作用
過敏症
頻度不明
悪寒,発熱
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない.感染した場合には胎児への障害(流産,胎児水腫,胎児死亡)が起こる可能性がある.〕
適用上の注意
1. 調製時
ろ過網の目の細小な輸血セット(生物学的製剤基準通則45に規定する輸血用器具:人全血液等の血液製剤の輸血に適当と認められた器具であって,そのまま直ちに使用でき,かつ,1回限りの使用で使い捨てるもの)を用いて投与すること.
2. 投与時
(1)
溶解時に沈殿の認められるものを投与してはならない.
(2)
一度溶解したものは1時間以内に使用すること.
(3)
使用後の残液は,細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり,しかも保存剤が含有されていないため).
(4)
他の製剤と混注しないこと.本剤をデキストラン製剤と混合すると複合物の沈殿を生じるので,各種デキストラン製剤の輸注に用いる輸液セットの共用は避けること.
(5)
電解質補液の輸注等により脱水等の体液異常を改善した後に点滴静注することが望ましい.
薬物動態
先天性低フィブリノゲン血症患者3症例に対して本剤を1回6g静注後に測定した血中半減期は3.3日~4.2日であった1).
(注)本剤の承認された1回用量は,通常3gを用い,年齢・症状により適宜増減である.
臨床成績
先天性低フィブリノゲン血症患者5症例において認められた出血のエピソード44回に対する止血効果は著効43回,有効1回であった1).
薬効薬理
フィブリノゲンは先天性低フィブリノゲン血症に対する補充療法剤で,血漿中のフィブリノゲン濃度を高めることにより重篤な出血を阻止する.その作用機序は,フィブリノゲンがたん白分解酵素トロンビンに対する基質として働き,トロンビンの作用を受けてフィブリノペプタイドを遊離し,フィブリン(フィブリン・モノマー)に変わる.このフィブリン・モノマーが更にポリマーとなり,XIII因子,Ca2+の存在下でフィブリン塊を作り血液を凝固させると考えられている2,3).
取扱い上の注意
記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから,本剤を投与した場合は,医薬品名(販売名),その製造番号(ロット番号),投与した日,投与を受けた患者の氏名,住所等を記録し,少なくとも20年間保存すること.
包装
フィブリノゲンHT静注用1g「ベネシス」1瓶
溶剤(日局 注射用水 50mL)添付
溶解移注針・通気針 付
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
真木正博 他:基礎と臨床 1993;27(9):3803-3814
2)
小西和彦,高木 尚:新版日本血液学全書 1979;11:261-296
3)
河合 忠:血漿蛋白-その基礎と臨床,医学書院 1977;240-243
文献請求先
**株式会社ベネシス くすり相談室
*〒541-8505 大阪市中央区北浜2-6-18
電話0120-133-189
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
販売
田辺三菱製薬株式会社
*大阪市中央区北浜2-6-18
製造販売元
株式会社ベネシス
*大阪市中央区北浜2-6-18
**フィブリノゲンHT静注用1g「ベネシス」の溶解法及び溶解移注針の使い方
1.
本剤のバイアル内は陰圧となっています.それは溶解に際し,凍結乾燥たん白塊の全面に瞬間的に水が行きわたって溶解を速くするためです.
2.
本剤の溶解は添付の溶剤を用い,陰圧の取扱いに十分注意しないと溶解が困難となります.
(1)フィブリノゲンHT静注用1g「ベネシス」(以下フィブリノゲンHTと略す)に添付の溶剤瓶を35℃~37℃の温湯に5~10分間浸して温める.
決して37℃を超えて加温してはいけない.

(2)溶剤瓶を温湯から取り出しフィブリノゲンHTと溶剤の両方の瓶のキャップを除去しゴム栓の表面を消毒する.

(3)溶解移注針の保護キャップのついている側を上にし,針を溶剤瓶のゴム栓に真っすぐ根元までさし込む.

(4)保護キャップをはずし,溶剤瓶と溶解移注針を逆さにし,フィブリノゲンHT瓶のゴム栓中央○印の中心部に真っすぐ根元までさし込む.このときフィブリノゲンHTの瓶内は陰圧であるため,溶剤は引き込まれる.なお,中央○印の中心部に針が差し込まれていないと溶剤全量がフィブリノゲンHT瓶に引き込まれないことがあるので注意すること.

(5)溶剤がフィブリノゲンHT瓶内に移り,溶剤瓶が空になればフィブリノゲンHT瓶から溶解移注針と溶剤瓶とを一緒に抜き取る.

(6)直ちにフィブリノゲンHT瓶を約30秒間ゆるく振ってフィブリノゲンHTの乾燥部分を液面下に沈めてから,フィブリノゲンHT瓶を泡立てないように注意してゆるく振り完全に溶解させる.

(7)添付の通気針(a)を使ってフィブリノゲンHT瓶を平圧に戻す.

(8)完全に溶解が終わってからフィブリノゲンHT瓶に輸血セットの瓶針(b)をさし込む.フィブリノゲンHT瓶を適当な高さに吊りさげ,静注針(c)を患者の静脈へ刺入する.

この製品は献血血液から製造されています.
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