項目のうち2項目を満たす患者は2.5mg1日2回(以下、2.5mg BID))、又は対照薬としてワルファリン(INR 2.0~3.0となるように適宜調節)を投与した二重盲検群間比較試験を実施し、主要有効性評価項目である脳卒中(虚血性、出血性、及び特定不能)又は全身性塞栓症の初回発現までの期間を指標にアピキサバンのワルファリンに対する非劣性を検証した(非劣性マージン=1.38及び有意水準0.025(片側))。Intention-to-treat集団を対象に解析した結果、発現率はアピキサバン群1.27%/年に対しワルファリン群1.60%/年であり、有効性に関してワルファリンに対し21%の抑制(ハザード比(HR)0.79、95%信頼区間(CI)0.66~0.95)が確認され、本剤の非劣性が確認された。また、全死亡の発現率は、アピキサバン群で3.52%/年、ワルファリン群で3.94%/年であった(HR 0.89、95%CI 0.80~1.00)。
一方、出血性イベント(ISTH基準の大出血)の発現率は、アピキサバン群2.13%/年に対してワルファリン群3.09%/年であり、アピキサバンはワルファリンに比べ減少した(HR 0.69、95%CI 0.60~0.80)。また、アピキサバンとアスピリンの併用により、出血リスクは1.8%/年から3.4%/年へ増大、ワルファリンとアスピリンの併用により、2.7%/年から4.6%/年へ増大することが示された。
(表1参照)
日本人集団においては、有効性イベント(脳卒中/全身性塞栓症)の発現率は、アピキサバン群3/161例(0.87%/年)、ワルファリン群6/175例(1.67%/年)であった。また、安全性に関して、出血性イベント(ISTH基準の大出血)の発現率は、アピキサバン群4/160例(1.26%/年)、ワルファリン群18/175例(5.99%/年)であり、日本人集団においてもアピキサバン群はワルファリン群に比べ、大出血の年間イベント発現率は低かった。また、これらの結果は、全体の結果と比較して同様の傾向がみられた。
(表2参照)
2. 国内第2相試験(ARISTOTLE-J試験)32)
非弁膜症性心房細動患者222例を対象としてアピキサバン(2.5mg BID、あるいは5mg BID)についてワルファリン(INR 2.0~3.0となるように適宜調節)を対照薬として12週間投与で行われた部分盲検比較試験(アピキサバン2用量群は二重盲検、ワルファリン群は非盲検)で、安全性主要評価項目である大出血、臨床的に重要な非大出血の複合評価項目の発現率を解析したところ、アピキサバン2.5mg BID群1/72例(1.4%)、アピキサバン5mg BID群1/71例(1.4%)で、ワルファリン群4/75例(5.3%)と比較して本剤で低かった。なお、全ての有害事象の発現率は各群間に差は認められなかった。また、有効性に関して、脳卒中は、ワルファリン群で3/74例(4.1%)に対してアピキサバン群では発現はなかった。全身性塞栓症、心筋梗塞、全死亡イベントに関しては、アピキサバン群、ワルファリン群ともに発現しなかった。
表1 ARISTOTLE試験における主要有効性/安全性評価項目結果(平均投与期間:アピキサバン群1.71年、ワルファリン群1.68年)
主要有効性/安全性イベント イベント発現例数/被験者数
(年間イベント発現率)
アピキサバン イベント発現例数/被験者数
(年間イベント発現率)
ワルファリン ハザード比
(95%信頼区間)
脳卒中/全身性塞栓症複合評価項目 212/9120
(1.27%/年) 265/9081
(1.60%/年) 0.79
(0.66, 0.95)
全死亡 603/9120
(3.52%/年) 669/9081
(3.94%/年) 0.89
(0.80, 1.00)
ISTH基準の大出血 327/9088
(2.13%/年) 462/9052
(3.09%/年) 0.69
(0.60, 0.80)
致死性出血 10/9088
(0.06%/年) 37/9052
(0.24%/年) ―
頭蓋内出血 52/9088
(0.33%/年) 122/9052
(0.80%/年) ―
消化管出血 118/9088
(0.76%/年) 130/9052
(0.86%/年) ―
表2 ARISTOTLE試験の日本人部分集団における主要有効性/安全性評価項目結果(平均投与期間:アピキサバン群約2.00年、ワルファリン群約1.75年)
主要有効性/安全性イベント イベント発現例数/被験者数
(年間イベント発現率)
アピキサバン イベント発現例数/被験者数
(年間イベント発現率)
ワルファリン
脳卒中/全身性塞栓症複合評価項目 3/161
(0.87%/年) 6/175
(1.67%/年)
全死亡 6/161
(1.74%/年) 11/175
(3.02%/年)
ISTH基準の大出血 4/160
(1.26%/年) 18/175
(5.99%/年)
致死性出血 0/160
(0%/年) 2/175
(0.65%/年)
頭蓋内出血 0/160
(0%/年) 6/175
(1.97%/年)
消化管出血 2/160
(0.63%/年) 6/175
(1.97%/年)
薬効薬理
1. 作用機序
アピキサバンは外因性及び内因性血液凝固経路の収束点である第Xa因子を阻害することにより、その下流のプロトロンビンからトロンビンへの変換を抑制し、直接的な抗血液凝固作用及び間接的な抗血小板作用を示す。
2. 血液凝固系に対する作用
ヒト血漿を用い、アピキサバンのトロンビン産生及び血液凝固への作用を検討した。
トロンビン産生試験において、アピキサバンはヒト乏血小板血漿での組織因子誘発性トロンビン産生を濃度依存的に低下させ、50%阻害濃度(IC50)は50~100 nmol/Lであった33)。
アピキサバンはINR及びaPTTを濃度依存的に延長するが、2倍に延長するために必要な血漿中アピキサバン濃度はそれぞれ1.9及び7.6μmol/Lであった34)。
3. 血小板凝集に対する作用
アピ