2)
テオフィリン血中濃度が低下するまでICU管理を継続し、十分な水分補給を続ける。血中濃度が下がらない場合には、活性炭による血液灌流、血液透析も考慮する。
(4) 不整脈の発現がある場合
1)
不整脈治療としてペーシング、直流除細動、抗不整脈薬の投与等適切な処置を行う。
2)
バイタルサインをモニターする。血圧の維持及び十分な水分補給を行う。また、電解質異常がある場合はその補正を行う。
適用上の注意
投与時
必要に応じ輸液ポンプ等の使用も考慮すること。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 血中濃度推移
健康成人男子(非喫煙者)6名にネオフィリン注250mg2管注)(テオフィリンとして400mg)を30分間単回点滴静注した場合、投与直後に最高血漿中濃度に達し、消失半減期9.51時間で血中より消失した。なお、非喫煙者に比べ喫煙者は、血中半減期が短縮する傾向があり、血中濃度曲線下面積は有意に低下した(p<0.05)。1)
注)ネオフィリン注250mg2管単回点滴静注は承認外用量である。
(2) TDM
有効血中濃度:成人8~20μg/mL
本剤の代謝に関与する主なP450分子種:CYP1A2
2. 血中濃度と臨床効果、副作用との関係
本薬をはじめとするテオフィリン製剤の投与にあたっては、テオフィリン血中濃度を測定しながら投与量を調節することが望ましい。有効血中濃度は通常8~20μg/mLとされているが、血中濃度の上昇に伴い消化器症状等の副作用が発現しやすくなるので、投与量の設定にあたっては規定の用法・用量から開始し、症状をよく観察しながら徐々に増減するなど留意する必要がある。2) 3) 4)
薬物動態の表
ネオフィリン注250mgの薬物動態パラメータ
t1/2
(hr) Vd
(L/kg) AUC
(μg・hr/mL) CL
(L/hr/kg)
9.51±1.05 0.46±0.04 187.4±19.1 0.035±0.004
Mean±S. E. M., n=6
薬効薬理
1. 心筋刺激作用
本薬は、心筋を直接刺激し、心拍出量を増加させる。この効果は、摘出心筋で容易に認めることができる。心疾患患者では、本薬による静脈圧の低下を伴う心刺激作用により、心拍出量を増大させるため、うっ血性心不全に適する。5) 6) 7)
2. 冠拡張作用
虚血性心疾患患者に対し、本薬により、冠血流の増大が認められている。また、冠動脈結紮による梗塞犬において、本薬により虚血部位の血流の有意な増加がみられる。7) 8)
3. 利尿作用
本薬は、イヌの実験で尿量の増加とともにNa+及びCl-の排泄も増加する。その作用機序は、心臓血管系の作用による腎血流の増加、腎糸球体濾過量の増加、腎尿細管におけるNa+及びCl-の再吸収阻害等による。5) 9) 10) 11)
4. 気管支拡張作用
本薬は、摘出モルモット気管支筋の弛緩作用により気管支拡張作用を示す。この作用は喘息患者でも確認されている。また、閉塞性肺疾患患者の肺動脈圧の低下や呼吸機能の改善も認められている。12) 13) 14)
5. 作用機序
本薬の有効成分であるアミノフィリン水和物は、テオフィリン2分子とエチレンジアミン1分子の塩であり、体内ではテオフィリンとして存在する。
テオフィリンの作用機序としては、フォスフォジエステラーゼ阻害による細胞内c‐AMPの増加、アデノシン受容体拮抗、細胞内Ca2+の分布調節等の説がある。5) 15) 16)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
アミノフィリン水和物(Aminophylline Hydrate)
化学名
1,3‐Dimethyl‐1H‐purine‐2,6(3H,7H)‐dione hemi(ethylenediamine) hydrate
分子式
(C7H8N4O2)2・C2H8N2・xH2O
構造式
物理化学的性状
アミノフィリン水和物は白色~微黄色の粒又は粉末で、においはないか、又はわずかにアンモニア様のにおいがあり、味は苦い。
本品は水にやや溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
本品1gに水5mLを加えて振り混ぜるとき、ほとんど溶け、2~3分後,結晶が析出し始める。この結晶は少量のエチレンジアミンを追加するとき溶ける。
本品は光によって徐々に変化し、空気中に放置するとき、次第にエチレンジアミンを失う。
取扱い上の注意
1.
ソフトバッグを包んでいる外袋は使用直前まで開封しないこと。(外袋は酸素を遮断し、内容液の変色を防止している)
2.
注射針はゴム栓の○印にまっすぐ刺すこと。
斜めに刺すと注射針が容器頸部を貫通し、液漏れの原因となることがある。
3.
*原則として連結管(U字管)を用いたタンデム方式による投与はできない。
4.
包装内に水滴が認められるものや内容液が着色又は混濁しているものは使用しないこと。
5.
容器の液目盛りはおよその目安として使用すること。
包装
ネオフィリン注点滴用バッグ250mg:250mL×10袋
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Horai, Y. et al. : Eur. J. Clin, Pharmacol., 24, 79 (1983) TEO‐0008
2)
石崎高志ら:治療, 61, 99 (1979) N‐1083
3)
Koup, J.R. et al. : Am. J. Hosp. Pharm., 33, 949 (1976) N‐1322
4)
Mitenko, P.A. et al. : New Engl. J. Med., 289, 600 (1973) N‐0362
5)
Rall, T.W. : Pharmacol. Basis Ther. 7th ed., 589 (1985) N‐1231
6)
Howarth, S. et al. : Clin. Sci. Mol. Med., 6, 125 (1947) N‐0026
7)
Rutherford, J.D. et al. : Am. J. Cardiol., 48, 107