与したとき、総放射能の尿中排泄率から本剤の吸収率は少なくとも73.2%と見積もられた。
3. 分布(in vitroにおける成績)5)
[14C]アナグリプチンを10~100000ng/mLの濃度でヒト血清に添加したとき、たん白結合率は37.1~48.2%であった。
4. 代謝
(1)
(外国人における成績)4)健康成人男子(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、血漿中及び尿中にはアナグリプチン及びシアノ基が加水分解された不活性代謝物(SKL-12320)が存在した。糞中にはアナグリプチン及びSKL-12320の他に5種の微量代謝物(投与量の1%未満)が検出された。尿糞の総計における存在比は、アナグリプチンが投与量の50.7%、SKL-12320が29.2%であった。
(2)
(in vitroにおける成績)6)アナグリプチンはヒト肝S9による代謝をほとんど受けなかった。アナグリプチンは100μg/mLにおいてCYP1A2、CYP2C8/9、CYP2C19及びCYP3A4に対するわずかな誘導を示したが、10μg/mLではいずれに対しても誘導を示さなかった。また、アナグリプチンはCYP1A、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4に対する阻害を示さなかった。アナグリプチンのSKL-12320への代謝においては、DPP-4、コリンエステラーゼ、カルボキシルエステラーゼが関与することが示唆された。
5. 排泄
(1)
健康成人男子(6例)に本剤100mgを単回経口投与したとき、投与72時間後までのアナグリプチンの尿中排泄率は49.9%であり、投与24時間後までの腎クリアランスは315mL/h/kgであった1)。
(2)
健康成人男子(6例)に本剤200mgを1日2回、7日間反復経口投与したとき、投与216時間後までのアナグリプチンの累積尿中排泄率は54.2%であった2)。
(3)
(外国人における成績)4)健康成人男子(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、総放射能の73.2%が尿中に、25.0%が糞中に排泄された。尿及び糞中に排泄されたアナグリプチンの割合はそれぞれ投与量の46.6%及び4.1%であった。
(4)
(in vitroにおける成績)7)アナグリプチンはヒトP糖たん白及び有機アニオントランスポーター(hOAT1、hOAT3)等の基質であることが示された。また、有機アニオントランスポーター(hOAT3)及び有機カチオントランスポーター(hOCT2)に対する弱い阻害作用が認められた(IC50値:25.2及び33.8μg/mL)。
6. 腎機能障害患者(外国人における成績)8)
軽度、中等度、重度腎機能障害患者、血液透析治療中の末期腎不全患者及び健康成人(各6例)に本剤400mg注3)を単回経口投与したときの、アナグリプチンのCmax、AUC0-∞及びt1/2の比(腎機能障害患者/健康成人)を以下に示す。腎機能の低下に伴うAUC0-∞の増加が認められた。
7. 肝機能障害患者(外国人における成績)9)
中等度肝機能障害患者(Child-Pugh Class B)及び健康成人(各8例)に本剤400mg注3)を単回経口投与したとき、アナグリプチンのCmax、AUC0-∞及びt1/2の比(肝機能障害患者/健康成人)はそれぞれ1.07(90%信頼区間:0.78~1.48)、1.17(0.93~1.47)及び0.71(0.48~1.04)であった。
8. 高齢者10)
2型糖尿病の高齢者(65歳以上、13例)及び非高齢者(65歳未満、56例)に本剤100mgを1日2回、12週間投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-2hの比(高齢者/非高齢者)はそれぞれ0.97及び1.05であった。
9. 薬物間相互作用
(1) ミグリトール11)
2型糖尿病患者(18例)に本剤100mg、1日2回とミグリトール50mg、1日3回を3日間併用投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-24hは単独投与時と比較してそれぞれ58.4%及び22.9%減少し、ミグリトールはそれぞれ14.2%及び27.0%増加した。
(2) メトホルミン12)
2型糖尿病患者(18例)に本剤100mg、1日2回とメトホルミン500mg、1日2回を3日間併用投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-24hは単独投与時と比較してそれぞれ7.2%及び6.2%増加し、メトホルミンはそれぞれ1.3%減少及び10.5%増加した。
(3) グリベンクラミド(外国人における成績)13)
健康成人(15例)に本剤400mg注3)を1日1回、5日間単独投与した後、グリベンクラミド5mgと単回併用投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-24hは単独投与時と比較してそれぞれ1%増加及び5%減少し、グリベンクラミドのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ44%及び7%増加した。
(4) ピオグリタゾン(外国人における成績)14)
健康成人(16例)にピオグリタゾン45mgを1日1回、7日間単独投与した後、本剤400mg注3)、1日1回と5日間併用投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-24hは単独投与時と比較してそれぞれ15%及び7%増加し、ピオグリタゾンはそれぞれ20%及び7%、ピオグリタゾン代謝物M-IIはそれぞれ11%及び9%、M-IIIはそれぞれ7%及び2%、M-IVはそれぞれ3%及び3%減少した。
(5) プロベネシド3)
健康成人(11例)にプロベネシド1000mgを1日2回、3日間単独投与した後、本剤100mgと単回併用投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-24hは単独投与時と比較してそれぞれ53.9%及び80.6%増加した。
(6) ジゴキシン(外国人における成績)15)
健康成人(20例)に定常状態のジゴキシン(0.25mg、1日1回)と併用して本剤400mg注3)を1日1回、5日間反復経口投与したとき、ジゴキシンのCmax及びAUC0-24hは単独投与時と比較してそれぞれ49%及び18%増加した。
(7) シクロスポリン(外国人における成績)16)
健康成人(19例)に本剤400mg注3)を1日1回、4日間単独投与した後、シクロスポリン600mgと単回併用投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-24hは単独投与時と比較してそれぞれ25%及び20%増加した。
注3)本剤の承認された用法・用量は、通常、アナグリプチンとして1回100mgを1日2回、最大投与量は1回200mgを1日2回である。(「用法・用量」の項参照)
薬物動態の表
血漿中濃度 単回投