を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 [妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で胎児への移行が認められている。]
2.
授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。 [動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
本剤の過量投与により出血が生じるおそれがある。出血が認められた場合、適切な処置を行うこと。なお、特異的な解毒剤は知られていないので、緊急措置が必要な場合は血小板輸血を考慮すること。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
その他の注意
マウスに2年間経口投与した試験で、雄マウスの300mg/kg/日以上、雌マウスの100mg/kg/日以上の投与群で、肝腫瘍の発現増加が認められている。一方、ラットに2年間経口投与した試験では腫瘍の発生は認められていない。
薬物動態
1. 血漿中濃度
プラスグレルは経口投与後に速やかに代謝されるため、血漿中に本剤の未変化体は検出されず、活性代謝物R-138727の血漿中濃度を測定した。
(1) 健康成人2)
健康成人に、投与1日目にプラスグレル20mg及び投与2~7日目にプラスグレル3.75mgを1日1回経口投与したときの活性代謝物R-138727の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
20mg投与時(投与1日目)の活性代謝物R-138727の血漿中濃度推移
3.75mg投与時(投与7日目)の活性代謝物R-138727の血漿中濃度推移
(表1参照)
(2) 腎機能障害患者3)
中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30~50mL/min)にプラスグレル60mgを単回経口投与したときの活性代謝物R-138727の薬物動態は、健康成人と比較して差は認められなかった。透析を必要とする末期腎機能障害患者では、健康成人と比較して活性代謝物R-138727のAUCが約31~47%及びCmaxが約20~52%低下した。 (外国人データ)
(3) 肝機能障害患者4)
中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)に、投与1日目にプラスグレル60mg及び投与2~6日目にプラスグレル10mgを1日1回経口投与したときの活性代謝物R-138727の薬物動態は、健康成人と比較して差は認められなかった。 (外国人データ)
(4) 高齢者2)
高齢者(75歳以上)に、投与1日目にプラスグレル20mg及び投与2~7日目にプラスグレル3.75mgを1日1回経口投与したときの活性代謝物R-138727の薬物動態は、非高齢者と比較して差は認められなかった。
2. 分布
参考(動物実験)
ラットに14C-プラスグレルを単回経口投与した場合、組織中放射能濃度は多くの組織で投与1時間後に最高値を示し、胃、小腸、肝臓、腎臓及び膀胱では血液中よりも高い放射能濃度を認めた。これらに加え、投与72時間後では甲状腺及び大動脈でも血液中よりも高い放射能濃度を認めた。その他の組織では、血液中と同程度かそれ以下であった。また、反復投与した場合、投与14日目には組織への分布がほぼ定常状態に達した。
3. 代謝
経口投与されたプラスグレル塩酸塩は、小腸細胞でヒトカルボキシルエステラーゼにより速やかにR-95913に代謝され、さらに小腸及び肝臓の薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)により代謝され、活性代謝物であるR-138727が生成する。in vitro 試験からR-138727への代謝には、CYP3A及びCYP2B6が主たる酵素として関与することが示唆されている。
4. 排泄
健康成人男性に14C-プラスグレル15mgを単回経口投与した場合、投与240時間以内に放射能の累積排泄率は95%以上に達し、放射能の約68%が尿中から、約27%が糞中から排泄された。 (外国人データ)
5. 食事の影響
健康成人男性にプラスグレル20mgを単回経口投与したときの活性代謝物R-138727の薬物動態は、空腹時では食後投与と比較してCmaxが約3.3倍に増加したが、AUCに顕著な差は認められなかった。
6. 薬物相互作用
プラスグレル塩酸塩とCYP3A4阻害剤であるケトコナゾールを併用投与した場合の活性代謝物R-138727の薬物動態は、プラスグレル塩酸塩単独投与と比較してCmaxが初回負荷用量(60mg)投与時で約46%及び維持用量(15mg)投与時で約34%低下したが、AUC0-24hへの影響は認められなかった。また、血小板凝集抑制率(20μM ADP惹起)は初回負荷用量及び維持用量投与時のいずれもケトコナゾールの併用による影響を受けなかった。CYP3A4の誘導剤であるリファンピシンの前投与は、R-138727の曝露に影響を及ぼさなかった。
プロトンポンプ阻害剤であるランソプラゾールと併用した場合及びH2受容体拮抗剤であるラニチジンと併用した場合、プラスグレル塩酸塩単独投与と比較してR-138727のCmaxがプラスグレル60mg投与時で約14~29%低下したが、AUCへの影響は認められなかった。また、血小板凝集抑制作用(血小板活性化の抑制)は併用による影響を受けなかった5,6)。 (外国人データ)
注) 本剤の承認用量は初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日である。
表1
活性代謝物R-138727の薬物動態パラメータ
投与量 n Cmax
(ng/mL) Tmax
(hr) AUClast
(ng・hr/mL) t1/2
(hr)
20mg
(投与1日目) 23 177.1±96.3 0.6±0.2 185.1±66.5 4.9±5.8
3.75mg
(投与7日目) 23 29.2±15.5 0.6±0.4 26.3±9.2 0.9±0.4
mean&pl