl]propane-1,3-diol monohydrochloride
分子式
C19H33NO2・HCl
分子量
343.93
性状
白色の粉末である。水、メタノール又はエタノールに溶けやすく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
分配係数
D22.26(1-オクタノール/水)
承認条件
製造販売後、一定数の症例にかかるデータが集積されるまでの間は、全症例を対象とした使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
包装
ジレニアカプセル0.5mg 14カプセル(PTP) 56カプセル(PTP)

主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:日本人及び白人健康成人の薬物動態〔GILU00001〕
2)
社内資料:日本人多発性硬化症患者での薬物動態〔GILU00002〕
3)
社内資料:食事の影響〔GILU00003〕
4)
社内資料:経口バイオアベイラビリティ〔GILU00005〕
5)
社内資料:In vitro血球移行率及び蛋白結合率〔GILU