の毒性学的意義は低い。
3.
アジスロマイシンとの因果関係は不明だが、心悸亢進、間質性腎炎、肝壊死、運動亢進があらわれたとの報告がある。
薬物動態
1. 組織内濃度
外国人データ
手術予定患者にアジスロマイシン500mg(力価)を経口投与した際の投与後12時間~8日目の各種組織内濃度の検討では、いずれの組織においても、血清中濃度が消失後も数日にわたって高い組織内濃度が維持された14)(図1)。
なお、アジスロマイシンのヒトにおける全身クリアランス及び分布容積はそれぞれ10mL/min/kg及び33.3L/kgと報告されており15)、分布容積が大きく、組織へ移行しやすいことが示されている。
<参考>
アジスロマイシンはヒト多形核白血球及びマウスマクロファージ等の食細胞への良好な移行が認められた16)。
アジスロマイシンが移行した食細胞が感染組織に遊走することにより、感染組織では非感染組織に比べて高い薬剤濃度が得られることが動物(マウス)試験で認められている17)。
2. 血清中濃度18)
健常成人男子各10例にアジスロマイシン500mgを、1mg/mLの濃度で3時間及び2時間かけて点滴静注し、単回及び1日1回、5日間反復投与したときの血清中濃度を図2に、単回投与後の薬物動態パラメータを表1に示す。5日間反復投与したとき、単回投与時と比較して、Cmaxは約8~12%上昇、AUC0-24は約1.5~1.6倍に増加した。
図2 単回及び反復投与後の血清中濃度推移
(血清中濃度:平均値+標準偏差, n=10)
(表1参照)
3. 血清蛋白結合率
アジスロマイシンのヒト血清蛋白との結合率は12.2~20.3%(in vivo、超遠心法)であった19)。
4. 代謝・排泄
健常成人男子6名にアジスロマイシン250mg錠を500mg(力価)単回経口投与した時、投与後168時間までの尿中に未変化体として投与量の9%が排泄された20)。
健常成人男子の尿及び患者の胆汁中代謝物について検討した結果、いずれもほとんどは未変化体で、代謝物として脱メチル体、脱クラジノース体が確認された19)。アジスロマイシンは胆汁、消化管分泌を介して、未変化体としてほとんど糞中に排泄される。
<参考>
ラットに14C-標識アジスロマイシン20mg/kgを単回経口投与した時、投与後168時間までに投与量の80.3%が糞中に、13.3%が尿中に排泄され、また投与後72時間までに投与量の3.1%が呼気中に排泄された6)。
5. 肝機能障害患者21)
外国人データ
軽度及び中等度の肝機能障害患者(成人)16例にアジスロマイシン250mgカプセル注)を500mg(力価)単回経口投与した時、健常成人男子に比べて、Cmaxが増加し、t1/2が延長する傾向が認められたが、有意差は認められなかった。また尿中排泄率においても有意差は認められなかった。
注:アジスロマイシン250mgカプセルは国内未承認
6. 腎機能障害患者22,23)
腎機能障害患者(成人)17例にアジスロマイシン250mg錠を500mg(力価)単回経口投与した時、アジスロマイシンの体内動態は健常成人と有意差は認められなかった。
表1 単回投与後の薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
点滴時間 n Cmax
(μg/mL) t1/2
(h) AUC0-24
(μg・h/mL) AUC0-∞
(μg・h/mL)
3時間 10 1.53±0.36 65.2±14.9注) 6.88±1.23 10.9±1.0注)
2時間 10 1.99±0.36 89.7±43.2 7.02±1.41 13.2±3.0
注:n=9
臨床成績
本剤からアジスロマイシン錠へ切り替えた(スイッチ療法)場合の成績
(1) *呼吸器感染症(肺炎)
呼吸器感染症(肺炎)を対象とした無作為化比較試験を含む国内臨床試験24)73例及び外国臨床試験25)137例の成績は以下のとおりである。なお、臨床試験では、本剤500mgを1日1回、2~5日間点滴静注した後、アジスロマイシン250mg錠又はカプセルを500mg(力価)1日1回経口投与した。注射剤と経口剤の総投与期間は合計7~10日間とした。注射剤から経口剤への切り替えは、被験者の状態で医師が判断した。
国内臨床試験
呼吸器感染症(肺炎)に対する非対照試験において、投与開始15日目の有効率は84.5%(60/71)であった。本試験で原因菌として分離同定された肺炎球菌はすべてアジスロマイシンに対する感受性は低かったが(MIC≧2μg/mL)、11例のうち10例が有効例であった。
(下表参照)
外国臨床試験
呼吸器感染症(肺炎)に対する無作為化比較試験において、投与終了10~14日目における有効率は77.4%(106/137)であった。
(2) *骨盤内炎症性疾患
骨盤内炎症性疾患を対象とした国内臨床試験26)51例(詳細診断名:肝周囲炎、骨盤腹膜炎、ダグラス窩膿瘍、子宮内感染、子宮付属器炎)の成績は以下のとおりである。
臨床試験では、本剤500mgを1日1回、1~2日間点滴静注した後、アジスロマイシン250mg錠をアジスロマイシンとして250mg(力価)を1日1回経口投与した。注射剤と経口剤の総投与期間は合計7日間とした。注射剤から経口剤への切り替えは、被験者の状態で医師が判断した。
投与開始15日目の有効率は94.1%(48/51)であった。主な原因菌であるクラミジア・トラコマティス及び淋菌に対する臨床効果(有効率)及び細菌学的効果(菌消失率)は、それぞれ、100%(12/12、6/6及び11/11、6/6)であった。
肺炎球菌のアジスロマイシン感受性別、MIC別の臨床効果(投与開始15日目)
n/Na)有効率(%)
感受性別:
耐性(MIC≧2μg/mL) 10/11(90.9)
MIC不明 2/3(66.7)
MIC別:
MIC=4μg/mL 1/1(100)
MIC=8μg/mL 0/1(0)
MIC=16μg/mL 3/3(100)
MIC>64&m