4)
承認時までに実施された臨床試験において、対象症例198例 (表在性膀胱癌154例、膀胱上皮内癌44例) 中の自他覚症状の発現率は78.3% (155例)、発現しなかった症例は21.7% (43例)であった。
主な副作用としては膀胱刺激症状が主体であり、排尿痛57.6%、頻尿56.6%、肉眼的血尿29.3%、尿混濁21.2%、排尿困難15.2%であった。その他、膀胱容量減少18.7%、発熱33.8%、尿蛋白29.8%、尿潜血28.7%、尿沈渣〔赤血球〕38.1%、尿沈渣〔白血球〕59.1%等であった。
3. **市販後臨床試験
表在性膀胱癌患者を対象としたTURBT後の補助療法の臨床試験
表在性膀胱癌 (単発かつ初発例及び異型度G3症例を除く) に対する、TURBT実施後の補助療法における、本剤の有効性を検討することを目的として、本剤群39例 (80mgを週1回、6回膀胱内投与) 及びドキソルビシン塩酸塩群40例 (20mg/40mLを週1回、2回膀胱内投与後、2週間毎に1回、7回膀胱内投与し、さらに月1回、8回投与) の無作為化比較試験が行われた。本試験では、事前に計画されていない中間解析が行われた結果、非再発率は本剤群で71.8% (95%信頼区間:55.1%、85.0%)、ドキソルビシン塩酸塩群で42.5% (95%信頼区間:27.0%、59.1%) であった (カットオフ日:2003年3月31日)。
ただし、本中間解析における有意水準の設定根拠は不明であるため、本剤の有効性について統計学的に意味を示すことはできない。
図 無再発生存曲線 (本剤群対ドキソルビシン塩酸塩群)
(カットオフ日:2003年3月31日)
表1
症例数 CRa)
例数 (%) PRb)
例数 (%) 有効例数
(CR+PR) 有効率
%
表在性膀胱癌 150 99 (66.0) 34 (22.7) 133 88.7
膀胱上皮内癌※ 43 34 (79.1) 5 (11.6) 39 90.7
計 193 133 (68.9) 39 (20.2) 172 89.1
※表在性膀胱癌との合併症例を含む。
a) CR:
(表在性膀胱癌) 腫瘍の完全消失、尿細胞診陰性
(膀胱上皮内癌) 膀胱鏡所見陰性、尿細胞診陰性、同部位の生検で腫瘍病変を認めない
b) PR:
(表在性膀胱癌) 腫瘍の縮小が50%以上
(膀胱上皮内癌) 同部位の生検では腫瘍病変を認めないが、尿細胞診では陽性を示した場合
薬効薬理
1. 抗腫瘍性5)
各濃度のBCGはMBT-2細胞 (マウス膀胱移行上皮癌細胞)と混合移植することによってマウス皮下でのMBT-2細胞の増殖を用量依存的に著明に抑制し、実験終了時に行った組織学的検査で移植局所周囲に著明なマクロファージやリンパ球の浸潤がみられた。
2. 作用機序6) 7)
明確な作用機序は未解明であるが、BCGはフィブロネクチンを介して腫瘍細胞内に取り込まれ、BCGを取り込んだ腫瘍細胞は直接的に抗原提示細胞として、あるいは間接的にマクロファージに貪食されることにより、BCG抗原及び/又は腫瘍特異抗原をTリンパ球に提示し、Tリンパ球の感作が成立する。細胞傷害性Tリンパ球は標的腫瘍細胞を直接に傷害し、Tリンパ球の産生する種々のサイトカインもまた、腫瘍細胞に傷害的に作用する。また、サイトカインの一部はマクロファージを活性化し、腫瘍細胞の貪食、破壊を効果的に行うようになると考えられる。
取扱い上の注意
1.
本剤は懸濁後、すみやかに使用する。
2.
懸濁の際は、バイアル内の本剤の乾燥状態を確かめた後、バイアル頭部のプラスチック製上ブタをはずし、ゴム栓及びその周辺をアルコール綿で消毒する。添付溶剤 (日本薬局方生理食塩液)アンプルは、頸部をアルコール綿で清拭し、カットマークを上にして正しく反対側に折って開口する。
本剤に添付の溶剤を注入し、しばらく (1分間) 静置後静かに振って懸濁する。泡立っていると正確な用量の吸引ができなくなるため、泡立ちは避けること。バイアルから懸濁液の全量を注射筒に吸引し、日本薬局方生理食塩液を更に加え均等なBCG希釈液とする。
承認条件
本剤の臨床的有用性を確認するため、市販後調査を実施し、その結果を報告すること。また、経尿道的切除術(TUR-Bt)実施後の本剤の臨床的有用性を確認するため、市販後調査として、本剤と他の適当な類似薬との比較臨床試験を行い、その結果を報告すること。
包装
[80mg製剤]
80mg入バイアル 1瓶
(添付溶剤: 日本薬局方生理食塩液2mL入アンプル)
[40mg製剤]
40mg入バイアル 1瓶
(添付溶剤: 日本薬局方生理食塩液1mL入アンプル)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
渋谷 清, 他: BCG・BRM療法研究会会誌, 16, 103~105, 1992
2)
T. L. Ratliff, et al. : Cancer Research, 47, 1762~1766, 1987
3)
赤座英之, 他: 日本泌尿器科学会雑誌, 80, 167~174, 1989
4)
赤座英之, 他: 日本泌尿器科学会雑誌, 83, 183~189, 1992
5)
赤座英之, 他: BCG免疫療法研究会会誌, 15, 69~75, 1991
6)
池田のりこ, 他: BCG・BRM療法研究会会誌, 16, 55~64, 1992
7)
T. L. Ratliff: EORTC Genitourinary Group Monograph, 6, 107~122, 1989
*,**文献請求先
日本ビーシージー製造株式会社 学術部
〒112-0006 東京都文京区小日向四丁目2番6号
TEL (03) 5800-5304
FAX (03) 5800-5308
*【お問い合わせ先】
日本ビーシージー製造株式会社 カスタマーセンター
〒112-0006 東京都文京区小日向四丁目2番6号
TEL (03) 5800-5311
FAX (03) 5800-5308
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
日本ビーシージー製造株式会社
〒204-0022 東京都清瀬市松山三丁目1番5号