の発現率は、ATG群で23%(5例/22例)、非ATG群で55%(12例/22例)とATG群で有意(p=0.03)に少なかった。また、1年及び2年生存率はATG群で68%及び64%、非ATG群では73%及び68%であった。一方、移植後の感染症あるいは悪性腫瘍の発現率は両群で同様であった。
(外国人のデータ)
5. 膵移植における拒絶反応の抑制10,11)
(1)
膵腎同時移植患者476例の1年、5年及び10年生存率は、それぞれ96.5%、88.9%及び79.5%であった。また、移植膵の1年、5年及び10年生着率は、それぞれ87.9%、78.9%及び68.4%、移植腎では、それぞれ88.4%、81.0%及び63.5%であった。移植後の死亡の主な原因は、心又は脳血管障害(46%)、敗血症(16%)、悪性腫瘍(13%)であった。
(外国人のデータ)
(2)
膵腎同時移植患者50例をATG群(シクロスポリン+アザチオプリン+ステロイド+ATG)と非ATG群(シクロスポリン+アザチオプリン+ステロイド)に無作為に割り付け比較検討した結果、移植後1年までの移植膵に対する急性拒絶反応は両群ともなく、移植腎に対する急性拒絶反応はATG群36%(9例/25例)、非ATG群76%(19例/25例)とATG群で有意(p<0.01)に少なかった。
(外国人のデータ)
6. *小腸移植における拒絶反応の抑制12,13)
海外において、小腸移植におけるシクロスポリンの拒絶反応の抑制効果に関して報告されている。
7. 骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病(GVHD)の抑制14)
骨髄移植患者21例に対し予防的投与を行い検討を行った結果、生着は全例にみられ、急性GVHDのみられなかったものは52.4%(11例/21例)、グレード1以下では81.0%(17例/21例)、グレード3以上のものはなかった。GVHD患者11例(急性4例、慢性7例)に対し治療的投与を行い検討した結果、有効率63.6%(7例/11例)であり、やや有効を含めると72.7%(8例/11例)であった。
薬効薬理
本剤の作用機序は直接的な細胞障害性によるものではなく、リンパ球に対し特異的かつ可逆的に作用し、強力な免疫抑制作用を示す。本剤は主にヘルパーT細胞の活性化を抑制するが、サプレッサーT細胞の活性化を阻害しないことが示されている。
本剤はT細胞においてシクロフィリンと複合体を形成し、T細胞活性化のシグナル伝達において重要な役割を果たしているカルシニューリンに結合し、カルシニューリンの活性化を阻害する。これによって脱リン酸化による転写因子NFATの細胞質成分の核内移行が阻止され、インターロイキン-2に代表されるサイトカインの産生が抑制される。
(1)
本剤は種々のマイトジェンにより刺激活性化されたリンパ球の増殖反応を抑制する(マウス脾細胞in vitro)。
(2)
本剤はT細胞増殖因子であるインターロイキン-2等のサイトカインの産生を抑制することが示されている(マウス脾細胞in vitro、ex vivo)。
(3)
本剤は主として、ヘルパーT細胞の活性化を抑制するが、サプレッサーT細胞の活性化を阻害しないことが示されている(ヒト末梢血リンパ球in vitro)。
(4)
*本剤は動物において、腎(ウサギ、イヌ)、肝(イヌ)、骨髄(ウサギ、ラット)、心(ブタ)、肺(イヌ)、膵(イヌ)、小腸(イヌ)の同種移植片の生着又は生存期間を延長させ、骨髄移植における移植片対宿主反応の予防(ウサギ)及び治療(ラット)効果を示す。
有効成分に関する理化学的知見
構造式
一般名
シクロスポリン(Ciclosporin)
化学名
cyclo{-[(2S,3R,4R,6E)-3-Hydroxy-4-methyl-2-methylaminooct-6-enoyl]-L-2-aminobutanoyl-N-methylglycyl-N-methyl-L-leucyl-L-valyl-N-methyl-L-leucyl-L-alanyl-D-alanyl-N-methyl-L-leucyl-N-methyl-L-leucyl-N-methyl-L-valyl-}
分子式
C62H111N11O12
分子量
1202.61
性状
白色の粉末で、アセトニトリル、メタノール又はエタノール(95)に極めて溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けやすく、水にほとんど溶けない。
包装
サンディミュン点滴静注用250mg 5mL 5管
主要文献及び文献請求先
主要文献
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文献請求先
ノバルティス ファーマ株式会社 ノバルティス ダ