から速やかに吸収され、そのピークは投与2~4時間後と推定される。また、酸基部分は消化管からほとんど吸収されず、そのパターンはマウス及びラットとほぼ同様で糞中に排泄されるものと思われる1)。
臨床成績
国内の医療機関26施設で行なわれた一般臨床試験では、内科及び外科合わせて652例について効果が検討され、その内訳は慢性胃炎380例、胆道ジスキネジー99例及び外科(消化管手術後の愁訴)173例で、これらの疾患における主な愁訴に対する臨床成績の概要は次のとおりである。
なお、1日投与量は主として慢性胃炎で75~150mg、胆道ジスキネジー及び消化管手術後で150mgであった。
1. 慢性胃炎
慢性胃炎における愁訴の改善率は悪心75.6%(99件/131件)、嘔吐72.2%(13件/18件)、食欲不振75.9%(170件/224件)、腹部膨満感(もたれ)72.2%(197件/273件)であった。また、慢性胃炎に伴う愁訴を対象とした二重盲検比較試験(50mg×3回/日投与)の結果、本剤の有用性が認められている2)。
2. 胆道ジスキネジー
胆道ジスキネジーにおける愁訴の改善率は悪心84.2%(16件/19件)、嘔吐100%(3件/3件)、食欲不振65.8%(25件/38件)、腹部膨満感(もたれ)72.7%(32件/44件)であった。また、胆道ジスキネジーに伴う愁訴を対象とした二重盲検比較試験(50mg×3回/日投与)の結果、本剤の有用性が認められている3)。
3. 消化管手術後
消化管手術後の愁訴に対する改善率は悪心90.0%(36件/40件)、嘔吐100%(15件/15件)、食欲不振78.8%(82件/104件)、腹部膨満感(もたれ)81.5%(220件/270件)であった。また、消化管手術後に伴う愁訴を対象とした二重盲検比較試験(50mg×3回/日投与)の結果、本剤の有用性が認められている4)。
薬効薬理
1. 胃内容物排出作用5)6)
健康人を対象にして胃内容物排出作用を検討した結果、アボビスは胃排出の遅い例において促進作用が認められている。また、胃排出能の低下している慢性萎縮性胃炎患者を対象にした胃内容物排出作用をアセトアミノフェンをmarkerとして検討した結果、アボビスは12.5mg以上の経口投与で胃排出促進効果が認められ、特に50mg投与では顕著な促進効果が認められている。
2. 胆道系に対する作用7)
健康人の胆道系に対する作用を胆道末端乳頭開口部にpressure sensorを挿入し、胆道末端部の運動を測定した結果、アボビスは50mg及び100mgの十二指腸内投与で、投与後6分以内に運動亢進作用が認められ、胆汁の十二指腸内への排出増強作用が認められている。
3. 胃液分泌作用8)
健康人及び各種胃疾患の患者を対象にして胃液分泌作用を検討した結果、アボビス100mgの経口投与でも基礎及び刺激後の分泌量、胃液酸度、ペプシン濃度に対して、何ら有意な作用を示さない。
4. 作用機序9)10)11)
アボビスはモルモット摘出回腸標本を収縮させ、その用量-反応曲線はアトロピンにより高用量側へ平行移動され、抗ヒスタミン剤などの影響をうけず、アセチルコリンと類似の作用を示した。従ってアボビスの作用点は迷走神経でなく、平滑筋にあるアセチルコリン受容体に直接作用して、消化管運動を亢進させると考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
*アクラトニウムナパジシル酸塩(Aclatonium Napadisilate)
化学名:
(2-acetyllactoyloxyethyl)trimethylammonium-hemi-1,5-naphthalenedisulfonate
構造式:
分子式:
C30H46N2O14S2
分子量:
722.82
性状:
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがあり、味は苦い。水にきわめて溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム、ジエチルエーテル、ベンゼン又はヘキサンにほとんど溶けない。旋光性がない。
融点:
188~192℃
包装
アボビスカプセル25:100カプセル(PTP)
アボビスカプセル50:100カプセル(PTP)、1000カプセル(PTP・バラ)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
*社内資料(ヒトでの尿中排泄)
2)
崎田 隆夫ほか:臨床成人病,9(10),1835-1846(1979)
3)
崎田 隆夫ほか:臨床成人病,9(10),1847-1858(1979)
4)
城所 仂ほか:医学のあゆみ,112(10),640-657(1980)
5)
三輪 剛ほか:治 療,59(5),1444-1448(1977)
6)
原沢 茂ほか:臨床と研究,55(11),3640-3645(1978)
7)
小林 絢三ほか:現代医療,11(10),1361-1368(1979)
8)
須山 哲次ほか:現代医療,11(8),1081-1092(1979)
9)
三浦 孝次ほか:応用薬理,13(4),497-507(1977)
10)
高木敬次郎ほか:応用薬理,13(4),509-512(1977)
11)
関山 伸男ほか:医学のあゆみ,109(10),563-565(1979)
文献請求先
*主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
大正富山医薬品株式会社 お客様相談室
〒170-8635 東京都豊島区高田3-25-1
電話 0120-591-818、03-3985-5599
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東京都豊島区高田3-25-1
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