対する安全性は確立していない。
[使用経験がない。]
過量投与
1.症状
本剤の過量投与により、出血の危険性が増大する。
2.処置
出血性の合併症が発現した場合は本剤を投与中止し、出血の原因を確認すること。本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はないが、本剤は大部分が腎臓から排泄されるため、適切な利尿処置を施すこと。また、外科的止血や新鮮凍結血漿輸液など適切な処置の開始を検討すること。
適用上の注意
薬剤交付時
(1)
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
(2)
本剤は吸湿性があるので、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。また、アルミピロー包装注)のまま調剤を行うことが望ましい。
注)1アルミピロー包装中に28カプセル(14カプセル入りPTPシート×2)を含む。
服用時
カプセルを開けて服用しないこと。
薬物動態
1.血中濃度
本剤は経口投与後速やかに吸収され、エステラーゼで加水分解されて活性代謝物であるダビガトランとなる。ダビガトランの一部は、さらにグルクロン酸抱合を受け、ダビガトランと同様の薬理活性を有するグルクロン酸抱合体を生成する。本剤を健康被験者に対して空腹時に経口投与したとき、投与後0.5~2時間で総ダビガトラン(ダビガトランとグルクロン酸抱合体の総和)は最高血漿中濃度に達する。
&enter;日本人健康成人男性に本剤110mg及び150mgを食後に単回投与もしくは1日2回7日間反復経口投与したときの、総ダビガトランの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を示す1)。
ダビガトランエテキシラート食後経口投与後の総ダビガトランの薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータ幾何平均値(%gCVa))
初回投与:AUC0-12[ng・h/mL]
110mg N=12:485(19.6)
150mg N=12:623(23.0)
初回投与:Cmax[ng/mL]
110mg N=12:94.4(26.3)
150mg N=12:116(27.9)
初回投与:tmaxb)[h]
110mg N=12:4.00(3.00-4.00)
150mg N=12:4.00(2.00-6.00)
1日2回反復投与:AUCτ,ssc)[ng・h/mL]
110mg N=11:818(18.8)
150mg N=12:1100(19.1)
1日2回反復投与:Cmax,ss[ng/mL]
110mg N=11:124(25.5)
150mg N=12:169(26.3)
1日2回反復投与:tmax,ssb)[h]
110mg N=11:4.00(3.00-6.00)
150mg N=12:4.00(2.00-4.00)
1日2回反復投与:t1/2,ss[h]
110mg N=11:10.7(19.8)
150mg N=12:11.8(13.7)
a)gCVは幾何変動係数を表す。
b)中央値(最小値-最大値)
c)τは12時間、ssは定常状態のパラメータを示す。
ダビガトランエテキシラート経口投与後の総ダビガトランの血漿中濃度推移(算術平均値±SD)
2.食事の影響(外国人のデータ)
高脂質、高カロリーの朝食後に本剤を投与したとき、空腹時投与に比べてAUC0-∞は約27%増加したが、Cmaxは約9%の上昇であった。tmaxは約2時間延長した2)が、バイオアベイラビリティに顕著な影響はないと考えられる。
3.代謝、排泄(外国人のデータ)
健康被験者に14C標識ダビガトラン(活性代謝物)を静脈内投与したとき、投与168時間後までに投与量の85%が尿中に、6%が糞便中に排泄された3)。
4.腎障害患者における薬物動態(外国人のデータ)
軽度~高度の腎障害患者(軽度:クレアチニンクリアランス50mL/min超80mL/min以下、中等度:30mL/min超50mL/min以下、高度:30mL/min以下)に本剤150mgを単回投与した時の総ダビガトランのAUC0-∞の幾何平均値は健康被験者(クレアチニンクリアランス80mL/min超)に比べて、それぞれ1.5倍、3.2倍及び6.3倍高くなった4)。
総ダビガトランの薬物動態パラメータに及ぼす腎機能の影響
対象:健康被験者
クレアチニンクリアランス[mL/min]:80超
例数:6
薬物動態パラメータ幾何平均値
AUC0-∞[ng・h/mL]:781
Cmax[ng/mL]:78.6
t1/2[h]:13.4
対象:軽度腎障害
クレアチニンクリアランス[mL/min]:50超80以下
例数:6
薬物動態パラメータ幾何平均値
AUC0-∞[ng・h/mL]:1170
Cmax[ng/mL]:87.6
t1/2[h]:15.3
対象:中等度腎障害
クレアチニンクリアランス[mL/min]:30超50以下
例数:6
薬物動態パラメータ幾何平均値
AUC0-∞[ng・h/mL]:2460
Cmax[ng/mL]:133
t1/2[h]:18.4
対象:高度腎障害
クレアチニンクリアランス[mL/min]:30以下
例数:11
薬物動態パラメータ幾何平均値
AUC0-∞[ng・h/mL]:4930
Cmax[ng/mL]:166
t1/2[h]:27.2
心房細動及び整形外科手術施行患者を対象とした母集団薬物動態解析では、クレアチニンクリアランスが120mL/min以下の患者ではクレアチニンクリアランスが1mL/min低下するごとに本薬のCL/F(みかけのクリアランス)が0.64%低下すると推定された。クレアチニンクリアランスが88mL/minの男性の心房細動患者を基準とすると、クレアチニンクリアランスが50mL/min及び30mL/minに低下した場合、AUCτ,ssがそれぞれ1.4倍、1.9倍に増加すると推定される5)。
5.肝障害患者における薬物動態(外国人のデータ)
中等度の肝障害患者に本剤150mgを単回投与した時の総ダビガトランのAUC0-∞は健康被験者と同程度であった6)。
6.高齢者(外国人のデータ)
65歳を超える高齢男性被験者における定常状態のAUCτ,ssは、18~40歳の健康男性被験者に比べて約2.2倍であった。若年被験者と高齢被験者との曝露の差は、高齢者ではクレアチニンクリアランスが低下しているためと考えられる7)。
7.性差(