必要に応じて500 mg1日1回へ増量する。
注:グレードはNCI-CTCAE ver3.0による。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
肝機能障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇することがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)]
2.
中等度又は重度の腎機能障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇することがある。(「用法・用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照)]
3.
心疾患又はその既往歴のある患者[心疾患が悪化することがある。]
4.
QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者[QT間隔延長が起こるおそれがある。]
5.
他のチロシンキナーゼ阻害剤に不耐容の慢性骨髄性白血病患者[同様の副作用が起こるおそれがある。(「重要な基本的注意」の項参照)]
6.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、投与開始後、最初の2ヵ月間は2週間毎、3ヵ月目は1回、また、患者の状態に応じて肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
2.
白血球減少、好中球減少、顆粒球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に(投与開始後最初の1ヵ月間は1週間毎、その後は1ヵ月毎)、また、患者の状態に応じて血液検査(血球数算定等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。
3.
体液貯留(心嚢液貯留、胸水、肺水腫、末梢性浮腫等)があらわれることがあるので、本剤投与中は体重を定期的に測定する等、患者の状態を十分に観察し、急激な体重の増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、利尿剤を投与する等、適切な処置を行うこと。
4.
経時的に腎機能が低下することがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は腎機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること。
5.
慢性骨髄性白血病患者において、他のチロシンキナーゼ阻害剤に不耐容の患者に本剤を投与する際には、投与中止の原因となった副作用と同様の副作用が起こるおそれがあるので、前治療の副作用の内容を確認してから投与すること。
6.
浮動性めまい、疲労、視力障害等があらわれることがあるので、このような場合には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意させること。
相互作用
本剤は主にCYP3A4で代謝される。in vitro試験において、本剤はP-糖タンパクの基質及び阻害剤であり、乳癌耐性タンパクの基質であることが示されている。[「薬物動態」の項参照]
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
CYP3A阻害剤
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール等)
マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシン等)
HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)
カルシウム拮抗薬(ジルチアゼム、ベラパミル等)
抗がん剤(イマチニブ等)
アプレピタント、トフィソパム、シプロフロキサシン等
グレープフルーツ含有食品
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
機序・危険因子
これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
2. 薬剤名等
CYP3A誘導剤
フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、リファブチン、フェノバルビタール、ボセンタン、エファビレンツ、モダフィニル、エトラビリン等
セイヨウオトギリソウ含有食品
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
機序・危険因子
これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を誘導するため、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
3. 薬剤名等
胃内pHに影響を及ぼす薬剤
プロトンポンプ阻害剤(ランソプラゾール等)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、プロトンポンプ阻害剤との併用は可能な限り避けること。
機序・危険因子
これらの薬剤等が胃内pHをあげるため、本剤の吸収が低下し、血中濃度が低下する可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内第I/II相試験において、安全性評価対象例63例中、63例(100%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。その主な副作用は下痢59例(93.7%)、発疹30例(47.6%)、ALT(GPT)上昇24例(38.1%)等であった。(承認時)
海外第I/II相試験において、安全性評価対象例570例中、560例(98.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。その主な副作用は下痢453例(79.5%)、悪心237例(41.6%)、嘔吐196例(34.4%)等であった。(承認時)
重大な副作用
1. 肝炎(頻度不明注1))、肝機能障害(60.3%)
肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
2. 重度の下痢(12.7%注2))
重度の下痢があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
3. 骨髄抑制(57.1%)
血小板減少(33.3%)、貧血(31.7%)、白血球減少(27.0%)、好中球減少(27.0%)、顆粒球減少(頻度不明注1))等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
4. 体液貯留(9.5%)
心嚢液貯留(3.2%)、胸水(7.9%)、肺水腫(頻度不明注1))、末梢性浮腫(頻度不明注1))等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
5. ショック、アナフィラキシー(頻度不明注1))