こと。また妊娠可能な婦人に対しては適切な避妊を行うよう指導すること。[妊婦における使用経験はない。動物試験(ラット、ウサギ)において臨床曝露量と同等以下の曝露量で生存胎児数の減少、催奇形性等が認められた。]
2.
授乳中の婦人には、授乳を中止させること。[授乳婦における使用経験はない。動物実験(ラット)において、ボスチニブ又はその代謝物が乳汁中に移行することが報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
臨床試験において、800~1000 mg/日が投与された患者で、悪心、下痢、嘔吐、疲労、頭痛等が認められた。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
1. 血漿中濃度
(1) 単回及び反復投与1)
日本人慢性期慢性骨髄性白血病患者17例に本剤400 mg、500 mg、又は600 mgを食後単回及び反復経口投与したとき注)、本剤は緩やかに吸収されTmax4時間でCmaxに達した。Cmax及びAUC0-24は500 mgまでは概ね用量増加に伴い増加した。定常状態(15日目)における累積係数(R)は1.7~2.5であった。
(表1参照)

日本人慢性期慢性骨髄性白血病患者に本剤を1日1回400 mgから600 mgで投与したときの投与後15日目における血漿中濃度推移(算術平均値±標準偏差)
(2) 食事の影響(外国人データ)2)
健康成人24例に本剤400 mgをクロスオーバー法により、空腹時又は食後単回経口投与した注)。食後のCmax及びAUCは空腹時に比較してそれぞれ、1.5倍及び1.4倍であった。
2. 分布1,3)
日本人慢性期慢性骨髄性白血病患者7例に本剤500 mgを食後単回経口投与したときの見かけの分布容積は平均約4570 Lであった。
本剤のヒト血漿中タンパク結合率はin vitroで94%、及び健康成人のex vivoで96%であり、濃度に依存しなかった。
3. 代謝(外国人データ)4,5)
in vitro及びin vivo試験より、本剤は主に肝で代謝を受ける。本剤400又は500 mgを単回又は反復投与後注)のヒト血漿中の主要代謝物は酸化的脱クロル体(M2)及びN-脱メチル体(M5)であり、N-オキサイド体(M6)はわずかであった。M5の血漿中曝露量は本剤の25%でM2は19%であった。これらの3つの代謝物の活性は本剤の5%以下であった。糞中には主にM5及び未変化体が存在した。ヒト肝ミクロソームによるin vitro試験より、本剤の代謝に関与する主な薬物代謝酵素はCYP3A4であった。
4. 排泄(外国人データ)6)
健康成人男性6例に14Cで標識した本剤を単回経口投与したとき、投与後9日までに、投与放射能の94.6%が回収され、投与放射能の91.3%が糞中に、3.29%が尿中に排泄された。健康成人に本剤を単回経口投与したとき、尿中に排泄された未変化体は投与量の約1%であった。
5. 薬物相互作用
(1) ケトコナゾール(外国人データ)7)
健康成人24例に本剤100 mgをクロスオーバー法により、単独又はケトコナゾール400 mg 5日間反復投与との併用で単回空腹時投与した注)。本剤とケトコナゾールを併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ5.2倍及び8.6倍増加した。
(2) リファンピシン(外国人データ)8)
健康成人24例に本剤500 mgをクロスオーバー法により、単独又はリファンピシン600 mg 6日間反復投与との併用で単回食後投与した注)。本剤とリファンピシンを併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ86%及び94%減少した。
(3) ランソプラゾール(外国人データ)9)
健康成人24例に本剤400 mgをクロスオーバー法により、単独又はランソプラゾール60 mg 2日間反復投与との併用で単回空腹時投与した注)。本剤とランソプラゾールを併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ46%及び26%減少した。
(4) in vitro試験10)
本剤はin vitro試験において、P-糖タンパクの基質及び阻害剤であり、乳癌耐性タンパクの基質であることが示された。
6. 特殊集団における薬物動態
(1) 肝機能障害を有する被験者における薬物動態(外国人データ)11)
肝機能障害(軽度:Child-Pugh分類A、中等度:Child-Pugh分類B、重度:Child-Pugh分類C)を有する被験者18例及び健康被験者9例に本剤200 mgを食後単回経口投与した注)。本剤のCmaxはChild-Pugh分類A、B、及びCの被験者でそれぞれ、142%、99%、及び52%上昇し、AUCは125%、100%及び91%上昇した。また、肝機能障害を有する被験者ではt1/2が健康被験者よりも延長した。
(2) 腎機能障害を有する被験者における薬物動態(外国人データ)12)
腎機能障害(軽度:クレアチニンクリアランス(CrCL)51~80 mL/min以下、中等度:CrCL 30~50 mL/min以下、重度: CrCL 30 mL/min未満)を有する被験者26例及び健康被験者8例に本剤200 mgを食後単回経口投与した注)。中等度及び重度の腎機能障害を有する被験者のAUCはそれぞれ、健康被験者に比較し35%及び60%上昇した。軽度の腎機能障害を有する被験者のAUCは変化しなかった。また、腎機能障害を有する被験者のt1/2は健康被験者と類似していた。
注:本剤の承認用法・用量は1日1回500 mgの食後経口投与である。[「用法・用量」の項参照]
表1 単回及び反復投与後のPKパラメータ
投与量
(mg) |
投与日 |
N |
Cmaxa
(ng/mL) |
Tmaxb
(h) |
AUC0-24a
(ng・h/mL) |
Rc |
400 |
1日目 |
7 |
131(23) |
4.0 |